採用したいのは、自社の戦力になる人財
「ポテンシャル」という言葉を聞いたことがありますか。「潜在力・潜在性」を意味する言葉ですが、新卒採用の担当者が「ポテンシャルがありそう」と言う場合は、「成長する可能性がある」「将来性を感じる」の意味で使っていることが多いようです。新卒採用は、この「成長」とか「可能性」「将来性」がキーワードになっています。中途採用が即戦力採用であるのに対し、新卒採用は将来の自社を支えてくれる人材を採用することが目的だからです。
では、どのようなところから「将来性」「可能性」を感じているでしょうか。多くの企業では、新卒採用した人は「育成」すべき人材ととらえています。採用後にOff-JT(集合研修)やOJT(職場内教育)を行うことで、戦力として育成していきます。育成期間は、企業によって違いますが、半年だったり、3か月だったり、または1年という長期間を見る企業もあります。その設定された育成期間の間に現場で仕事ができるようになってもらいたいと考えています。
さて、ここで質問です。設定された育成期間でしっかりと成長できる人材と成長できない人材がいたとすると、その違いは何でしょうか?
全く同じ内容で、全く同じ時間の育成を受けたとすれば、違いが出るのは「個人の差」ということになります。
採用を長く行っている企業は、採用後の育成を重視しています。これまでの経験から、きちんと育成できる人材のイメージをしっかりと持っています。それが「ポテンシャル」という言葉に集約されているのです。当然、企業によってポテンシャルの具体的なイメージは異なります。業界によっても職種によっても異なると思います。よって、応募する側にとっては、求められる「ポテンシャル」の違いを理解することが必要で、そのために、業界研究や企業研究、職種に対する理解が必須になってくるのです。
応募する企業によって求められるポテンシャルは違うのですが、採用担当者の話を聞いていると、ある程度の共通項があると感じます。多くの企業がポイントを置いていることです。その共通点を2点お伝えします。
一つは、「教えるには時間がかかることをすでに習得している」ということです。ビジネスマナーや言葉遣いは重要な育成ポイントですが、ある程度の時間をかけて教育すれば何とかなります。採用後の教育で育成するのが難しいのは、「人柄」にかかわる部分です。職種によっては「積極性」が非常に重要になります。また「慎重さ」が必要な職種もあるでしょう。このような「積極性」や「慎重さ」は、採用後の育成がとても難しいのです。そこで、これらを重視する企業は、採用の際にこの人柄に関する部分を見極め、自社に合うかどうかを判断しているのです。
日本経済団体連合会が発表している「新卒採用に関するアンケート」で「選考の際に重視する項目」には、「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」「規律性」「柔軟性」というキーワードが上位に挙げられています。「人柄」に関することばかりですね。
「伸びる人材と伸びない人材の違い」のもう一点は、「学ぶことがうまいかどうか」です。教えたことをしっかりと身につけ、発揮できるかどうかということです。研修スタート時にはそれほど目立たなかったが、終了時にはピカピカに輝いている、そんな新人がよくいます。そんな人の共通点は、「学び方のうまさ」だということも採用担当者は気づいています。応募書類や面接、グループディスカッションで見ているという企業は多くありましたが、会社説明会でもそんな人かどうかを見ているとおっしゃった採用担当者がいらっしゃいました。
では、どのようにしたら「人柄」や「学び方のうまさ」を相手に伝えることができるのでしょうか。
「効果的な自己アピールの方法」で、改めて発信します。
では、また!