自分の「よさ」には気づけない
私が通っている
心理学講座のメンバーのうちの1人に、
とても個性的な人がいます。
その方を「Yさん」とします。
私はYさんの個性を
とても気に入っています。
ある日の講座の「一場面」です。
先生:「みなさんの
"やる気になるスイッチが入るのは
どんな時か"を教えてください。
では、こちらの方から順番に
発表をお願いします。」
最初にマイクを手渡されたのは
Yさんでした。
困った顔をしながら、
おもむろに立ち上がり
Yさん:「え〜っと、
やる気になるスイッチですか?
やる気になること…
は、ないかもしれないです。
やる気にならないことならあるんですけど…。」
教室:「(笑)」
先生:「いいですね。(笑)
では、やる気にならない方の話を
してみてください。」
Yさん:「やる気にならないのは家事です。
家事は本当にやる気にならなくて、
毎回嫌々やっているんです。」
(嫌いな家事の話が続きます。)
教室&先生「わかります(同感&苦笑)」
Yさんの次に
マイクを受け取ったのは、
私でした。
その時、
いつもよりリラックスしている自分に
気付きました。
教室がとても「発表しやすい空気感」に
なっていたからです。
Yさんのおかげで、
「発表」という緊張感のある場面が和らぎ、
教室に「一体感」まで
生み出されている感じがしました。
Yさんは、
飾らない「Yさんらしい」態度と発言をすることで、
クラスの雰囲気を和らげる役割を果たしました。
その後に続く発表が
とても「伸び伸び」とした
「自由」な発表になったことは
言うまでもありません。
その時のみなさんの発表は、
今までになく
その人の核心に触れるような、
本当の人柄を知ることができる
良い発表の場だったと感じています。
この時の経験から、
その人がその人らしくあることは、
周りにとても良い影響を与える
ということを実感しました。
Yさん、すごいなぁ。
私が1番最初にマイクをもらっていたら、
こういった雰囲気の発表の場には
ならなかっただろうなぁ。
と思いました。
しばらくしたある日、
講義前に、
Yさんとお話しする機会がありました。
Yさんは、こんなことを言い出しました。
「今日、席が埋まっていて、
いつもの席に座れなかったんだよね。
1番前しか空いてなくて…。
「1番前の端っこ」って嫌なんだよね。
前にさぁ、
発表のマイクが
1番最初に回ってきたことがあったんだけど、
その時に「私が1番じゃダメだなぁ」って
思ったんだよね。
全然ちゃんとしたことが言えないし、
それだと「1番最初の人の役割」が
果たせてないでしょ?
最初ってみんなの「お手本」にならないといけないのに、
あれじゃあ発表が
グダグダになっちゃうよね…。」
えっ???
えっ!!!
Yさん、そんなこと思ってたの??
私はすぐさま
私がその時に感じていたことをお伝えしました。
Yさんのおかげで
みんなの緊張が解けたこと。
そのおかげで、
教室がどんな意見も言いやすい
伸び伸びとした「いい雰囲気」になったこと。
それがYさんの「よさ」だということ。
Yさんは
私の話を、目を見開いて聞いていました。
信じられないような顔つきで、
でも、どこか嬉しそうでした。
「そっか、それならよかったけど」
と、素直に受け止めてくれるところも、
Yさんの素敵なところです。
今回のことで、
こんなふうに人は、
周りにとって
とても良い影響を与えているのに、
自分の中では
それを欠点だと捉えてしまっていることが、
あるのかもしれないと思いました。
それってすごくもったいない!
と、思いました。
みなさんも、ご自身で
「これは欠点だ」
「変えなくてはならない」と
感じている特性はありませんか?
それは、周りの人からしたら、
いいとか悪いとかではなく、
とても「その人らしい」と
感じることなのだと思います。
そして、その「らしさ」は、
周りから
「そうであってくれる方が助かる」
と、思われているのかもしれません。
私たちの特性は
プラスもマイナスも持ち合わせています。
ひとつの特性を
どの側面から見るのかによって、
プラスになったり
マイナスになったりするのです。
必ずプラスの側面があるのだとしたら、
プラスを前面に出していく方が、
自分にとっても
周りにとってもいいですよね。
まずは自分が
そのプラスを認めていくことで、
「周りのためになる自分らしさ」を
育てていくことが出来るのではないでしょうか。
私もそうありたいと思いました。