2025年、第35回JMO一次予選の個人的解説、解答速報

私は今年、本番で時間配分を思い切りミスって全く解けず、実力が発揮できなかったので、ここで時間を気にせずに回答してやろうじゃないかという自己満足記事です。
著作権問題が怖いので、問題文は乗せません(じゃあ解説はいいのかってなりますが。。。)
間違い等あるかもしれないので、余り信用しすぎないで欲しいのと、みつけたら報告していただけるとありがたいです。
1/18現在、12を除く11問が解けています。

(数学記号の記法)

最大公約数…gcd(m,n)
整数nが素数pで割り切れる最大の回数(位数)→vp(n)
関数fによる像→im(f)
n<i,i<0の場合0とした二項係数→(n i)



1問目


4と7、5と6、5と7、6と7が隣り合わないようにすることになる。
7は真ん中には入らないため、7の絶対位置は周囲の6通り。
また、4,5,6は7に隣り合わない3マスに入り、順番は(546)(645)の2通り。
1,2,3は条件と関係ないので、残りの3マスに自由に入れて3!=6通り。
よって、答えは6×2×6=72。

コメント…こういう系はすべてを同時に考えようとするより、とりあえず一番条件のきついやつ(今回は7)から順に当てはめると、続きの解法がおのずと出てくるかも。


2問目


2025=3⁴×5²であり、a,b,c,dの3,5の素因数の肩(位数)をそれぞれ
a→x₁,y₁
b→x₂,y₂
c→x₃,y₃
d→x₄,y₄(xi,yiは非負整数)
とすると、条件はx₁+x₂+x₃+x₄=4,y₁+y₂+y₃+y₄=2かつx₁,x₂,x₃,x₄の偶奇がすべて一致し、y₁,y₂,y₃,y₄の偶奇もすべて一致すると言い換えられる。
xの組は順序を無視して、(2,2,0,0)(1,1,1,1)(4,0,0,0)のどれか、yの組は順序を無視して(2,0,0,0)のため、答えは
(6+1+4)×4=44

コメント…2025が平方数であることにちなんだ問題かな?


3問目


n=1,2,4,5,7,8について、3n+2の和をとると93となり、デッドスペースは7個までしか許されない。
大きい方から考えると、デッドスペースの条件を満たすP₈の置き方は4通り、内側の8×9の長方形に、最大幅9のP₇を置く方法は、向きが制限されて2通り。
そして、内側には7×7の正方形のスペースが残る。

一般に、(n+2)×(n+2)の正方形に、n-1以上のデッドスペースが残らないようにPn,Pn-1を置く方法は2×4=8通りであり、最終的にn×nの正方形の有効スペースが残る事がわかり、同時にデッドスペースも2つ生じる事がわかる。
よって、帰納法により、P1,2,4,5,7,8を置く方法は8³=512

コメント…ピースが(n+1)×(n+2)の長方形からn×nの正方形をくり抜いた形であることに気づけば解法が見えたかも。
一般に、n=3k-1および3k-2(kは1≦k≦Nなる整数)であるようなすべてのnについて、Pnを(3N+1)×(3N+1)の正方形に置く方法は8^Nです。


4問目


自然数nを6で割った余りから2,3で割った余りが、また4で割った余りからも2で割った余りが自動で以下のように決まる。

mod6,2,3→(0,0,0)(1,1,1)(2,0,2)(3,1,0)(4,0,1)(5,1,2)
mod4,2→(0,0)(1,1)(2,0)(3,1)

条件を満たすには、mod6,2,3の組が(3,1,0)(4,0,1)(5,1,2)、
mod4,2の組が(2,0)(3,1)のいずれかである必要があり、
ここから更に条件を満たすような組み合わせを選ぶと、mod2,3,4,6の組は
(0,1,2,4)(1,2,3,5)となる。
中国剰余定理的に、mod5は他のどれとも制約はなく、残りからいずれもとり得、mod2,3,4,5,6は(0,1,2,3,4)(1,2,3,4,5)(1,2,3,0,5)となる。

