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ブロックチェーンの合意形成アルゴリズムについて

はじめに

Project LUCKと書く人

Project LUCKメンバーの松永です!Project LUCKというのは、株式会社マーキュリー(代表取締役:都木聡)の中で立ち上げたプロジェクトです。そのコアメンバーが日々、自分たちが学んだことや読者の皆さんとコミュニケーションをとりたいと思い、さまざまな記事を書いています。

今回のテーマ

今回は、ビットコインの根幹技術である【ブロックチェーンの合意形成アルゴリズム】に関して、その大枠の意味についてご説明したいと思います!

少し難しいテーマとなりますが、ブロックチェーンシステムにおいて、【合意形成アルゴリズム】の本来の意味に加え、合意する内容や流れ、また、どのような前提の下で合意形成が可能かを知ることで、ブロックチェーン技術の理解の助けになればと思います!


ブロックチェーンにおける合意形成

そもそも、【通貨の移転管理】というものは、送金元の口座から送金先の口座へどれだけの通貨を移すかが記された「台帳」に従って行われます。例えば、「送金元口座から送金先口座へ指定通貨量だけ移動」とした利用者の要求トランザクションが台帳に記載され、それに則り、口座間で通貨の移動が実行される形となります。もし、この台帳が改ざんできてしまうと、それはつまり不正操作となるため、円やドルなどのいわゆる法定通貨ではシステムを運用する銀行が台帳を保護する役割を担っているのが通常です。

それに対し、ビットコインが目指したものとして特定の機関に頼らない台帳の保護があります。トランザクションを複数個ごとに【ブロック】と呼ばれるデータにまとめ、そのブロックの連鎖構造である【ブロックチェーン】を作り、これを各利用者で共有・管理するというものになります。

しかし、誰もが自由にブロックの連鎖構造を作れてしまうと不正なトランザクションが入れられてしまう恐れがあるため、適切なブロックかどうかを各利用者が相互に確認して合意する「合意形成」が行われるのです。
ブロックチェーンは、取引情報を安全に管理する「ブロックの連鎖構造」と「合意形成」に着目することで、汎用的なデータ(デジタルアセット)にも利用できるようにしたものとなるのです。

合意形成アルゴリズム

代表的な合意形成アルゴリズム:PoSとPoWの違い

ここでは代表的な合意形成アルゴリズムであるPoWPoSの違いについて説明させていただきます。

Proof of Work (PoW) とは、暗号資産ネットワークに使用される中でも、最もポピュラーなコンセンサスアルゴリズムとなります。(代表的な通貨:BTC(ビットコイン)・LTC(ライトコイン))『PoW』では、作業が問題なく完了し、それが有効であったことを証明するためには、ネットワークに参加するノードが必要になります。加えて、ビットコインのようなマイニングのデメリットとして、膨大なエネルギーの消費と長いプロセス時間の経過が必要になります。

Proof of Stake (PoS)は、【PoW】に取って代わる、 低コスト・低エネルギー消費を特徴としたアルゴリズムとなります。(代表的な通貨:ETH(イーサリアム))加えて、マイニングによる報酬について、【PoS】はコインの保有量や年数で、【PoW】は計算した量によって決まるという違いがあります。この「保有量と保有年数」で報酬が決まる仕組みは、コインエイジ(Coin Age)と呼ばれています。『PoS』では仕事量によらず、仮想通貨をより多く、より長く持っていることが報酬条件に影響し、また、マイニングのシステムを少し複雑にすることで、権力集中を防ぐことができるように開発されています。

出展:CoinDesk Japan "PoWとPoSの仕組みの違いは? 採用する代表的な暗号資産も紹介"

特徴的な合意形成アルゴリズム:PoAとPoH

Proof of Authority(PoA)は、ブロックチェーンにおける一種のコンセンサスアルゴリズムです。PoAは、信頼性のあるノード(これを”Authority:オーソリティ"と捉える)がブロック生成および検証権限を持つ方式となります。そこでは、ネットワーク参加者は信頼性のあるノードから認識され、承認を受ける必要があります。そして、【オーソリティノード】は、そのネットワークのルールに従い、新しいブロックを生成および検証を行います。一般的には、【オーソリティノード】は特定の組織や個人によって選ばれ、信頼性や技術的な能力に基づいて役割が与えられます。PoAを採用している暗号資産としては、ETC(イーサリアムクラシック)があります。

次に、Proof of History(PoH)とは、SOL(ソラナ)が独自に採用しているコンセンサスアルゴリズムであり、SOL(ソラナ)の秒間50,000トランザクションを実現している要素の1つです。従来のブロックチェーン・コンセンサスアルゴリズムでは、ブロックを繋げる度にその確認作業を行うことで整合性を維持していましたが、結果的に時間を要し、トランザクション速度遅くなるという不都合が生じていました。これに対しSOL(ソラナ)では、この確認作業に時間を取られないようPoHが開発されました。これにより、各ノード毎に作業履歴を作成、公開されながら間違いがないかを確認できるようになっており、ノード同士で通信を行うことなく、桁違いのトランザクション数を記録しています。

引用

ブロックチェーンの合意形成アルゴリズム ("今だからこそ知りたい ブロックチェーンの基礎 解説 ブロックチェーンの 合意形成アルゴリズム" 白石善明、掛井将平)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/14/1/14_19/_pdf 

コンセンサスアルゴリズム (大和総研)
https://www.dir.co.jp/world/entry/consensus-algorithm

What Are Consensus Mechanisms in Blockchain and Cryptocurrency? (THE INVESTOPEDIA TEAM, Updated May 18, 2024, Reviewed by JULIUS MANSA
https://www.investopedia.com/terms/c/consensus-mechanism-cryptocurrency.asp

An Overview of Blockchain Consensus Algorithms: Comparison, Challenges and Future Directions(Kebira Azbeg, Ouail Ouchetto, Said Jai Andaloussi, and Laila Fetjah)
https://bitcoin.org/bitcoin.pdf 

Proof of Authority(PoA)とは (Crypto 3.0)

【解説/PoH】コンセンサスアルゴリズム、PoHとは?メリットデメリットについて解説【Tzedakah徹底サポート】


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