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週末遠征|特定外来生物カミツキガメに挑戦

2024年5月に特定外来生物カミツキガメを取りに行ったので、今回はその記録をしたいと思います。
ウチダザリガニの記事①記事②に続き、外来生物の記事ばかり書いていますが、食べて防除につながる生き物を取って食べがちなんですよね…。
もちろん、在来の生き物に会いに遊びに出かけているので、そのうち記事しようと思います。


カミツキガメについて

まずはカミツキガメについて簡単に紹介します。
カミツキガメは、北米原産の特定外来生物。ウチダザリガニとは産地も一緒、法律上の扱いも一緒で、ある種似たもの同士といえるかもしれません。
その旺盛な食欲と大きな図体で生態系への影響も大きく、万が一噛みつかれると大怪我するおそれもあります。
(基本的に、こちらから近づかなければおとなしい生き物ですが)
一方で、怪獣のような見た目でとてもかっこいい生き物。
今は違法ですが、かつてはペットとして飼われることが多く、人気の生き物でした。
日本で定着した原因として、ペットとして飼われていた個体が大きく育ち、飼い主が持てあまして逃がしてしまった、というのが有名ですが、人間の勝手な行動が、罪のないカミツキガメを悪者にしてしまった悲しい事例ですね….。
皆さんも、一度飼い始めたペットは絶対に外の環境に放さず、必ず自分の目の届く屋内で飼い続けましょう。

いざ印旛沼へ

主にカミツキガメの定着が確認されているのは千葉県と静岡県。
今回は、千葉県の印旛沼周辺に向かいました。
印旛沼では行政によるカミツキガメの防除活動が展開されていて、県をあげて対策が急がれていることが分かります。

千葉県におけるカミツキガメ防除実施計画書

今回は、印旛沼のカミツキガメ事情に詳しい知人に案内してもらいながら、ポイント選定を行いました。

カミツキガメは、流れの緩やかな環境を好み、川や印旛沼本体よりはむしろ、何気ない田んぼの用水路みたいなところにたくさんいます。
田園風景に張り巡らされた用水路に入ってしまうため、防除がなかなか進まないのかもしれません。

カミツキガメがいるのはこんな感じの水路。
流れが緩くて、下が土や泥の場所を好みます。


水路に着いたら、短く切った農業用ポールに1本の針をつけた釣り糸を括り付けるだけの非常に簡単な仕掛けを、これでもかと投げ入れていきます。
今回は、約5m間隔に1本ずつ、約50本の仕掛けを投入しました。
餌は塩で極限まで水分を抜いたサバの切り身。
アメリカザリガニなど餌取りがいるため、皮が硬くてしっかりした身質のサバが最適なようです。

農業用ポールに針をつけたとても簡単な仕掛け。
暗くても見やすいよう、アルミテープを付けています。


投入したら、あとはただ待つだけ。
カミツキガメは基本かかってもあまり動かずじっとしているので、簡単な仕掛けを放っておくだけでも問題ないのです。
大体1時間に一周を目安に、ひたすらローラーしていきます。
まるで、カメが出れば吉のくじ引きを何回も引いていく感覚。カメといえば縁起物ですしね。

さて、実際に、ローラー作戦に挑んでいきます。
カミツキガメは夜行性のため、昼間は少し可能性が低いのですが、5本目くらいの仕掛けで早速、違和感が。
なんか重い

引き上げの様子。
糸が張っているのが分かるでしょうか?


本当にその程度の違いでした。他の仕掛けにはない重さを感じながら引き上げると、求めていたカミツキガメの姿がありました!

念願のカミツキガメ。
刺々しい甲羅がめちゃくちゃかっこいい…!


本当に、生き物がかかっていると思えないほど、全く引かないんですよね。
噛みつかれないよう尻尾の方から持ち上げると、流石に激しく噛みつこうとしてきます。
暴れるカメに気をつけながら、ゆっくりとバケツに納めていきました。

慎重にバケツへ。


それにしても、力強い口、鋭い爪の無骨な手足で、改めて、めちゃくちゃかっこいい生き物だと思います。
飼いたくなる気持ちは分かりますね…。

幸先よく1匹取りましたが、今回は同行者が2人いたためあと2匹は欲しいところ。
ローラーを継続していきます。

だいぶ暗くなってきてからの2周目、ずっしりと重たい手応えが。
明らかに先ほどとは比べ物にならない大物がかかっていました!


尻尾がめちゃくちゃ力強い。


いやあ、それにしてもデカい!!
そして大きくなるとより無骨な力強い見た目になります。
見た目同様、パワーも重量も尋常ではなく、ガイドの知人に助けてもらい、どうにかこうにか捕獲に成功しました。
あとで測ったところ、甲羅の長さは約30cm。
統計的にもかなり大きな個体でした。

持ち上げるだけでも一苦労。
腕が震えます。


最終的に、合計8匹のカメを捕獲して、終了しました。
(ちょっとグロテスクなので写真は載せませんが、)大型個体2匹とビギナーズラックが輝く、とても良い成果に終わりました!
なお、カミツキガメは特定外来生物に指定され、生きたままの運搬は禁止されています。
命への感謝を忘れずに、捕まえたカメたちはその場で〆て、帰路につきました。

ついに実食…!

さて、フィールドで存分にカミツキガメを観察・格闘できたので、あとは食べるだけです。
カメを食べる…?という方もいるかもしれませんが、あの高級食材すっぽんもカメの仲間なんですよね。
なんなら、先人たちの中には、カミツキガメはすっぽんより美味しい!と太鼓判を押す人もいるほどです。

それならば、むしろ食べない手はないというもの。
徹夜明けの体に鞭打って、四肢と首周りの身を切り出します。


フライパンの上のカメ。
かなり異様な光景。


今回は身の味を確かめるため、シンプルに塩焼きにしました。
いざ、実食!!

前足の塩焼き。
ここまで行くと美味しそう?
首周りの肉。
足とは異なり、白身で繊維感があります。


写真でわかるとおり、首周りと四肢で身の質が全く異なります。
四肢(写真は前足)はとても脂が多くブリブリとした力強い歯応えです。
味わいは鶏肉に近く、まるで歯応え強めな地鶏のような味わいでした。
ちなみに、黄色い部分は脂とコラーゲンの塊のようです。いかに脂が多いのか分かりますね。

一方の首周りは淡白な白身。味は魚と鳥の中間のよう。
瞬発力を要求される首周りと、持久力が必要な四肢でこうも身質が異なるのは本当に興味深かったです。
ちなみに、この個体は臭みは全くありませんでした。

なお、カメは2匹持ち帰りましたが、かなりの量の肉が取れたので、汁物にしたり、キャンプで興味のある方に振る舞ったりと存分に活用させてもらいました。

カメ鍋。
この個体は少し田んぼの香りがしたので、カレーにして美味しくいただきました。
キャンプ場にて。
カメお披露目。
身を見せながら調理しました。


今回も、とても素敵でかっこいい、環境への影響が大きい外来の生き物と出会うことができました。
実際に出会って改めて感じたのは、日本には人間以外、カミツキガメを捕食できる生き物はいないということ。
それだけ力強く、逞しい生き物でした。

これからも、時期になったらカミツキガメを捕まえに、印旛沼まで足を運びたいと思います。

カミツキガメの美味しさと、印旛沼の環境に想いを馳せながら、今回の記事はこの辺りで。
ではまた!

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