エッセイ#61『金ネクタイのおじさん』
電車にて、目の前の座席に、金色のネクタイを結んだおじさんが座っている。
社長だろうか。
私は、金のネクタイを普段から結んでいる人を現実では初めてみた。『こち亀』のアニメに出た来た気がしないでもないが、所詮はギャグアニメの登場キャラクターである。現実では目の前のおじさん(仮に金剛さんとする)がやはり初めてだ。
その「金色」というのも、本当に「金色」だ。黄色や黄土色なんて言葉で代用できるような色ではなく、正真正銘の「金色」である。そもそもこんな色、どこに売っているんだ。オーダーメイドなのだろうか。
ただ不思議なことに、金剛さんは金色のネクタイが似合っているのだ。びっくりするくらいお似合いだ。
きっと今の日本に、彼以上に金ネクタイが似合う人間はいないだろう。
今、頭の中に歴代の総理大臣や大学の学長の顔をズラーっと並べてみたが、金剛さんに勝てる人なんて1人もいやしなかった。どんなに偉くても、どんなに賢くても、金剛さんには「金ネクタイが似合う度」では勝てないのだ。
しかも、面白可笑しくなったりはしておらず、しっかりとファッションとして似合っている。金剛さんの顔のイメージとしては、宮澤喜一とハマコーを足して2で割った感じだ。
一応「金ネクタイ 有名人」で検索をしてみたが、誰もヒットしなかった。
金剛さんの優勝だ。
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