見出し画像

BTCが準備資産に?ビットコイン法案について解説

はじめに

Project LUCKと書く人

Project LUCKメンバーの中西です!Project LUCKというのは、株式会社マーキュリー(代表取締役:都木聡)の中で立ち上げたプロジェクトです。そのコアメンバーが日々、自分たちが学んだことや読者の皆さんとコミュニケーションをとりたいと思い、さまざまな記事を書いています。

今回のテーマ

ビットコイン(BTC)はその特異な性質から「デジタルゴールド」として注目される一方で、国家や企業の準備資産としての可能性も議論されてきました。

また、アメリカ大統領選の結果を受けて、アメリカ共和党のルミス議員により、「連邦準備制度理事会(FRB)に戦略的準備金としてビットコインを保有することを義務づける法案」が上院に提出される予定だとも報道されています。

本記事では、まず準備資産の基本的な定義や役割を説明した上で、ビットコインの準備資産としてのポテンシャルについて掘り下げていきます。

そして最後に、ビットコイン法案の内容と展望について紹介します。


準備資産とは?

準備資産の定義

準備資産とは、国家や中央銀行が経済の安定を維持するために保有する資産の総称です。

その役割としては、通貨価値の信頼性を保つことや、国際取引における支払いの準備、また経済危機の備えとなることが挙げられます。

準備資産には、外貨準備(外国通貨や外貨建て有価証券)、金、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)などが含まれており、これらの資産は流動性が高く、国際的に受け入れられやすいという特徴を持っています。

一方、外貨準備は準備資産の主要な構成要素のひとつであり、多くの国家で外貨準備が準備資産の大部分を占めています。

これにより、経済や金融の報道や議論では、細かい違いを明確に区別せず、「準備資産=外貨準備」として簡略化して説明される場合も多いです。

日本における準備資産(外貨準備)

前章で「準備資産の定義」について解説しましたが、本章では具体例として、日本の準備資産(外貨準備)の内訳についてご紹介します。

日本の準備資産、特に外貨準備は、世界でも有数の規模を誇っており、2024年10月末時点で約1.2兆ドルに達しています。

日本では、財務省のホームページに 毎月末の残高(ドル建て)が公開されているため、いつでも確認することが可能です。

外貨準備のうち外国債券などの「証券」が全体の約75%を占めており、続いて「預金」が約13%、「金」が約6%となっています。

準備資産としてのビットコイン

ビットコイン(BTC)は、その特性からデジタル時代の準備資産として注目を集めています。

アメリカのシンクタンクであるビットコイン政策研究所(BPI)は、中央銀行がビットコインを準備資産に加えるべき理由として以下のポイントを挙げています。

まず、ビットコインは発行量が2,100万BTCに固定されているため、インフレに強い「価値保存手段」として期待されています。

また、中央管理者がいない分散型システムで運用されるため、経済危機や金融制裁の影響を受けにくいという特徴もあります。

さらに、他の資産との相関性が低いため、ポートフォリオ全体のリスク分散に寄与します。

特定の発行体に依存しないためデフォルトリスクがなく、地政学的リスクに対するヘッジ手段としても評価されています。また、市場規模の拡大とともに流動性も向上してきました。

一方、BPIは課題として、ビットコインの価格変動の激しさや規制の不透明さを挙げており、これらの問題を解決する必要性を強調しています。

このように、ビットコインは今後の可能性を秘めた資産である一方、慎重な検討が求められる段階にあるといえるでしょう。

ビットコイン法案とその展望

アメリカの親暗号資産派の議員として知られるシンシア・ルミス議員は、2024年7月末に「ビットコイン法案」を上院に提出しました。

この法案では、アメリカが総供給量の約5%にあたる100万BTCを取得し、最低20年間保有することを義務化する内容が盛り込まれています。

同時に、トランプ氏はアメリカ司法省が保有する約21万BTCを売却せず、戦略的準備金に充てる方針を示しており、今後の政策動向に注目が集まっています。

法案が実現すれば、10兆円を超える資金が市場に流入し、ビットコインの価格上昇が期待されるだけでなく、国際的な地位の向上も見込まれます。

しかし、膨大な資金投入がボラティリティを高める可能性や、アメリカが市場を支配することで分散型金融の理念と矛盾する懸念も指摘されています。

また、他国との競争が激化し、ビットコインを巡る「経済冷戦」に発展する可能性も否定できません。

このように、この法案は市場や国際関係に多大な影響を与える可能性を秘めています。

今後の議会での議論や市場の反応が、ビットコインの未来を左右する重要な分岐点となるでしょう。

参考文献






いいなと思ったら応援しよう!