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『マロングラッセ編を解き明かす』ちいかわ考察

 本稿では漫画『ちいかわ』における『マロングラッセの森』について考察する。

マロングラッセの森

 ハチワレが「最近見つけた」という、マロングラッセが湧く森。そこには多くの木々や雑草が生い茂っていることから、普段ちいかわ達が遊んでいる森とは違い、手付かずの森であることがうかがえる。

これまで描かれてきた森とは明らかに様子が違う。

謎①うさぎの反応

 うさぎが自分で採取したマロングラッセを食べてみたところ、たちまち倒れてしまった。だがすぐさま立ち上がり、いつものように元気に森へ駆けだした。

 その後、ちいかわとハチワレも自分が採取したマロングラッセを食べたが、うさぎのような反応は見られなかった。普段からリアクションの大きいうさぎだが、"くた"という効果音とともに倒れたことには、やや違和感があるように思う。平常では叫んだり踊ったりするのが自然なのではないだろうか。

謎②段差

 もうひとつ注目したいのが、ちいかわとハチワレが採取しているエリアと、うさぎが採取しているエリアとの間に、不自然な段差がある点である。

心做しかうさぎ側の方が草が生い茂っているような……

 何かしらの理由が無い限り、このような描き込みをする必要はないのではないだろうか。理由があるとすれば、この段差は何かの境界線である可能性が高い。では何の境界線なのか。


仮説:酒入り/酒無し

 現実世界におけるマロングラッセには、ラム酒やブランデーなどの洋酒で煮て作られるものがある。ここから推測するに、マロングラッセの森では段を境に酒入り/酒無しが分けられているのではないだろうか。そうであれば、うさぎだけが段差の向う側で採取したマロングラッセにのみ酒が入っていて、それを食べたことから一時的に酔って倒れたということになる。


酒入りのエリアには罠が仕掛けられている

 酒入りのマロングラッセを食べたうさぎはその後、括り罠にかかってしまう。そこに駆け寄った(=酒入りエリアに侵入してしまった)ちいかわとハチワレも、トラバサミという罠にかかってしまった。

 段差の先に『この先採取禁止』などと書かれた看板のようなものが立てられている可能性もあるのでは。

 好奇心旺盛なハチワレが「最近見つけた」ほどの森、その酒入りマロングラッセが湧くエリアに、誰が何のために罠を仕掛ける必要があったのだろうか。それを考えるうえでまず思い浮かぶのは、ちいかわ族におけるお酒の資格制度である。


お酒の資格

 ちいかわ族が飲酒するには資格を取得する必要がある。むちゃくちゃな制度だが、草むしり検定やスーパーアルバイター、討伐ランクなど、ちいかわ族の世界に存在する様々な資格や制度のひとつである。これらの資格や制度が設けられた理由は、以前ここに掲載した記事『ラッコ/過去編』(https://note.com/lucky_auk957/n/n9b673c0ebc42)
にて、安全性が認められた者には『スーパーアルバイター』の資格を、"でかつよ"に対抗できる力を持つ者には『ランカー』の称号が与えられるのではないかと考察した。アルコールが"でかつよ"化を誘発しうると仮定すれば、お酒の資格もスーパーアルバイター同様、"でかつよ"化のリスクが少ないと認められた者に与えられる資格なのではないだろうか。

 加えて、お酒の資格は取得難易度の高い資格であることが判明していることから、ちいかわ族のなかにはお酒を飲みたくても飲めない者が一定数いるということになる。あるいは、資格を剥奪された者もいる可能性もある。
 この罠を仕掛けた者はこの制度を逆手に取り、酒入りのマロングラッセを利用し、ちいかわ族たちを自分のテリトリーにおびき寄せており、ちいかわたちはたまたまそこに迷い込んだのではないだろうか。

先輩が先輩たる所以

山姥

 罠にかかったちいかわたちを、突如現れた老婆が救出した。その後、薬を塗ってもらったり、食事をもてなしたりしてくれる老婆に、ちいかわたちは心から感謝する。だが以前『なんとかバニア編』に登場した魔女によく似ているという点もあり、この老婆の正体が判明しない限り、読者は少しも安心できない。ハチワレですら知らなかった深い森に、こんなにも都合良く常人が現れるだろうか。

老婆、魔女と書いたが根拠はない。夫婦か?

 以前ここに掲載した記事『ハチワレがでかつよにならない理由』(https://note.com/lucky_auk957/n/na9aa0c3926b0)では、擬態型と友好型の共通する特徴に『おもてなし力』があると考察した。この要素が今回のケースにも当てはまってしまうのである。

(おいなりの形も不穏)
三ツ星レストランといいゴブリンといい、本当に危ないヤツは狡猾な手段をとれるだけの知能がある

 この老婆があの罠を仕掛けた張本人であるかどうかは、現在(2022/09/20)のところ定かではない。
 いずれにせよ、罠を仕掛けた者はこの世界におけるちいかわ族の特性や待遇をよく理解し、上手く利用していると言える。老婆の正体が昔話『三枚のお札』に登場する山姥でないことを祈るばかりである。



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