マロン日記＃32【笑顔のビンタ】ビンタ動画資料26発☆有料☆

「ねぇマロンさん、ビンタの発音ってどんな感じ？」

「えー？」

「訛る？」

「あー……ビンタ」

マロンさんは語尾が下がるように言った。

このビンタというワード、地方によって『ビンタ⤴』『ビンタ⤵』と語尾の上げ下げが違うのだ。

ちなみに私は、語尾が下がる言い方が好みである。

一般人からすると、「だから何？バカなの？○ぬの？」と、思われるような細かい部分を考察するからこそ、私は唯一無二のビンタ研究家を自負するのだ。

「……だよね」

「うん、ビンタ！」

まぁ、本音を言うと、マロンさんにビンタと言ってもらいたかっただけなのだが。

パチン！

マロンさんは軽く右で一発ホペタを張った。

「あ、一発ずつ？」

「う～んと、左右、から……」

「左右？」

「そうそう」

「コレ（すりすりのジェスチャー）、いるよね？」

「いります」

パチ！ビシッ！すりすり……。

「外れた」

すりすり……パァン！パン！すりすり……パン！パァン！すりすり……パァン！パン！

左右ビンタが三回入ったところで、私は車の後方に視線を投げた。

「……ふふっ」

「なに～？」

「気になるんだよね～」

すりすり……パァン！パン！

人の目が気になる私に対して、マロンさんは構わずビンタを続ける。段々右のビンタが強くなっていくのを体感した。

いいね、威力が増してきたぞ。

すりすり……パァン！パァン！ すりすり……パン！パァン

私はビンタを張られながら、ちらりとマロンさんを見て、再び「ふふっ」と笑ってみせた。

「なに～？」

気恥ずかしくなったのだろうか？ マロンさんも私につられて笑い出し、

「ムカつく！ 何⁉」

「え？ だって、笑いながらビンタしてるんだもん」

マロンさんは、笑って「も～」と言いながらデジカメに手をやる。

「一回、止めよっか」

笑顔でビンタを張れる彼女。私はそんなマロンさんが好きだ。

正確には笑顔でビンタを張れるマロンさんの手のひらが好きだ。

柔らかく、優しく、時に猛々しいマロンさんの手のひらが大好きだ。

そんな手のひらから放たれるビンタを、後何発頂けるのだろうか？

悠長なことは言ってられない、このサブスクビンタも後少しで終わりの日を迎えるんだ。

よし、更にマロンさんを煽ろう。

続く。

【マロンビンタ資料動画】

1ファイル 26発（左右）
打ち手の姿 : アリ