ビンタ研究レポートNo.35【羊の皮をかぶった狼?】
I田さんと一緒の帰り道、私はストリートのデフォルトと化したPI○TA素材収集の話をした。
すると、I田さんは思いの他興味津々で聞いてくれたので、タイミングを見計らって「ビンタ動画の素材がほしいんです」と、切り出した。
「全然いいですよ、協力します」
よっしゃああああ────!
想定以上のスムーズさ。私は心の中でI田さんに敬意を表した。
交渉は成立、後はビンタを受ける場所だ。
「どこにしようかな、あんまり人が居ないところがいいんですけど……」
悩む私にI田さんは提案した。
「私が車を停めたコインパーキングなら、車に隠れて撮影できるんじゃないですか?」
素晴らしい……ビンタして頂けるだけでもありがたいのに、このお心遣い……大和撫子とは、I田さんのことを言うんですね。
I田さんに案内され、コインパーキングへ移動。
おお、丁度いいところにラージサイズのミニバンが停まっている。
よし、ここで撮影だ!
「じゃあ、お願いしていいですか」
「はい。でも私、ゴルフをやっていたので、かなり力は強いですけど、本当に大丈夫ですか?」
マジか……なんとゴルファーとは。
これはかなりの強ビンタが期待出来る。大人しそうな見た目からインドア派かと思いきや、そんなブルジョワなスポーツを嗜んでいたなんて。
やはり、人は見た目で判断すべきではない。
私はI田さんにビンタのレクチャーをして、ガラケーのRECを押し、いざ実戦。
まずは試し打ちの一発。
パァン!
うお!
すご!
全然力を入れていないのにこの威力、そして音も良し。特筆すべきはミートが上手い!
流石はゴルファー。素晴らしい……素晴らしい打ち手と出会ってしまったのかも知れない。
さぁ本番だ。
とりあえず十発ぐらいの連続ビンタをお願いしてみた。
「いきます」
バチン!
バチン!
バチン!
ビチン!
バチッ!
完璧なミート、とてつもなく重いビンタだ。
右頬どころか頭部全体に広がる衝撃──
これは、これは大当りどころではない。
超大当りだ!
私は歓喜に打ち震えた。
「じゃあ次は……」
次の連発ビンタをお願いしようとしたその時、何やら違和感が。
ん?
んん?
左頬の下、顎の関節部分がおかしい。
あれ?
コレ、顎外れかけてね?
ヤバくね?
私はビンタを受ける時、歯を食いしばらないポリシーがある。歯を食いしばるとインパクトの際、顔面が歪まないからだ。
ビンタの瞬間をスローモションでご覧になったことがある読者様ならご存知だと思うが、まるで風船のように顔面が波打つ。
私の資料動画を購入された方は、手のひらが頬に到達した瞬間を一時停止してみてほしい。
顔面がクラッシュしたかのように歪んでいるのがわかるはずだ。
クラッシュしているということは、手のひらが頬を完璧に捉えている証拠で、音も最高に心地良い。
まさに完璧のビンタだ。
勿論、I田さんのビンタを受ける際にも歯を食いしばらなかった。
しかし、I田さんのビンタは想定を遥かに越える、本物の強烈ビンタだった。
顎を破壊するビンタ、続行か否か──
続く。