こたつぬくぬく(18禁)


「ただいまー」
 玄関までしか届かないような声量で家族に帰りを告げる。約束の時間より少し遅れていて気まずいからだ。
 するとコンマ1秒で家の奥からドタドタと小さな女の子が走ってきた。なぜ聞こえたし。
「おせぇぞ父! ご馳走が冷めちまうだろ!」
 小さな体のくせに態度がデカい。見下ろしてるのに見下ろされているような感覚になる。俺に似てしまったなと思う。
「ごめんな。飛行機が遅延しーー」
「いいからいいから! はやくはやくっ!」
 依瑠が俺の手をぐいぐい引く。
「まてまて靴を脱がせろ靴を!」
「はーやーくーー!!」

 今日はクリスマスだった。こうしてイベントがある日は弾丸一泊帰省をしたりしている。
 居間に入ると、依瑠の言った通りクリスマスらしいご馳走が並んでいた。 
 依瑠は先に座り、目をキラキラさせながら待機している。
「おかえり。直哉」
 台所の方から藍がやってきた。両手で持つお盆の上にはクリスマスケーキが載っていた。
「ただいま、藍。遅くなってごめん」
「大丈夫だ。ちょうど準備が整ったところなんだ」
 クリスマスケーキをテーブルに置き、ついに舞台の役者揃ったって感じだった。
 藍はエプロンを外して台所へ置きに行った。俺は上着を脱いでから手を洗いに行き、戻ってくると二人がこたつに入っていた。
 俺もこたつに入った。向かいには藍、斜め前に依瑠がいて、三角形を描くような形になった。
 既に手前に置いてあったビールを手に取って開ける。藍も同時に開ける。
「依瑠もそれ飲みたい!」
 言う。
「これは、二十歳になってからなんだぞー」
 藍が優しい声色で返す。
「えーー!! 二十歳のやつよりいい絵描いてんだからいいじゃん!!」
「ダメに決まってるだろ! ガキはオレンジジュースでも飲んでろ!!!」
 俺がそう言うと、藍がまあ今日は特別だしいいか!と言った。おいおいまじかまじか
 こたつから出て台所から銀色の缶を持ってきた。そしてそれ依瑠に差し出す。
「わああい!!!やったあおあああ!!」
 依瑠がすぐに缶を開ける。すると音だけでそれがビールじゃないことに気づいた。よくラベルを見てみると、銀色のやつの独特なフォントの品名の右上に小さく「子供の」と書いてあった。
 藍が、これを飲んだことは友達には内緒にするんだぞー?とニコニコしながら言う。
「はーい!!」
 望みが叶って満足したのか素直に返事をした。
「よし。それではみなさん缶をお持ちください」
 藍の言う通り、俺と依瑠は缶を持つ。
「えーでは…………」
 何を言うか考えていなかったようだ。言葉を詰まらせる。
「普通にメリークリスマスでいいんじゃないか?」
「そ、そうだな。それでは!メリークリスマス!!」
「メリークリスマス!!」
「メリークリスマス」
 三つの缶がぶつかり合い、いい音がなった。


