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Spoontech Recordsのススメ

こんにちは。
HardstyleやRawstyleを聴いていて、マイナーなレーベルに手を出してみたいと思った方!
そんな貴方にSpoontech Records!
キックの音が低いだけのマイナーなレーベルだと思っているそこの貴方!
全くその通り!
でもRawが流行っている今こそSpoontechを聴くべき!
これを読めば貴方はまるでSpoontech博士だ...


1、Spoontech Recordsとは


Spoontech RecordsとはVazardとDeleteの2名によって設立されたRawstyleレーベルです。現在の本拠地はオランダですが、発足したのはオーストラリアでした。

設立した年は2010年と歴史が深いレーベルでもあります。まだEuphoricとかRawとかの概念が存在していない時代です。

設立されたコンセントは、この時代の中でより強い、より激しい独自のサウンドを提供するために建てられたレーベルというものです。

現在は、昔のHardstyleのアングラな印象を継承しつつユニークな曲をリリースするレーベルとなっています。

Spoontech Recordsからリリースされる曲の最大の特徴は、なんといっても曲の暗さです。キックのピッチも暗ければメロディも暗い。現在人気のXtra-Rawとは真逆を行く曲がとても多いので、聴く人を選ぶと思います。

そのマイナーさ、歴史の奥深さからコアなファンがとても多いのも特徴です。日本でも一部界隈ではとても人気のレーベルとなっています。



2、Spoontech Recordsのアーティストとオススメ曲


Spoontechには沢山のアーティストが所属していましたが、せっかくなので時系列順にアーティストとオススメ曲(ソロ)を紹介していきたいと思います。どうせならまずはお気に入りのアーティストを見つけてみましょう。


Vazard (2010〜2020)

VazardはThe Spoontechな感じのサウンドです。低ピッチなキックと、相反する高ピッチかつメロディアスなリードが特徴で、曲調もタフなものからハードなものまで様々な作風を持ち合わせています。

Vazard - Zimmersion 2.0 (2017)
Spoontechの中でも1番人気の曲です。激しいキックにエモい泣きメロが混ざるアンバランス感がとても良いです。


Delete (2010〜2013、2016、2017)

DeleteはVazardよりもファンキーな作風で、曲は激しくて硬派なのに、ノリノリになれるのが特徴です。VazardがマジメくんならDeleteはチャラ男くんって感じがします。Deleteはその後TheracordsやEnd of Lineを経てRawstyleの最前線へ活躍していきますが、22年に亡くなってしまいました。

Delete - Pulse (2010)
Spoontechの中でも初期の曲です。ノリノリになれるドロップと耳に残るメロディでDeleteらしさが存分に出ています。


Hardstyle Mafia (2011〜2021)

Hardstyle MafiaはSpoontechでも最古参にあたるフィンランド出身のアーティストです。壮大な曲調とメロディラインがしっかりしているのが特徴です。3人→2人→休止→3人→1人となり、現在は母国にてDeviant Musicを設立して活動しています。

Hardstyle Mafia - Raw Resistance (2012)
ブレイクの壮大さとメロディが神がかってます。Hardstyle Mafiaといったらこのデカイキックにデカイメロディって感じがします。


Digital Abuse (2011〜2013)

Digital Abuseはポーランド出身の2人組アーティストです。Spoontechから曲をリリースしたのは2011~2013のたった3シングルのみで、2013年以降曲のリリースもありません。力強い低ピッチのキックと繰り返すようなシンプルなメロディが特徴です。

Digital Abuse - Definition Of A Brain Killer (2013)
スクリーチがとても激しく、アップテンポな感じが良いです。ブレイクを抜けた先の2nd Dropの忙しなさがとても好きです。


Dark Pact (2012〜2014)

Dark Pactはオランダ出身のアーティストです。キックがドゥンみたいな感じで高音のメロディが特徴的です。Spoontechを抜けたあとは様々なレーベルから曲を出していましたが、2017年以降曲を出していません。

Dark Pact - The Howl (2012)
ブレイクでは耳に残るメロディ、ドロップでは高音のスクリーチで激しさを演出しています。曲の展開が古臭くてとても好きです。


Enigmato (2012〜2013)

Enigmatoはポーランド出身のアーティストです。Spoontechではシングルを2枚しか出しておらず、2013年で活動も止まっています。キックが非常にシンプルで暗く、不気味な印象を持つ曲調が多いです。

