こちらこそ
こちらこそとは
感謝されたことと、トントン、あるいはそれ以上に感謝を感じたときに言う言葉だ。
個人的には
感謝されたこととは関連がなくても
「あなたは〇〇してくれたじゃないですか〜ありがとうございますよ〜」
というような新たな感謝を生み出す言葉だと解釈する。だから、こちらこそが発生すると感謝が二倍になる幸せな言葉だ。
なぜこんなことを言い出したかと言うと、コンビニが原因だ。
ただでさえテストがだるいのに、いつまでも暑すぎるし、タンクトップの胸元が気になってシャツがはだけるのにイライラ、昨日の飲み会の写真の顔の丸さに悲しくなって、おじさんのクソデカくしゃみに殺気立っていた。
「こちらどうぞー」に反射で動き出し、裏返しで置く。
レジは基本的に目は見れないけど、声ちっさいとだるいだろうから、ハキハキ喋るようにしている。
「袋はご利用ですか?」
「大丈夫でーす!」
「〇〇円になります。ポイントカードはお持ちでしょうか。」
「はい、持ってまーす!」
「こちらお釣りとレシートになります。」
「ありがとうございまーす!」
「こちらこそありがとうございます。」
、、、こちらこそ、、??
目も体もひとつも止まらなかったが、頭は明朝体の「こちらこそ」でフリーズした。
それから電車でもずっとこちらこそを考えていた。
なんだこの五文字は。こちらこそ単体では何も言ってないのと一緒のはず。なのに、含む内容が多すぎる。さりげないけど威力がつよい。
しかもコンビニで。今まで何人の人がコンビニで“こちらこそ”を聞いただろうか。基本的に発生しない場所のはずなのに。
あのお姉さんは慣れた手つきだったから、はりきり新人ではない。だとしたら、いつも言うようにしてるのだろうか。それとも本当にこちらこそと思ったのだろうか。
どちらにしろ、コンビニの接客で「こちらこそ」と言えるのはすごい。一日に数えきれない人を対応するのに、プラスアルファで付け加えれるのがすごい。
前にコンビニの接客は機械的なのがいいという記事を見たことがある。
サービスたっぷりの接客が逆に疲れると言う人さえいるらしい。
確かに感情が乗っていない方が変に心を動かされないし、お互いノンストレスでウィンウィンだと。
だけど実際たった5文字ですごく満たされた。全然知らない人のさりげない言葉でこんなにも。
「丁寧な接客って疲れるんだよねー」とか言うのはもうほっといて、たくさんこちらこそと言おう。