雨心中/唯川恵
久しぶりに唯川恵さんの小説を読みました。
色々な登場人物の観点から物語が書かれていますが、最終的には主人公の人生に絡んでいき、次が気になってついつい夜更かししてしまいました。
こんな人にオススメ
・鬱小説が読みたい
・一気読みしたい
・エッチな描写は得意じゃない
あらすじ
施設育ちの芳子と周也は、実の姉弟のように生きてきた。芳子にとって、周也はこの世で唯一「私のもの」といえる存在だ。周也は仕事が続かないが、芳子は優しく受け入れる。周也を甘やかし、駄目にしてきたのは自分だと芳子はわかっていた。そう、周也が「罪」を犯した時でさえ―。直木賞作家による究極の恋愛小説。
(「BOOK」データベースより)
感想:とにかくずーっと不幸。
ただひたすら、ずーっとずーーっっと不幸な話でした。
幸せのひとかけらを掴んでも、周りから不幸が迫ってきたり、自分から手を離したり…
どれだけ努力しても報われない。
しかし本人たちからすれば必ずしもそれが不幸であるとは限らない。
最後もモヤモヤっとして終わるので、読後全くスッキリはしません笑
あぁ、この二人はどれだけ不幸から逃げても、同じような事がまた起きるんだろうな…という感じです。
また、唯川恵さんの作品は生々しい濡れ場の描写が多い(個人の感想です)ですが、今回はほとんどありませんでした。
なんかそれもまた、この作品の切なさを引き立てているんだろうな。
ラブラブな描写も、快楽に溺れる描写もほぼなかったです。ラブラブはちょっとあったか。
主人公の芳子にとっては、セックスなんてどうでもいい事なんだな。
ただただ呪いのような愛で、相手に絡みついて離さない。離れない。離れられない。
歪な、ものすごく不健全な関係。
紹介文には「恋愛小説」とありますが、恋愛なのか?と、思って辞書を引いてみると、
れん‐あい【恋愛】
[名](スル)特定の人に特別の愛情を感じて恋い慕うこと。また、互いにそのような感情をもつこと。(デジタル大辞泉より)
との事。
そっか。じゃあやっぱり恋愛小説だ。
ネタバレ
周也がずっとカオルの事を思っているのに対し、ハオが芳子の回想に全く出てこない事悲しかった。
親子でもない、家族ともちょっと違う、でもセックスなし、っていうの関係が一番タチが悪いのでは…と感じました。
男女のイザコザがないから嫌いになる決定打がないし、そもそも口出しできない。
それにバカみたいな甘い言葉で惑わす事もない。
二人には幸せになってほしい気持ちはあるけど、周りが何を言っても無駄なんだろうな、という気持ちで最後は見届けました。
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