2010年度IMOカザフスタン大会1問目の解答、解説

ガウス記号(床関数、切り捨て関数)を含んだ関数方程式です。




問題

関数f:ℝ→ℝであり、任意のx,y∈ℝについて、

f([x]y)=f(x)[f(y)]

が成り立つものを全て求めよ。




考え方

一次以上の具体的な解はあまり浮かびません。
定数関数f(x)=aとすると、
a=a[a]
より、a=0または1≦a<2となります。

具体的に手を打ちましょう。
関数方程式のある種の思考法ですが、「一方の辺にはあってもう一方にはない対称性、不変性」をねらうというものがあります。
例えば、変数の入れ替えに関する対称性や、符号反転に対する対称性の違いだったり、一方の辺ではxがf(x)の形のみでしか現れない、x²の形のみでしか…などに気づいたら、対称的、不変的な変数変換を施した式と比較することで進展があったりします。

今回の場合、左辺ではxが[x]の形のみでしか現れず、[x]はxの整数部分が等しければ同じ値を返してしまうようなガバガバな形なので、利用できそうです。

以上のことを踏まえて、解答を作っていきます。



解答

f([x]y)=f(x)[f(y)]…①
xに[x]を代入し
f([[x]]y)=f([x])[f(y)]
f([x]y)=f([x])[f(y)]
①より、
f(x)[f(y)]=f([x])[f(y)]…②

改めて、①にx=y=0を代入すると、
f(0)=f(0)[f(0)]
f(0)([f(0)]-1)=0

よって、f(0)=0または[f(0)]=1となる。

(i)任意のyについて[f(y)]=0な場合
①より、
f([x]y)=f(x)[f(y)]
f([x]y)=0
よって、関数fはf(x)=0となり、これは①を満たす。

(ii)ある実数aが存在し、[f(a)]≠0な場合

②にy=aを代入し、
f(x)[f(a)]=f([x])[f(a)]
f(x)=f([x])…③

改めて①について、yを0≦y<1を満たすとすると、③より、
f([[x]y])=f([x])[f([y])]
[x]=nとすると、nは任意の整数値を取り得、
f([ny])=f(n)[f(0)]…④
④について、f(0)=0または[f(0)]=1が成り立ち、f(0)=0の場合、右辺が0となり、③および④より任意のxについてf(x)=0となる。
[f(0)]=1である場合、④より、
f([ny])=f(n)
y=0を代入し、
f(n)=f(0)
③より、
f(x)=f(0)
f(0)が、f(0)=0または1≦f(0)<2であるとき、①が満たされる。

(i)(ii)より、①を満たすfの解は、f(x)=a(aはa=0または1≦a<2なる実数)…(答)



感想

最初の印象と比べて、思ったよりもガウス記号の要素が薄く感じましたね。

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