「こーら依瑠。立膝はダメだっていつもいってるだろ?」
 藍がそう依瑠に注意すると依瑠がこっちを指さして、
「えーー、父だってやってるし!」
と言い返す。
「あいつは何度言ってもダメだからいいんだ。依瑠は人の話を聞ける人に育とうね」
 何とか丸めこもうとする。
「そーだよな! 父は何言ってもダメだもんな!! 依瑠は人の話が聞ける子だ!!!」
 と言い、座り方をあぐらに変える。
「いい子だなー依瑠。本当にいい子だ。立派な大人になれるぞーー」
 と、藍も満足気に依瑠の頭を撫でる。
 あぐらはいいのかよ。という言葉がでそうになったが、ビールで喉の奥に流し込んだ。缶を置くと、藍が悍ましい虫を見るような目でこちらを見てきた。
「自分の子供がやめたのに、まさか親ができないなんてことあるわけないよなー?」
 圧力がかかる。このままにしたら足をへし折られそうだったので、素直に従うことにした。
「はぁ……わかりました。すみませんでした……」
 立てていた右足をこたつの中に入れた。
 だが、このまま言われっぱなしなのも腑に落ちない。そんな子供みたいな苛立ちが沸き上がってきて、小さな復讐を思いついた。
 依瑠が子供ビールをぐびぐび飲んでいく。
「ぷはぁ! ビール美味しいな! リンゴの風味がたまらねぇ!」
 大人になって本物を飲んだ時にショックを受けないといいが……
「そうだろー? ビールは美味しんだぞー」」
 俺は母子の会話を聞きながら、右足を伸ばして藍の膝をこづいた。すると藍がこちらを睨みつけてきて、案の定やり返すために足を伸ばしてくる。俺はすぐに足を引いた。
「んーー!」と唸り声をあげて精一杯足を伸ばすが、俺まで足が届かない。こたつの中で足をパタパタさせている。
 予想通りの動きをしてくれたので、俺はこたつのなかに腕を伸ばし、藍の足を掴んだ。
――!?
 驚嘆が藍の顔に浮かんでいる。
 そして、藍の足の間に自分の足を忍び込ませた。
「へひゃあ!?」
 藍が声をあげる。
 依瑠が突然声をあげた母を心配してハイハイで駆け寄り、腕に抱き着く。
「どした! 母!!」
 藍はすぐに依瑠のほうへ振り返った。
「え?? なんでもないぞ…?? しゃっくりだ! しゃっくり!」
 心配してくれてありがとーと言いながら依瑠の頭を優しく撫でている。
 そして、首だけを曲げて、
━━殺す
 目でそう伝えてきた。
 藍は足を動かし俺の手を振りほどこうとするが、こたつの中という狭い空間では勢いもつけられない。仮に思い切り足を動かし振り解こうものなら、上にある食べ物たちが全て吹き飛んでしまうだろう。
「大丈夫か? 少し飲みすぎたんじゃないのか?」
 俺は殺意の視線を無視して、平静な態度で藍に声をかける。
「そうなのか母? お酒はほどほどにするんだぞ」
 依瑠が腕に抱き着いたまま言う。
「あ、あぁ。そうだな。そうかもしれない…ひゃああ!」
 語尾に変な音がくっ付いた藍が口を押さえる。声を堪えている。おれはそのまま足の指を往復させ続ける。
 藍はこたつを出て逃れようとするが、依瑠が腕に抱き着いていて逃れることはできない。俺はさらにその束縛を強化するために言を放つ。
「お酒を飲みすぎるとそうなったりするんだよな。立ち上がったりはしない方がいい。座って安静にしてれば治る。体温も下がったりするから、依瑠がそうやって温めてあげればいいと思うぞ」
 根も葉もない嘘をこたつの上のご馳走の如く並べた。
「そうか!母!依瑠が温めてやるからな!!」
 依瑠は一層強く抱き着く。さすがに娘の気遣いを無下することはできまい。
 これで逃れられない。そう思った俺はさらに速く足の指を動かす。
「…………!!!!」
 藍が強く震える。依瑠がそんなに寒いのか!!と、今度は腕だけではなくお腹に手を回して温めてあげている。
 足先が、濡れたスポンジをふんだかのようにじんわり濡れてきた。口角が上がる。藍の足の抵抗が無くなっていたので、にやける顔を隠すために手を放してビールを飲む。足を動かし続けながら。
「ん……はぁ、はぁ……!!」
 藍が艶やかな声を漏らす。だが依瑠はそれが体調が悪いのだと勘違いして、一生懸命体を温めようとする。藍は子に抱かれながら絶頂を迎えようとしている。
 俺は器用に足の指を動かし、下着をめくり、直接クリトリスを撫でる。藍の足が跳ねてこたつの天板に当たり、料理が揺れる。
「だ、だめ……!! なおや……!!!」
 もうそろそろイクだろうと思った瞬間に、俺と藍の様子を見ておかしいと思った依瑠がこたつのなかに頭を突っ込んだ。
 俺は急いで足を引いた。
 藍は前髪で顔が見えなかったが、耳を真っ赤にして、息を漏らしている。
 依瑠がこたつから出てきて?を頭に浮かべていた。







いろいろやってて間に合いませんでした!!すみません!!

 
 

 

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