研究レポートNo.24【衝撃的ビンタ②】
8ミリカメラのRECを押して、手持ち撮影開始。
「どうする?まずは軽くやる?」
「そうですね、手慣らしって感じでお願いします」
「はい、いきまーす」
パム、パム、パム!パチン!ペチン!
うおおおぉ……こうきたかぁ。
脱力気味のふんわりビンタが私の頬を喜ばせる。
まるでオリーブオイルで和えらた、サーモンの如きカルパッチョ……最高の前菜だ。
さぁ、次は左手でビンタしてもらおう。
パム!パチン、パム、パム、パチン!
ん~……ジュ~シ~。
利き手ではないビンタのぎこきなさと三種盛りお肉がほどよく頬でマリアージュされている。
まろやかなビンタによって、脳内のドーパミンはポタリ、ポタリと点滴のようにゆっくりと分泌されている。
なんか、ぽわ~んとしてきたなぁ。
90分間『コクまろビンタ』でいいんじゃね?と、思えてしまうほど心地がよい。
しかしだ、そんなぬるま湯に浸かっていては、剣道経験者のビンタ力を測ることは到底出来ない。
気を引き締めよう。
「じゃあ、次はMAXで十回お願いします」
「MAX?右だけ?本当に痛いよ?十回ね、行くよ」
バチッ!バチン!ベチッ!バチン!バチン!
バチン!ベチン!バチン!バチッ!バチ!
──疾風怒濤のスペクタル10連ビンタが左頬の細胞を一瞬にして葬った。
すげぇ……ガツンときた!剣道経験者のビンタすげぇ!
三種盛りのお肉は何処へ?
ランちゃんの手のひらは、お好み焼きの『コテ』のように硬くなった。
頬が破れたような裂傷感……この強度はすみれちゃん並みだ。
しかしだ、これなら何とか耐えられる。
すみれちゃんのビンタは頬の中にダメージが
残るぐらい重い。なので一週間ぐらいは頬内部の腫れは引かなかった。
だが、ランちゃんのビンタは皮膚の表面はすみれちゃん以上の痺れはあれど、内部まではダメージが浸透してこない。
……このビンタは揚げ物で例えるならは『フライ』と『天ぷら』ぐらい違うぞ。
すみれちゃんがずっしりとしたエビフライビンタならば、ランちゃんはサクサクの海老天平手打ちだ。
これならかなりの数を頂けそうだ。
よし!
続いて、二十連ビンタ、往復ビンタをオーダーした。
──バチィン!
──ビチィン!
凄まじい破裂音が部屋の中で響き渡る──
皮膚表面の感覚はゼロ。まるで局部痲酔を打たれたかのように何も感じない。
……まだだ、まだいける!
ここまでガチビンタに耐えた頬へ褒美を授けねば。
続く
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