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VRChatにおける獣耳の謎を追え

皆様ごきげんよう、VRChatには多種多様なアバターが存在しますが、共通点として何故か動物の耳(以下獣耳と呼称)が多いです。
「何か身に着けるルールでもあるんじゃないか?」と思える程多く、その場に居合わせた人の半分ないし全員が獣耳を生やしているといった状況は決して珍しくありません。

今回は、どうしてそこまで獣耳が多いのかという素朴な疑問を理論的に迫ってみようというものになります、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

また、記事の内容はあくまで可能性のひとつであるとして見て頂ければと思います。

獣耳とは?

理由を追求していく前に、まずは獣耳について詳しくお話しましょう。

日本において獣耳が初めて描かれたのは江戸時代、1827年と言われています。
愛猫家として知られる歌川国芳が歌舞伎「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」の瓦版に描いた化け猫遊女が初出と言われ、意外と歴史は浅いようです。
アニメや漫画で獣耳が用いられるようになったのは1963年、手塚治虫先生の「リボンの騎士」からと言われています。

一方アメリカでは、1953年に登場した成人向け雑誌「PLAYBOY」との連動企画として運営された高級クラブ「PLAYBOY CLUB」のウエイトレス衣装として考案された「Playboy Bunny」
所謂バニーガールが1960年2月29日、シカゴのPLAYBOY CLUBにて初公表され、60年代の内に日本に輸入されうさ耳の源流になったと言われています。
(余談ですがこのバニー姿、PLAYBOYのマスコットが雄ウサギなので雄をイメージして作られたと1996年放映された「知ってドーするの!?」という番組で取り上げられたそうです)

獣人という範囲で見るのであれば3万2000年前に作られたと言われているライオンと人間を合わせたような彫刻「ライオンマン」や、古代エジプトの壁画に書かれた「アヌビス」や「バステト」等があり、こちらは相当に歴史の古いものになります。

現代に通づる獣耳が描かれたのが最近というだけで、人と獣を合わせたような存在は遥か昔から世界各地であったようです。

VRChatにおける歴史的背景

様々なオリジナルモデルが用いられている現在とは違い、かつてはMMDモデルが非常に多く、キツネツキ式櫻歌ミコ右近といったアバターが人気だったようです。

著作権的にクリーンなアバターが少なかった時代に大変流行ったらしく、日本人プレイヤーの半数以上が使っていた印象があるとの証言もある程です。

クリエイター的な都合

獣耳や尻尾は取り外しが簡単で、人間形態と耳と尻尾のある形態で容易にスイッチできた方が売れ行きが良くなるのではないかというものです。

つまり、無いよりもあった方が商品として見るとお得だからという理由のようです。

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獣耳と尻尾はあると無いでは随分印象が変わります

また、揺れものとして追加する際に耳や尻尾は追加しやすいからではないか、という事情もあるかと思われます。

感情表現として

猫は怒ると耳を後ろへ反ったり、恐怖を感じると伏せたりします。
尻尾も犬は喜ぶとブンブン振ったり、猫は機嫌が良いとピーンと立てたりします。
こんな具合で、感情表現として便利だから尻尾と一緒に獣耳が付けられるのではないかと思ったりします。

実際耳によって感情を伝えるアバターは多く、ペタっと垂れたりピコピコと自在に動かしたりする事によって非言語コミュニケーションの手助けをしているように思えます。
特に無言勢の方とコミュニケーションを取る際は、表情と合わせて耳の動きは重要な要素だと感じます。

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嬉しそうな時は耳をピンと立てて、怒られた時は耳を寝かせる図

「可愛い」効果があるため

人間は本能的に「軽い」「丸い」「柔らかい」「小さい」といった特徴を持っているものに対しては庇護欲を掻き立てられるようで、要する所「可愛い」と思わせる効果があるようです。
人間、動物問わず赤子や子供、女性がこの特徴を有しており、可愛いと感じ母性、父性を刺激する働きは種の遺伝子を残し、絶滅を防ぐ一種のセーフ機能と言えるでしょう。

獣耳に関して言えば、ゆらゆらと揺れ動きフサフサとした印象を与え、顔を見た際に獣耳を含め全体的に見る範囲が大きくなり、小顔になる効果を与えているようです。
これは前項の特徴を合わせ持ち、結果的に獣耳を着けると可愛いと思わせる効果が高くなるように思えます。

逆に庇護欲をそそらない特徴は「重い」「鋭い」「硬い」「大きい」といったもので、オオカミやクマといった猛獣の特徴を連想しがちなものです。
これを逆手に取ってアバターに猛獣の耳を着ける事で、荒々しさやワイルドさを演出することにより、格好良さや勝気な印象を与える効果もあります。

超正常刺激のため

これは生物的な本能によるもので、現実ではありえない誇張によって惹かれてしまうという反応の事です。
人間はどうにも頭に何か乗っかっている状態というものを好むようで、帽子や被り物を着用する事を良しとする文化や、獣耳のみならず角や髪飾りを着けたりという文化が世界中にあります。

実はこの超正常刺激、VRChatにも多く見られる特徴で、獣耳以外にも頭の上に何か物を乗っけていたりアホ毛があったりという人が多いです、私もその一人だったりします。

新幹線E955形という電車にも試験的に空力ブレーキが付いており、これがネコ耳に見えて可愛いという評判もある位なので、対象は人以外でも良いのかもしれません。

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新幹線のネコ耳、他に使えそうな画像が無かったので各自調べてみてほしい

現実との差異を生むため

あくまで個人的な意見ですが、現実との違いを表現する上で獣耳は手っ取り早い表現なのではないかと思っています。
私はアバターの恰好をなるべく現実の自分へ近づけているのですが、獣耳と尻尾は現実との差異を生むためにあえて着けています。
これは単に現実と違う部分を表現する上で手っ取り早いのが獣耳や尻尾だったというだけで、メカ耳や義足、義手といったものでも演出できるような気はします。

終わりに

ここまで読んで頂きありがとうございます。
改めてまとめてみるとそれっぽい理屈が結構並びます、他にもまだまだあるかもしれませんが、今の所思いつくのはこれで全てとなります。
今回の記事はいつもに比べて短い内容となってしまいましたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

最後に、ゲームクリエイターである鍋島俊文氏の珍言を借りてこの記事を締めたいと思います。


(´鍋`)<「本当は無くてもゲームは成り立つんです」
( ´ 鍋`)<「でもあったほうがかっこいいじゃん」


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アバターに個性を持たせる上で選択肢は多いに越した事はないですね

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