これを、2,3,4,5,6の最小公倍数であるmod60で表現する事を考える。
(0,1,2,3,4),(1,2,3,4,5)に関しては、それぞれに2,1を加えると(0,0,0,0,0)になることから、mod60は58,59である。
(1,2,3,0,5)に関して、これは(1,2,3,4,5)と比べるとmod5の値だけ異なるため、mod60は59と12の倍数だけ異なると考えられる。
mod5が1だけ増加するような12の倍数を考えると、+36が挙げられ、mod60は36+59≡35となる。
1000以下の正整数であり、mod60が58,59,35のいずれかであるものは、
(1000-58)/60+1=16 .~
(1000-59)/60+1=16.~
(1000-35)/60+1=17.~
より、答えは17+16+16=49

コメント…私は最後の+1をするのを忘れ、16+15+15=46と答えてしまいました。
皆さんは気をつけてください。


5問目


四角形ABCDが円に内接するため、⊿QCD∽⊿QAB,⊿PBC∽⊿PDA。
これらの三角形に注目したとき、半径3の円は⊿QCDの内接円、半径6の円は⊿QABおよび⊿PDAの内接円、半径5の円は⊿PBCの内接円に当たるため、三角形とその内接円を含めた図形の相似を考えることで、これらの相似比は⊿QCD:⊿QAB→3:6=1:2
⊿PBC:⊿PDA→5:6
より
CD:AB=1:2,BC:DA=5:6…①

ここで、四角形ABCDは内接円を持つため、辺長の条件

AB+CD=BC+DA

を満たし、①より

CD:(AB+CD)=1:3,BC:(BC+DA)=5:11
CD:BC=1/3:5/11

よって、BC/CD=15/11。

コメント…和算の算額でよくある円がいっぱいの構図ですね。
本番では僕は半径6の円が傍接円にしか見えなくて、その計算ばかりやって時間を食ってしまいました。


6問目


どちらの場合にせよ、an+bnはnによらず常に一定であることがわかる。
よって、bn=(a₁+b₁)-anであり、anの漸化式だけ考えると、

a_(n+1)=an/2または(an+a₁+b₁)/2

となる。
このような数列{an}が正整数列となれば、bn=(a₁+b₁)-anよりbnも整数列となり、元の定義に戻ると、bnは0や負になりえないことがわかるため、bnは自動で正整数列になる。
また、ある数列{an}について、ある項が正整数となった場合、そこから元に戻るような操作を考えることで、それまでの項も全て正整数であることがわかる。
よって、(a₁,b₁)に対して正整数列{an},{bn}が存在するための必要十分条件は、

「いくらでも大きい正整数Nおよび、それに対して1,0からなる正整数列{xn}(n=0,1,…,N-1)が存在し、数列{cn}(n=0,1,…,N)を

c₀=a₁
c_(n+1)=(cn+(a₁+b₁)xn)/2(n=0,1,…,N-1)

と定義したとき、c_Nが正整数である」

ことである。
帰納法により、
(2^N)c_N=a₁+(a₁+b₁)Σ(0≦i≦N-1)(xi・2^(N-1-i))

であることが示される。
2進法の原理により、x=Σ(0≦i≦N-1)(xi・2^(N-1-i))とおくと、xは0以上2^N未満の任意の整数値をとり得、

(2^N)c_N-(a₁+b₁)x=a₁

上記の式は(c_N,x)に関する不定方程式であり、解が存在するための必要十分条件はa₁がgcd(2^N,a₁+b₁)で割り切れることである。
十分大きなNについて、gcd(2^N,a₁+b₁)=2^(v₂(a₁+b₁))であるため、
v₂(a₁+b₁)≦v₂(a₁)
以降、上記の式を満たさない、すなわち
v₂(a₁+b₁)>v₂(a₁)…①
なるa₁,b₁(1≦a₁,b₁≦40)の個数を考える。
簡単なmod計算により、①はv₂(a₁)=v₂(b₁)と同値であることがわかる。
1≦x≦40なるxについて、2⁵<40<2⁶よりv₂(x)は0,1,2,3,4,5があり得、
40/2=20
20/2=10
10/2=5
5/2=2.5
2/2=1
よりv₂(x)=0,1,2,3,4,5なるxはそれぞれ
40-20=20、20-10=10、10-5=5、5-2=3、2-1=1、1個である。
よって、①をみたす(a₁,b₁)は20²+10²+5²+3²+1²+1²=536個であり、
答えは40²-536=1064個。

