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「あの人とは意思疎通がうまくいかない!」と諦める前に。

いつもの朝の風景です。

送迎をするために
スタンバイをしている私に向かって、
ヘア&メイクを終えた
パジャマ姿の娘はこう言います。

「もう出れるよ!」

“まだ全然出られる状態じゃないのに、
何言ってるの!”
と、今日もいつも通り
そう思いました。

「もう出れる」と言っておきながら
当分出発しない、というのが
娘のいつものパターンなので
家を出るタイミングが計れません。
そのせいで
朝の準備や家事も進まず、
私はイライラすることになります。

いつもイライラしていても仕方がないので、
最近では、
娘の「もう出れるよ」を
信用しないという形で
自分の中で折り合いをつけていました。

得策だとは思っていませんが、
イイ感じに朝の時間を過ごすには
そうやってやり過ごすのが一番いいと
思っていたのです。

今朝も同じ状況でした。

普段は絶対に言わないのですが、
「それは嘘でしょ!」と
今日はツッコミを入れてみました。

すると、真顔で
「ホントだよ!」
と、返事が返ってきたのです。

はじめは
「何を言ってるんだか"(-""-)"」
と思っていたのですが、

数秒後、ふと
その意味が分かったのです。

今まで長年
このやりとりをしてきたのですが、
今朝、やっと気付きました。

娘は嘘を
ついていませんでした。

娘の使う「もう」が、
私の意味するものと
違っていた
だけなのです。

私は「もう」と言われれば、
もうすでに準備が済んでいて
「今すぐ出られる」と解釈していました。

でも娘の「もう」は
もうあと5分など、
「もう少しで出られる」
という意味で使っているのだ
と気付きました。

そしてそれが
「何分」とかいう話ではなくて、
娘の中での「もう少し」の感覚
だということにも。

コミュニケーションというのは
難しいものです。

どんなに丁寧に説明をして、
どんなに心を込めて対応しても、

相手の使っている「その言葉の意味」と
私が使う「その言葉の意味」が
ズレていれば
コミュニケーションにズレが生じてしまいます。

そこから倹約なムードになったり、
「この人は信用できない」
「この人とは価値観が合わない」
となってしまうのです。

誰かとのコミュニケーションに
行き詰まりを感じている時には、
コミュニケーションに
ズレが生じているのではなく、
言葉の解釈がズレている
のかもしれません。

その言葉を
どういう意味で使っているのか

ということが問題なのです。

私たちは日々急ぎ過ぎていて、
大切な人であっても
ゆっくり言葉を交わすことが
少なくなってきていると思いませんか?

その上、
使う言葉はドンドン
短縮化されているようにも感じています。

私たちの感情はとても複雑で
多岐にわたります。
誰もが同じように考えているわけではなく、
それぞれが
それぞれの感覚で物事をとらえ
表現しています。

その感覚を
短い言葉で相手に伝わるように表現するのは、
少々無理があると思うのです。

誰かとのコミュニケーションを取る際には
相手の使う言葉の意味と
自分の使う言葉の意味が
ズレているかもしれない
という前提を持っておくと
いいかもしれませんね。

キチンと意思疎通を図りたい
と思う相手であればあるほど、
その前提は必要だと思います。

日本語だからといって
甘く見てはいけないのです。

大切にしたい人間関係であるなら、
相手を大切に思うのと同時に、
相手の使う言葉の意味も
きちんと理解し、
丁寧に受け止めることが
大切なのかもしれません。


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