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誰しも「アーティスト」なのである!

私は幼少期から、絵を描くのが好きだった。小学校時代は「クラスでも上手い方」に入っており、「絵と言えば◯◯さん(私)だね」とクラスメイトにも言われていた。休憩時間はドッヂボールよりも机でお絵かきが俄然好きだった。将来の夢は漫画家、画家、イラストレーター、など絵に関わる仕事につくと信じて疑わなかった。

そんな中、一つ目の挫折の時がやってきた。小学校6年生の頃、図工の時間で「卒業」をテーマに絵を描く事になった。私は卒業式をモチーフに描いていた、のだが、全く上手く行かない。在校生と、卒業生が向かいあってるような絵を描きたかったのだが、かなり苦戦してしまった。当時の担任の先生が見回っていたのだが、私の席から遠く離れたところで、クラスでも一番目立つ女子(頭脳明晰、スポーツ万能だが絵は特に得意ではない子)が先生に「元気があっていい絵やん」と褒められていたのが聞こえてきた。さらに続いてその女子が「◯◯さん(私)のはどうやった?絵上手いやん」と聞いていたのだ。先生はすかさず「全っ然良くなかったわ〜。なんか漫画みたい」と言っていたのである。
元々好きな先生では一切なかったが(推定50代後半の、おばちゃん先生)
「そんな事言う!?」という憤りと、実際に言われた事が図星だったためかなり落ち込んでしまった。

その後中学に入学し、クラスの数も、クラスメイトの人数もどっと増えた。「上には上がいる」とは言うが、本当にその通りで、「とんでもなく絵が上手い子達」がたくさんいたのだ。とてもじゃないけれど太刀打ちできない、なんなら「え、本当に中学生なの?今すぐにプロになれるんじゃね?」くらいに上手い子もいた。
私が憧れた「上手い絵」のジャンルは大きく二つに分かれた。一つはいわゆるTHE・漫画絵。自分でノートに漫画を書いてる子も多かった。もちろん一口に漫画絵と言ってもそれぞれ個性がありその中でもまたジャンルは多少分かれるのだが、皆それぞれ、本当にすごいなと思う子が何人もいた。
そしてもう一つのジャンルは、まるで外国のイラストレーターのようなおしゃれで独創的な「イラスト」だった。「パリ」を彷彿とするような、今すぐにでもお洒落な雑貨のモチーフや、洋書の挿絵に使えるんじゃないかと思うくらい、とにかく中学生とは思えないセンス溢れる絵を描ける子がなんと3人ほど(!)いたのだ。
中学の前半は、「漫画絵」を書ける子たちに猛烈に憧れ嫉妬し、後半は自身の海外への興味が強くなってきた事も手伝って「外国風のオシャレなイラスト」を描ける子に猛烈に憧れ、嫉妬した。当時、彼女達にノートに描いてもらったイラストの写真が今も残っているが、今見ても決して見劣りせず、本当にすごい才能だと思う。今まったく連絡を取っていないが、どうしているのだろうか。私からするとあの才能、ぜひどこかに活かしていてほしいなと思っている。(グッズとかあったら欲しいもん)

さてかくいう私はというと、漫画絵は右利きあるあるの「向かってちょっと左向きの顔の正面の、しかも首まで」しか書けない。イラスト風の絵にもチャレンジはしたが例の彼女達の真似事にしかならず、それもとりたてて上手いとは言えない絵しか書けない自分の限界に早々に気づき、絵を仕事にするなんてもってのほかだなと挫折した。今もたまーーに書きたくなる事はあるが、やはり「うーーん(笑)」という出来栄えである。

しかし、高校生から短大生にかけて、逆に振り切った「意味不明の変な絵」を紙一面にぎっしり描く事にハマった。なんとも形容しがたい、外国の壁の落書きのような雰囲気の絵だ。一部の友人にはそのめちゃくちゃぶりを気に入ってもらえ「ある意味アートだ」と部屋の壁に飾ってくれたりもした。たしかに、今思えばあれはアートと言い切ってしまえばアートな気がするのだ。
近年アートフェスなどに出店しているアーティストさん達の絵を見ても一見「お子さんが描いた絵?」と思うような、いわゆる「上手い」とはかけ離れている作品を売りにしてる方もたくさんいて、アートとは奥深いなあと思った。と、いうより「私はアーティストである。私の作品はアートなのである」と言い切ってしまえば、それはアートになるのだと思う。いや、こういう言う方をすると「アートをなめている」「誰でもアーティストになれるわけないだろ」と言う声が聞こえてきそうだが、そのように軽視してるわけでは決してなく、自身をアーティストであると名乗る事の重要性を感じているのである。

上記の学生時代の友人達だけでなく、ネットで知り合った友人などでもとんでもなく絵が上手い方々がいた。ただ上手い、だけでなくオリジナリティとセンスに溢れる、本当に素敵な作品を描く人もいた。が、私の知る限り彼女らは絵を仕事にしていない。それどころか「いやいや、私なんて。仕事にできるレベルじゃないよ」「ただの趣味だよ」などと言う。でも、もし彼女らが自身を持って「私はアーティストである」と名乗り、名刺を作ったりWEBサイトを作ったりアートフェスに出店していたりしたら世界は広がっていたのではと考えてしまう。

ただ「上手い絵」だけを比べればそりゃあ上には上がいる。でもアートってそういう事ではないんだろうなとも思う。私の描く決して上手くはない絵だって、私にしか描けない味のある、「アート」なのである。

ちなみにトップ画像は私が描いて部屋に飾っている絵である。「自分の絵を飾る」というのは自己肯定感を上げる一つの方法だと思う。ぜひ試してみてほしい。

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