コメント…今回のようなゲーム性のある数列、数字書き換えの問題は、不変量(今回のan+bn)を見つけたり、行動を指示・表現する数列(今回のxn)を導入するなどの戦略があります。

7問目


左下のマスから、i列目、j行目にあるマスを(i,j)(i,jは1≦i≦25,1≦j≦20なる整数)とする。
2≦k≦45なる整数kについて、i+j=kなる(i,j)をk斜線とすると、マンハッタン距離的な考察により、一回の操作で1つの斜線のうち2マス以上に数字を書くことはできないことがわかる。

21≦k≦26なる各整数kについて、k斜線は20個のマスからなり、一回の操作でこれら20個のうち2つ以上に数字を書くことはできないため、すべてのマスに数字を書く最小のターン数は20以上である。
実際、これは1行ずつ全てのマスを順に数字を書いていく操作を20回繰り返すことで実現可能であるため、20ターンですべてのマスに数字を書く場合の数を考えれば良い。

k=21のときのk斜線は(1,20),(2,19),…,(20,1)からなり、これらに書き込まれた数字は相異なるため、その順番は20!通りである。
これらが順に1,2,…,20と書き込まれていた場合の数を考え、後で×20!をすれば答えが求まる。
kが22≦k≦26の場合も、k斜線には1,2,…,20が一回ずつ書き込まれるが、同一の整数が書かれたマス全体は一つにつながっているため、kによってその順番が入れ替わることはない。


2≦k≦20なるk斜線について、kが21から1ずつ減少すると、k斜線に含まれるマスの数も20から1ずつ減少し、これらには相異なるk-1個の整数が書かれている。
また、これらの各マスにかかれている数は、その上か右にも同じ数が書かれているため、kが21から1ずつ減少すると、k斜線に含まれる相異なるk−1個の数字からちょうど1つがなくなるといえる。
さらに、(k+1)斜線からちょうど1つなくした数たちを、その上か右にも同じ数が書かれているようにk斜線に並べる方法は、一つ前の順序を保つようなちょうど1通りのため、2≦k≦20なるk斜線たちに数字を書く方法は(1,2,…,20)から数字を残り1つまで1つずつ消していく方法と一対一対応しており、これは20!通り。※

同様に、27≦k≦45なるk斜線たちに数字を書く方法も20!通りであり、
答えは(20!)³通り。


※で囲んだ部分の別解…
iターン目(iは1≦i≦20なる正整数)にiを書いたA₁マスの行として、1〜(21-i)があり得る。
i=1,2,..,20の順に当てはめていくことを考える。
それまでに当てはめたマスを避けて、(i,21-i)とs行目のマスを結ぶことを考える。(sは1≦s≦21-iなる正整数)
その結ぶ経路の左側に空白ができてしまうと、二度とそのマスに数字が書かれることはないため、それは不適切である。
よって、常に既に書かれたマスや左の壁の右端に沿うように書く必要があり、これはsが定まると高々1通りであることがわかる。

さらに、i-1回目までのターンではi行目以右には数字を書けないため、i回目のターンでs行目に数字を書くことができないということは起こり得ない。

よって、各iに対してsを選ぶ方法が、2≦k≦20なるk斜線たちに数字を書く方法と一対一対応していることを示すことができ、その場合の数は21-i(i=1,2,…,20)の総積であり、通常の解法と同様に20!と計算できる。

コメント…別解がよくあるのもC分野の醍醐味ですね。
別解を私は先に思いついたのですが、本解のほうが簡潔なのでそちらを選びました。
マンハッタン距離の理解があると、その円である斜線による分割が思いつきやすいのではないでしょうか。


