【友情努力勝利】ちいかわ、モブになる説
はぐれちゃったからにはもう…ネ…
セイレーンの強襲にはぐれてしまったちいかわ一行。
今後のそれぞれの展開が気になるところ。
現在描かれているのはハチワレ・うさぎ・カニのチーム。
3人は「岩のすきま」に隠れることにした。
ここでハチワレは、カニに対して「武器」と「カニ(カチューシャ)」がお揃いであることを指摘した。
おそらくハチワレは、ハチワレとカニだけでなく、ちいかわもお揃いであることもふまえて、嬉々として告げたのだろう。おかげで見つかってしまったが。
この3人の並びの違和感のなさには、ちいかわを憐れまずにはいられない。
ちいかわのイメージカラーがピンクであるせいか、見事に収まってしまっている。
そのうえ、カチューシャを外せば顔が瓜二つ。そう、瓜二つなのだ。
モブのちいかわ族
カニはもともと「古本ちゃん」と呼ばれ親しまれたモブキャラである。モモンガとの友情の証である(と思い込んでいる)カチューシャを手にしたことで、黒色のモブから「カニ」へと変化した。
他のモブたちを見てみても、皆同じような見た目をしており、そのバリエーションさほど多くないように思える。
少なくとも、うさぎ・モモンガ等のメインキャラと同様の見た目のモブは存在せず、どれもおとなしめの風貌をしている。
モブは無個性ゆえのモブであるため、当然といえば当然なのだが、この漫画の主人公だけは、そのモブと酷似して無個性的である。ハチワレのように言葉を話すこともできないため、モブと異なる点といえば、身体の色が白か黒か、くらいのものである。
そのうえちいかわは、モブと共通する点が他にも存在する。
そしてこれらの共通点は、他のメインキャラとは共通しない。
このことに気付いた筆者は以下の仮説を立てた。
主人公「ちいかわ」とは、本来はモブたちと何ら変わらぬ存在であり、1人だけ色が白いのは、この物語のテーマ「こういうふうになってくらしたい」の一例としてスポットが当てられているからなのではないだろうか。
ここで重要になってくるのは、モブとちいかわの共通点ではなく、むしろ「モブ&ちいかわ」と「他のメインキャラ」の相違点である。
ちいかわ族とされているメインキャラのうち、ちいかわ以外の全員の身体が、頬の色を除くと必ず2色以上の配色で構成されているのだ。
メインキャラは身体の色からイメージカラーが抽出されることがほとんどであるなか、白一色のちいかわだけは、誰もが「ピンク」を想起するのである。
主人公としての差別化がこのようになされるなかで、モブが昇格を果たすには、新たな色(=アイデンティティ)を追加する必要があるのだ。
なかでも、メインキャラに昇格したと言っても過言ではないカニに関しては、その名が「カニ」である限り、決してカチューシャが外れることはないだろう。さかなクンをイメージしてもらえればわかりやすいだろう。
新たな色=アイデンティティを獲得することで、モブキャラはメインキャラに近付く。実際、当然ながらメインキャラたちは個性派揃いである。
これはつまり、ハチワレやうさぎといったメインキャラの「ちいかわ族」は、モブやちいかわが「進化した姿」と言うこともできる。
未だに「草むしり検定」にも合格できず、そのため「特訓」にも参加できずにいる主人公。色が真っ白なだけで、ステータスはモブそのものである。
それゆえに、元モブのカニが、ハチワレとうさぎと並んで立つことに違和感が無さすぎるのだ。同時にそれは、(モモンガに対して友情がないせいで)ちいかわがモブになってしまう可能性があることすらも示唆している。いずれそういった回が始まっても不思議ではない。
逆だったかもしれねェ…
白いちいかわと黒いモブ、それは光と影のようなものである。
ちいかわを『ちいかわ』たらしめるものは何か、など考える余地もない。ちいかわはモブのなかからたまたま選ばれた「一例」であり、それを読者にわかりやすく伝えるよう「ライトアップ」しているに過ぎないのだ。
ちいかわは星とセットで描かれることが多い。まるで「目印」とでも言わんばかりの多さである。
そしてモブと同じ、黒い色をした星にまで憑かれてしまった。「繰り返すだけの毎日」を強要され、成長することを忘れさせる。まさにモブのくらしである。そしてそれを良しとするのが、純粋なちいかわ族に「なりたい」モモンガである。
根本的に黒いモブと同じである白いちいかわ。ちいかわは主人公として、混沌に満ちたこの展開を「漂白」することができるのだろうか。
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