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想い出整理とあのひとの笑顔
午後の昼下がり、パソコンの中身を整理した。
いつダウンロードしかかも覚えていないような様々なデータが
ワンサカとあった。
そんなに昔のものはないけれど(せいぜい7年くらい前)
思い返せば7年て…意外と前だよなあ…。
あの頃とすっかり変わってしまった、私の夢の計画書案や、趣味、
人との関係。
懐かしくて嬉しくて…
そんなキレイごとのような想い出は、パソコンには一切残っては
いなかった。
あともう少し時間がたてば、「ああ、懐かしいなあ」って思えるものも
あったかもしれないが、今の段階では、もうみぞおちにグサグサと
突き刺さるだけの激辛香辛料でしかありえない。
—さて、今日の朝。
そのみぞおちのグサグサとえぐるような、耐えられないほどの痛みは、
あのひととの、哀しいすれ違いの出来事から始まった。
わたしはただ、あのひとの笑顔を、ただあのひとの笑顔を見たかっただけ
なのに。
あのひとがわたしに、笑顔を見せてくれるのを、どこかで淡い期待をして
しまった、わたしの何という浅ましさよ・・・・。
’’最高の瞬間’’が、’’最低の瞬間’’に変わったとき。
ひとはただ、茫然として、ある種なんの感覚もなくなってしまうような、
無力感に襲われるものなのだなあと体得した。
そんな朝の、冷たくて切ない出来事を抱えながらの、昼下がり
「想い出整理」
なにかに踏ん切りをつけたいという心の声が、そんな「想い出整理」に、
わたしを掻き立てたのだろうか。
あの場所を、もう二度とふりかえりたくない。
無き者として、消滅させてしまいたい。
あのひとの笑顔の夢景色が、一瞬にして崩れ堕ち、何もかもがことごとくを消してしまいたい衝動からの「想い出整理」
—変容—
わたしは、この場所にさよならを告げようとしているのかも知れない。
定かではないけれど、確実に今の現状にはもう居られないのだという気持ちに占拠を許してしまうような苦々しい感覚。
それくらいの大きな「想い出整理」
「あのひとの笑顔」がわたしには向けられることはないと言う事を許諾しなければいけない勢いで襲い掛かる、変容のこだま。
変わるのよ
変わらねば
今この時
さあ、変わるんだ!
けたたましい集合の警笛が鳴る。
その警笛は、まるでレスキューのように、わたしのみぞおちをグサグサと、圧の強い周波数で、けしかけている。
もう時が来たのだと
時間がないのだと。
変わるのだと。
変わるのだと…。