8問目


美しい列の条件3について、

(ai+ak)/2≦(ai+an)/2
a_(i+1)≦aj

より、各1≦i≦n-2についてj=i+1,k=nの場合のみ考えれば十分である。
すなわち、

(ai+an)/2≦a_(i+1)
0≦2a_(i+1)-ai-an…①

となり、①は条件3のための十分条件である。

数列bk(k=1,2,…,n-1)を

bk=2a_(k+1)-ak-an

と定義すると、①より{bk}は非負整数列である。
逆に、非負整数列{bk}があらかじめ定まっているとき、数列{ak}は、

ak=2a_(k+1)-bk-an(k=1,2,…,n-1)

となり、数列{ak}についての逆向きの漸化式が立てられる。

an=an
ak=2a_(k+1)-bk-an(k=1,2,…,n-1)

として逆向きに漸化式を解くと、
(an-x)=0
(ak-x)=2(a_(k+1)-x)
より、
ak=
x-(b_(n-1)2^(n-1-k)+b_(n-2)2^(n-2-k)+…+bk2⁰)
…②
となる。
ただし、k=nの場合、右辺第2項は0と約束する。
k=n-1の場合、a_(n-1)=an-b_(n-1)
であり、a_(n-1)<anより、b_(n-1)>0である。
さらに、b_(n-1)>0の場合、自然に{ak}は狭義単調増加になる。
また、美しい列の条件1より、
a₁=
an-(b_(n-1)2^(n-2)+…+b₁2⁰)=0
…③
美しい列の条件2より、1≦I≦nなるI∈ℤが存在し、
aI
=an-(b_(n-1)2^(n-1-I)+…+bI2⁰)
=2025…④

となる。
そして、③④を満たし、b_(n-1)>0なるような任意の非負整数列{bk}について、②によって計算される{ak}は美しい列となる。
③④より、

an=(b_(n-1)2^(n-1-I)+…+bI2⁰)+2025…⑤

(b_(n-1)2^(n-2)+…+b₁2⁰)-
(b_(n-1)2^(n-1-I)+…+bI2⁰)=2025…⑥

⑥について、I=1だと左辺がゼロになるため、I>1であり、
(b_(I-1)2^(I-2)+…+b₁2⁰)+
(2^(I-1)-1)(b_(n-1)2^(n-1-I)+…+bI2⁰)=2025
x=(b_(n-1)2^(n-1-I)+…+bI2⁰)とすると、an=x+2025となり、⑥は

(b_(I-1)2^(I-2)+…+b₁2⁰)+(2^(I-1)-1)x=2025…⑦

と表せる。
nとしてあり得る最大値Nを考える。
I=nの場合、x=0となり、⑦より
2025= b_(n-1)2^(n-2)+…+b₁2⁰≧2^(n-2)

2¹¹>2025>2¹⁰より、I=nの場合、nとしてあり得る最大値は12であり
b₁₁=1,
b₁₀〜b₂=0,b₁=2025-1024=1001などで等号が成立する。

I≦nの場合、xは2^(n-1-I)以上の整数であり、⑦より、

2025=(b_(I-1)2^(I-2)+…+b₁2⁰)+(2^(I-1)-1)x
≧(2^(I-1)-1)2^(n-1-I)
=2^(n-2)-2^(n-1-I)
≧2^(n-2)-2^(n-3)=2^(n-3)

よって、I<nの場合、nとしてあり得る最大値は13であり
I=2
b₁₂=1,b₁₁〜b₂=0,b₁=1001などで等号が成立する。

以上より、N=13であると分かる。
次に、an=a₁₃としてあり得る最小値を求める。
an=2025+xより、xとしてあり得る最小値を考えればよい。
x≧2^(n-1-I)=2^(12-I)であり、先程の計算より

2025≧2^(n-2)-2^(n-1-I)=2¹¹-2^(12-I)
2^(12-I)≧23

2⁵>23>2⁴より、xとしてあり得る最小値は32であり、これは
I=5+2=7
b₁₂=1
b₁₁,…,b₂=0,b₁=2025-(2¹¹-2⁵)=9などで等号成立する。