Enigmato - Brain Domination (2012)
全体的にシンプルな曲調で、特に1st Dropのシンプルさがとても良いです。ハイハットが絶妙なアクセントになってます。


Prime Suspects (2013〜2016)

Prime Suspectsはイギリス出身のアーティストです。
キックやメロディが普通のRawstyleっぽさがあってSpoontech初心者でも聴きやすさ抜群のアーティストだと思います。

Prime Suspects - Maximum Pain (2012)
スクリーチとメロディの使い分けが当時のRawstyleっぽくてとても好きです。音色もSpoontechっぽさが無くて聴きやすいです。


Genox (2012〜2020)

Genoxは2012年〜2020年にSpoontechから曲を出しており、Spoontechを抜けた後はThe Purge達と共にSavage Squad Recordingsを立ち上げ、その後Scantraxxなどから曲をリリースしています。2024年現在でも人気の高いアーティストです。
キックが特徴的で、キックロールを多用します。

Genox - Power (2017)
高音のスクリーチとメロディで不気味さを演出しながらも、細かいキックロールで勢いがあるのがとてもGenoxらしくて好きです。


Sasha F (2013〜2016)

Sasha Fはフィンランド出身のアーティストです。キャリアがとても長く、Classics好きな人は聴いたことがあるのではないでしょうか。2016年以降は様々なレーベルから曲をリリースし、現在はHardstyle Mafiaが立ち上げたDeviant Musicに所属しています。

Sasha F - Did You Hear (2014)
彼の曲もあまりSpoontechっぽさが無いので聴きやすい部類になります。キックの勢いと聴きやすいメロディがとても良いです。


Radiance (2013〜2018)

Radianceはエストニア出身のアーティストです。キックのアタックがしっかりしているので、2015年あたりのRawstyleが好きな人には刺さるのではないでしょうか。曲調も多彩で個人的にオススメのアーティストです。

Radiance - The Psychedelics (2016)
なんといっても2nd Dropの途中の裏拍キックが癖になります。スクリーチがとても心地よいですがメロディのある曲も書ける多才です。


Freakshow (2013〜2018)

Freakshowは2人時代のHardstyle Mafiaにプラス1人が加わって構成されたグループです。よって曲調はHardstyle Mafiaにとても似通っており、壮大なメロディやドデカイキックが特徴的です。長い期間休止していましたが、2023年にDeviant Musicにて復活しました。

Freakshow - Innocent Blood (2013)
シンプルな1st Dropとは打って変わって2nd DropではFreakshowらしいメロディアスな感じがとても良いです。キックがデカすぎる。


Main Concern (2013〜2018、2023)

Main Concernはスウェーデン出身の2人組アーティストです。曲調は多彩でメロディアスなものからスクリーチマシマシなものまで楽しめます。2018年以降音沙汰ありませんでしたが、2023年に復活しました。

Main Concern - Gravity (2013)
キックのアクセントが割と特徴的な曲です。3rd Dropではメロディと合わさってとても盛り上がれる曲調になっています。


D-Verze (2015〜2023)

D-Verzeは2017年まで2人組でしたが、解散以降1人で活動を行っています。シンプルで古臭いサウンドでドロップも割とメロディアスな印象です。Spoontechらしい曲が聴きたいならオススメです。

D-Verze - Enlightening Contrasts (2015)
この曲は割とスクリーチが多めですが、D-Verzeらしい暗くてシンプルなキックとメロディが見事にマッチしてます。


Infirium (2015〜2023)

Infiriumはオランダ出身のアーティストです。Hardstyle Mafiaとはまた違ったユニークかつ壮大な曲調を得意としています。音作りがとても丁寧で、一時期はSpoontechから出る曲のマスタリングを担っていました。

Infirium - Ocean Machine (2018)
Infiriumの特徴である壮大さとユニークさを兼ね備えている曲です。1st Dropが本当にカッコ良い。曲展開も多彩で聴いていて飽きないです。


Mind Dimension (2015〜2020)

Mind Dimensionはイタリア出身のアーティストです。Spoontechの中でも特にキックに特化しているのが特徴で、非常にシンプルな曲が多いです。The Purge達と共にSavage Squad Recordingsを立ち上げましたが、すぐにDJを引退し、現在は裏方として活動しています。

Mind Dimension - Haters (2016)
Mind Dimensionらしいシンプルながら強いキックと、スクリーチが見事に合わさっています。ドロップでも盛り上がりすぎないのが逆に良いです。


Unkind (2016〜2017)

