【ETH】イーサ(ETH)とガス代:イーサリアムの経済システム
はじめに
Project LUCKと書く人
Project LUCKメンバーの佐藤です!Project LUCKというのは、株式会社マーキュリー(代表取締役:都木聡)の中で立ち上げたプロジェクトです。そのコアメンバーが日々、自分たちが学んだことや読者の皆さんとコミュニケーションをとりたいと思い、さまざまな記事を書いています。
今回のテーマ
今回は、イーサリアム上で取引を行う上で必要となるガス代(手数料)と、それらが及ぼすイーサリアムへの経済的な効果について解説を行いたいと思います。
イーサリアムネットワークを利用する際に避けて通れないのが「ガス代」です。初心者の方にとっては少し複雑に感じるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解することで、より効率的にイーサリアムを利用できるようになります。
取引所を離れていわゆる「セルフカストディウォレット」を利用した経験のある方であれば、知っている方も多いと思います。
今回は、ガス代を知らない方にも理解できる内容で解説を行っていきたいと思います。
イーサ(ETH)の役割
まず初めに、イーサリアム上の中心となるトークンであるイーサ(ETH)には、大きく分けて3つの役割が存在します。
この章ではその3つの役割について解説を行っていきたいと思います。
取引通貨としてのイーサ(ETH)
まず、大前提として取引を行う通貨の役割を持つイーサ(ETH)があります。多くの人はこのイーサ(ETH)を想像する方が多いと思います。
イーサリアムブロックチェーンを動かすための担保
次に、イーサリアムブロックチェーンを動かすためにはブロックチェーン上に情報を記録したり、記録した情報を保管する役割の人々が必要です。
一般的にこの役割を果たす人を「バリデーター」や「ノード」と呼ばれます。
上記の役割のうち、ブロックチェーン上に情報を記録する人はそれぞれが悪意のある行動をした際にペナルティとして没収される担保をイーサリアムブロックチェーン上に預ける必要があります。
この時、イーサリアムブロックチェーンではステーキングを行っています。
そして、悪意のある行動をせずに正当に記録を行っている人に対してステーキングの報酬が配布されます。
スマートコントラクト実行のための「燃料」
最後に、イーサリアムブロックチェーン上でスマートコントラクトを用いたDeFiの利用や取引の際にネットワーク使用料としてイーサ(ETH)が使用されます。
この時の手数料は、上記で紹介したバリデーターやノードに対して支払われる仕組みとなっており、一般的に「ガス」「ガス代」と呼ばれています。
ガス代とは何か
先ほど紹介したスマートコントラクト実行のための「燃料」についてこの章では解説を行います。
ガス代が必要な理由
これまでの取引ではAさんの持っているコインをBさんに送る処理を行うだけでブロックチェーン上での処理が完了できました。
しかしながらスマートコントラクトが利用可能になり、一つの処理の中に何個ものトランザクションが発生するようになりました。
つまり、これまでよりも複雑な処理が求められるようになりバリデーターはより簡単な処理を優先させる可能性がありました。
そこで、作業量に応じて手数料を設定し複雑なトランザクションにはより多くの手数料がかかる仕組みにして、より平等にトランザクションが記録される仕組みが必要でした。
ガス代の概念
上記の理由から、イーサリアムブロックチェーンではトランザクションに必要な処理数(計算量)を測定するための単位である【wei】が利用され、ガス代を算出する仕組みが導入されました。
weiはイーサ(ETH)の最小単位としての役割があり、【1 wei = 0.000000000000000001 ETH】となっています。
ガス代の仕組み
この章ではこれまで紹介したガス代がどのような仕組みで利用されているかについて解説を行っていきます。
ガス価格とガスリミット
ガス価格
ガス価格は、上記でも説明したようにイーサリアムネットワーク上でトランザクションを処理するために支払う1単位あたりの価格です。通常、これはGwei(ギガウェイ)という単位で表されます。
$$
1 Gwei = 10^9 Wei(1,000,000,000 Wei)
$$
$$
1 ETH = 10^{18} Wei(1,000,000,000,000,000,000 Wei)
$$
つまり、
$$
1 ETH = 10^9 Gwei(1,000,000,000 Gwei)
$$
となります。
ガス価格は市場の需要と供給によって決定され、ネットワークが混雑している時は高くなる傾向があります。その時の市場で支払われているガス代よりも高いガス代を支払うとより早くトランザクションが承認される可能性が高くなります。
ガスリミット
ガスリミットは、一つのトランザクションで使用できるガスの最大量を指定します。これは、トランザクションの複雑さに応じて設定される必要があります。
下記にあるようにトランザクションが複雑になるとガスリミットも上昇します。
単純な送金:21,000ガス
トークン転送:約65,000ガス
スマートコントラクトの実行:100,000ガス以上(複雑さによる)
ガス代の計算方法
ガス代の計算は以下の式で表されます:
ガス代 = ガス価格 × 使用されたガス量
例えば、ガス価格が20 Gwei、使用されたガス量が21,000の場合、ガス代は420,000 Gwei(0.00042 ETH)となります。
この時のガス量の最大値は先ほど紹介したガスリミットの値になります。
ガス代が変動する要因
ガス代は常に一定ではなく、以下のような要因によって変動します:
ネットワークの混雑状況
トランザクションの複雑さ
市場の需要と供給
イーサリアムの価格変動
イーサ(ETH)の供給量調節
ガス代はイーサリアムネットワークの経済的な側面も担っています。支払われたガス代の一部は「バーン(焼却)」され、流通しているETHの総量を減少させる役割を果たしています。これにより、インフレーションを抑制し、ETHの価値を維持する効果があります。
以上が「ガス代の仕組み」の概要です。この基本的な知識を持つことで、イーサリアムネットワークをより効果的に利用できるようになるでしょう。
最後に
イーサリアムのガス代は、なじみのない方にとっては複雑に感じるかもしれませんが、基本的には「ネットワーク使用料」だと考えると分かりやすいと思います!
ガス代の大きなポイントとしては、取引の複雑さや急ぎ具合によって料金が変わり、混雑時には高くなる傾向があるということです。
また、このガス代はネットワークの維持だけでなく、イーサ(ETH)の価値を保つ役割も果たしています。
難しい内容でしたが、この記事で少しでも理解が深まればと思います!