よって、aNとしてあり得る最小値は、
aN=2025+32=2057。

コメント…数列等の問題で、メインと思える条件が簡単な不等式である場合、その差を変数で置く(今回のbk)ことで、条件がより簡単になったりすることがあります。
数列ではありませんが、三角不等式のravi変換も同様のアイデアですね。

9問目



問9の図


AB<ACとしても一般性は崩れない。
直線AO,BCの交点をQとする。
∠AED=∠AOD=∠AFD=90°より、5点A,E,G,O,Fは共円である。
また、∠ADB=∠ADC=90°より、
∠EBQ
=90°-∠EDB
=∠ADE
=∠AOE(4点A,E,D,Oが共円)
=180°-∠EOQ→4点E,B,Q,Oが共円

∠FCQ
=90°-∠FDC
=∠ADF
=∠AOF(4点A,F,D,Oが共円)
=180°-∠FOQ→4点F,C,Q,Oが共円

よって、⊿AOB∽⊿AEQ,⊿AOC∽⊿AFQであり、⊿AOB,⊿AOCは二等辺三角形(→Oが外心)のため、⊿AEQ,⊿AFQも二等辺三角形となり、四角形AEQFは凧形となる。
凧形の性質より、AP=PQ,AP⊥EFとなり、

AP=PQ,∠ADQ=90°→3点ADQはPを中心とする円周上にあり、AP=PD

AP⊥EF,∠AOD=90°→EF//DOであり、四角形EFODは等脚台形

AP=PD=11,OD=4√7,∠POD=90°のため、三平方の定理より
PO=√((11²-(4√7)²)=3
EF=xと置くと、対称性よりEP=(x+4√7)/2,PF=(x-4√7)/2
方べきの定理より、
(x+4√7)/2・(x-4√7)/2=AP・PO=11・3=33
x²-(4√7)²=132
x=2√61

よって答えはEF=2√61

コメント…反転幾何の言葉を使うと、Aを中心とし、Dを通る円の反転によって、B⇔E,Q⇔O,C⇔Fが互いに移り合うような構図を作り出せると説明でき、ここからひらめく人もいたかと思います。

10問目

関数g:ℤ→Sを、任意の整数nについてg(n)≡n(mod9)なるよう一意的に定義できる。
すると、fの条件は、

任意のx,y∈ℤについて、
g(f(g(x))f(g(y)))=f(f(g(x+y)))…①
である

と言い換えられる。

(ⅰ)f(g(a))∈{0,3,6}なるa∈ℤが存在する場合
①にx=y=aを代入すると
g(f(g(a))²)=f(f(g(2a)))
f(f(g(2a)))=0
改めて、①にy=f(g(2a))を代入すると、
g(f(g(x))f(g(f(g(2a)))))=g(f(g(x))f(f(g(2a))))=0=f(f(g(x+f(g(2a)))))

f(f(g(x+f(g(2a)))))=0

よって、任意のxについてf(f(g(x)))=0であり、①より、
g(f(g(x))f(g(y)))=f(f(g(x+y)))=0
g(f(g(x))f(g(y)))=0
ここで、f(g(b))∉{0,3,6}なるb∈ℤが存在すると仮定すると、x=y=bとしたとき上記の式を満たさないため、任意のx∈Sについて、f(x)∈(0,3,6),f(f(x))=0となる。
また、この2つを満たすとき、①も満たすことがわかる。

f(x)∈{0,3,6},f(f(x))=0なる関数fがいくつあるか考える。
f(f(f(x)))=f(0)=0よりf(0)=0である。
f(3),f(6)が取る値の組を考えると、条件を満たすものは
(f(3),f(6))=(0,0)(6,0)(0,3)の3つのみである。
x=1,2,4,5,7,8について、f(x)の取る値は、(f(3),f(6))=(0,0)の場合0,3,6全て、
(f(3),f(6))=(6,0)の場合0,6の2つ、
(f(3),f(6))=(0,3)の場合0,3の2つのため、
関数fの個数は、
3⁶+2⁶+2⁶=857である。

