エッセイ#57『ヤッターペリカン』
先日、私より年下の唯一の親戚と思われる再従弟氏に会ってきた。
以前彼に会った時、私が幼少期に遊んでいたおもちゃを、母親が勝手にセレクトして彼にプレゼントしていた。そのほとんどはプラレールである。再従弟氏も私同様にプラレールに造詣が深いらしく、その日は大いに喜んでくれた。
気掛かりだったのは、母親が勝手に選別したことである。正直、今後それで遊ぶ予定は全くなかったので、おもちゃが消えたところで私自身への被害は特にないのだが、1点だけ「これはちょっと惜しかったな。」と思ったフィギュアがあった。その名は「ヤッターペリカン」だ。
プラレール同様に使う予定など微塵もないのだが、ヤッターペリカンは部屋に置いておきたい。何故かそのように思ってしまった。特に思い入れもないし、主役級のキャラクターでもないのだが、およそ10年ぶりにその姿を見た瞬間に、どういう訳か惹かれてしまった。
これがヤッターワンやヤッターアンコウだったら、こんなにも悩んだりしない。ヤッターペリカンであることに意味があるのだ。一人称が「ミー」だったし。翼の大きさに対して、クチバシが大き過ぎたし。
再従弟氏は喜んでくれただろうか。もしいらないのなら、いつでも喜んで受け取りに行く。何たってヤッターペリカンなのだから。