ビンタ研究レポートNo.6【ドラマの中のビンタ】
1989年──
小学校を卒業した私は中学一年生になっていた。
M田先生以降、ビンタ日照りが続いた。
そんな最中、私は新しいビンタの楽しみ方を発見した。
これまでの楽しみ方と言えば──
■今までゲットしたビンタを頭の中で反芻する。
この一点のみだった。
しかし、ビデオデッキという神器を手に入れてから、私のビンタライフは一変した。
当時は東京ラブストーリーを筆頭に、いわゆるトレンディドラマが大人気だった。
主人公とヒロインの恋の行方を楽しんだり、オシャレなインテリアやライフスタイルを参考にしたりと、千差万別な楽しみ方をしたことだろう。
一般人は。
無論、言うまでもないが、私は違う。
トレンディドラマはビンタシーンの宝庫なのだ。
今まで、主観(ファーストパーソン)で楽しんできたビンタだったが、俯瞰(サードパーソン)でもビンタを楽しめることを知った。
ドラマビンタの楽しみ方として──
■ビンタシーンを第三者の視点で見れる。
■頬への当たり方や、アングルによって迫力の差違がある。
■好きな女優さんのビンタの威力を想像する。
──等、楽しみ方は無限大なのだ。
更に、ビデオデッキのおかげでビンタシーンだけを繰り返し観ることが可能。
頭の中で反芻させなくてもよくなったのだ。
「当たり前のことを大袈裟に書くな」と、思っているZ世代のあなた。
当たり前じゃないんです。
当時は画期的なことだったのですよ。
しかし、巻き戻し(死語)を繰り返すとテープが擦りきれ、映像が劣化してゆくという悲しき現象が発生する。
劣化すると、手のひらが頬に当たった瞬間の映像がどんどんぼやけていく。
それでも、繰り返しビンタシーンが観られるのは本当にありがたかった。
この俯瞰で楽しむビンタを覚えた私は、新たなる野望を胸に秘めることとなった。
続く