(ⅱ)任意のx∈ℤについて、f(g(x))∈{1,2,4,5,7,8}である場合

fの条件より、x,y∈im(f)とすると、g(xy)∈im(f)であり、
x∈im(f),n∈ℕとすると、帰納法によりg(x^n)∈im(f)であることがわかる。
オイラーのφ関数を用いて、n=φ(9)=6とすると、オイラーの定理より、
g(x^n)=1∈im(f)となるため、あるa∈Sが存在し、f(a)=1となる。

①にy=aを代入し、
g(f(g(x))f(g(a)))=f(f(g(x+a)))
f(g(x))=f(f(g(x+a)))…②
②にx=0を代入し、
f(0)=f(f(a))=f(1)

改めて、①にy=0,1を代入すると、f(0)=f(1)よりその2式の左辺は等しくなり、右辺を比べると、

f(f(g(x)))=f(f(g(x+1)))

よって、関数f(f(g(x)))は定数関数である。
さらに、②より、f(x)も定数関数であることがわかり、f(x)=c∈{1,2,4,5,7,8}とすると、条件式①は、

g(c²)=c
c²-c≡0(mod9)
c≡1

よって、f(x)=1となり、これは解の一つである。

(ⅰ)(ⅱ)より、fの個数は858。

コメント…整数のmodと関数方程式の複合ですね。
im(f)が積について閉じていることを読み取れたら、(i)(ii)の場合分けが思いつき、さらにオイラーの定理などのアイデアに繋げられると思います。

11問目

n回目の操作後の星団にある星は、最初の状態において、ある星からある星(その2つは同じでも良い)へ、直行便に沿ってn回移動する経路に1対1対応して建設されることが、帰納法によって示される。
ただし、この経路において、同じ星や直行便を何度経由してもいいものとする。

例(n=3の場合)
何らかの星を・で、直行便を→で表す。
・→・→・→・
という経路から操作を3回行うと、
・→・→・→・
 ・→・→・
  ・→・
   ・
と、最終的に1つの星が残る。

また、
「最初の星団における重要度がa₀,a₁,…,anである星を順に移るような経路」
と対応して建設される星の重要度は、
Σ(0≦i≦n)((n i)×ai)
であることが帰納法により示される(パスカルの三角形を考えると頷ける)。

よって、求めるべき、100回目の操作で残る星の重要度の和Sは、最初にある星団の直行便に沿って100回移動する経路全てにおける
Σ(0≦i≦100)((100 i)×ai)の総和に等しい。


ここで、最初の星団において、星を(O)(A,C)(B,D)の3グループに分けると、
(O)からは(A,C)に移動する2通り、(A,C)からは(B,D)に移動する2通り、(B,D)からは(O)に移動する1通りがある。
よって、Oから始まる経路では、(O)→(A,C)→(B,D)→(O)のサイクルを33回繰り返した後、(O)→(A,C)の移動が1回なので、
経路は2^(2×33+1)=2⁶⁷通りであり、{a₀,a₁,a₂,a₃,…,a₁₀₀}={0,1,1,0,1,1,…,0,1,1,0,1}
となる。
同様に、
(A,C)から始まる経路では、
(A,C)→(B,D)→(O)→(A,C)のサイクルを33回繰り返した後、(A,C)→(B,D)の移動が1回なので、経路は2^(2×33+1)=2⁶⁷通りであり、{a₀,a₁,a₂,a₃,…,a₁₀₀}={1,1,0,1,1,0,…,1,1,0,1,1}となる。

(B,D)から始まる経路では、
(B,D)→(O)→(A,C)→(B,D)のサイクルを33回繰り返した後、(B,D)→(O)の移動が1回なので、経路は2^(2×33)=2⁶⁶通りであり、{a₀,a₁,a₂,a₃,…,a₁₀₀}={1,0,1,1,0,1,…,1,0,1,1,0}となる。

よって、Sは任意の0≦i≦100なる整数iすべてについて、
i≡0(mod3)の場合

(100 i)×(0×2⁶⁷+1×2⁶⁷×2+1×2⁶⁶×2)
=3×2⁶⁷×(100 i)

i≡1(mod3)の場合

(100 i)×(1×2⁶⁷+1×2⁶⁷×2+0×2⁶⁶×2)
=3×2⁶⁷×(100 i)

i≡2(mod3)の場合

(100 i)×(1×2⁶⁷+0×2⁶⁷×2+1×2⁶⁶×2)
=2×2⁶⁷×(100 i)

の総和であり、
S=
3×2⁶⁷×Σ(0≦i≦100)((100 i))
-2⁶⁷Σ(0≦j≦32)((100 3j+2))
=3×2¹⁶⁷-2⁶⁷Σ(0≦j≦32)((100 3j+2))

ここで、数列{ck}(k=0,1,…,)を、
ck=Σ(0≦j≦k)((3k+4 3j+2))
と定義すると、c₀=6,S=3×2¹⁶⁷-2⁶⁷c₃₂であり、

c_(k+1)=Σ(0≦j≦k+1)((3k+7 3j+2))
=Σ(0≦j≦k)((3k+4 3j+2)+
3(3k+4 3j+1)+3(3k+4 3j)+(3k+4 3j-1))
=3Σ(0≦j≦3k+4)((3k+4 j))
-Σ(0≦j≦k)((3k+4 3j+2))
=3×2^(3k+4)-ck

c₀=6,c_(k+1)=3×2^(3k+4)-ckについて、
ck=(2^(3k+4))/3+dkという置換により、
ck=(2(-1)^k+2^(3k+4))/3と一般項が求まる。
よって、答えは、
S=3×2¹⁶⁷-2⁶⁷c₃₂
=3×2¹⁶⁷-2⁶⁷((2(-1)^32+2^(3×32+4))/3)
=3×2¹⁶⁷-2⁶⁷((2+2¹⁰⁰)/3)
=2⁶⁸(2¹⁰²-1)/3

コメント…今回のように、かなり意味深な変換は、複数回の変換の合成後にも面白い意味があるのではと組み合わせ論的な意味を探ると、良い解法が思い浮かんだりします。
後半のΣ計算、数列のフェーズは比較的典型なので、知らなかった方はぜひこの機会に覚えましょう。
ちなみに、偶数階の操作後、頂点を適切に5つに分類すると、最初の星団の外見はそのまま、各星が分裂したような見た目にすることができます。


12問目


(編集中というか多分無理
相似がたくさん作れることと、ABCDEの各点を中心とし、Pを通る円を書くと交点がうまい子となることはわかった)



総評

半分程度が純粋なC分野、およびC分野の色アリな問題で、Cが苦手な私にとってはかなり苦しいセットアップでした。
誰得ですが、私の解く流れを…

(本番中)
1,2を普通に解く(1,2正解)

3に手を付けるが、横幅を数え間違えたまま突き進んで解けない

6に手を付け、不変量には気付いたが、「a₁+b₂がmod4=1,2,3のとき成り立つ」と思い込み、答えを書く(6間違い)

4を比較的すんなり解くが、ラストの+1計算ミスで落とす(4間違い)

5を長さ計算のゴリ押しで解く(5正解)

7は一対一対応を考える問題だと理解するが、それが思いつかない(空欄)

3で見当違いをしていた事に気づいて解き直す(3正解)

8に手を付け、これは凸数列っぽい!と思い階差を数列で置き、計算がだらだらになる(空欄)

関数方程式が好きなので10に手を付けるが、時間が半分を過ぎたのにあまり解けていないことに焦り、手を引く(空欄)

幾何は一番できるので9に手を付けるが、AEDOFの共円とEF//DOにしか気づけない(空欄)
→試験時間終了、結果1,2,3,4,5,6を書いて1,2,3,5完!

(その後)

9が反転を使える構図であると気づき、解くが一度計算ミス(9正解)

7の別解として書いた一対一対応を思いつき、解く(7正解)

10問目の(ⅰ)の場合、(ⅱ)の場合の順に解く(10正解)

6における2進法の利用に気づき、解く(6正解)

11における組み合わせ論的意味に気づき、数列cを求める

時間が空き、cの一般項を求め、答えを出す(11正解)

8の、1段階の数列置換を用いた、よりシンプルな解法に気づき、解く(8正解)

結果、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11の11完(まやかし)

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