Unkindはイタリア出身のアーティストです。サウンドが力強く激しい曲調が多いです。Spoontechからのリリースが終わった後は、Gearbox Digitalなどからリリースしており、現在はNOTYPE名義でAggressive Recordsに所属しています。個人的に好きなアーティストです。

Unkind - Fuck You (2017)
自分がSpoontechにハマったきっかけの曲です。曲名に負けない激しさと勢いを持っている曲です。1st Dropが聴いていて本当に気持ちが良いです。


Vyral (2017〜2023)

Vyralの曲は他のRawstyleとは少し異なり割とTechno寄りで、キックも特別強い訳ではないですが、ハマる人にはハマるアーティストです。曲調も様々でユニークな楽曲がとても多いのが特徴です。2023年の末にSpoontechnoというTechno専門のサブレーベルを立ち上げました。

Vyral - Gripless (2017)
この曲は割とSpoontechっぽいサウンドですが、当時のVyralらしい短いメロディラインが勢いを感じさせてとてもカッコよく仕上がってます。


The Purge (2017〜2020)

The Purgeはイタリア出身のアーティストです。ドスッみたいなキック音を多用する特徴があり、かつDeleteのようにファンキーな曲調を作ることが多いです。Spoontech脱退後Savage Squad Recordingsを立ち上げ、現在はかなり人気が高いRawstyleアーティストとなっています。

The Purge - Do It For (2018)
The Purgeらしいブレイクのファンキーさと、シンプルなドロップが見事にマッチしています。ノリやすくとても聴きやすい曲です。


Reaperz (2018〜2020)

Reaperzはオランダ出身のアーティストです。Spoontechで活動していた期間は短いですが、クオリティの高い楽曲が多く、曲調に勢いがあるのが特徴です。割と聴きやすい曲も多いと思います。2020年以降曲更新はありません。

Reaperz - Get Out (2019)
キックが激しくスクリーチも多用してますが、ブレイク後のメロディがとてもカッコ良いです。2nd Dropの入り方が好きです。


Stratos (2019〜2020)

Stratosは2年間だけSpoontechから曲をリリースしていたので曲数はそこまで多くはないですが、クオリティの高い曲が多いです。Spoontechに入る前はImperionという名義で活動していたらしいです。

Stratos - Kartenhoff (2019)
ドロップがアタックの強いキックとスクリーチで構成されていますが、そこまで激しさを感じさせないのが好きです。


Hatom (2019〜2023)

Hatomはスロバキア出身のアーティストです。Spoontechらしくない明るい曲が多いですがそのどれもがユニークで、聴いただけでHatomだなと分かります。元々リバースベースを作っていたので曲によく取り入れられています。Hatomは日本でも一時期流行ってましたね。

Hatom - God Drug (2020)
この曲がリリースされた時はとても衝撃でした。Spoontechらしからぬ明るい曲調でHatomらしさが全開に溢れ出ています。


Ace (2020)

AceはSpoontechから4曲リリースした後、The Purge達と共にSavage Squad Recordingsを立ち上げましたが、1曲リリースしただけでそれ以降の更新はありません。ベースの勢いが割と強くノイズっぽい音色が特徴です。

Ace - Don't Trust (2020)
1st Dropの入りがとても好きです。シンプルながら強いキックにサンプリングボイスがマッチしててとてもカッコ良いです。


Shockrage (2019〜2023)

Shockrageは昔からRe-Shockという名義で活動しており、曲は多くはないですが2019年からSpoontechでリリースしていました。キックがとても強く音色も特徴的なので、聴くだけでShockrageだと分かります。

Shockrage - Exterus (2020)
激しいキックにスクリーチが特徴的ですが、3rd Dropではメロディアスにまとまっています。ずっとうるさくてとても良いです。



ここから先紹介するアーティストはThe New Ageと呼ばれています。現在のSpoontechを牽引しています。


Phantom (2022〜現在)

Phantomは2人組のアーティストです。疾走感のある曲が多く、スクリーチマシマシでシンプルな曲からメロディアスな曲まで様々な曲を作成しています。

Phantom - Line Of Fire (2022)
ギターとボーカルで構成されている長めのチルいブレイクから始まり、勢いのあるドロップが癖になります。


Chapter V (2022〜現在)

Chapter Vは2人組のアーティストです。現代のRawstyleっぽくアタックは強めですがキックの音色が曲中にコロコロ変わります。どの曲も2nd Dropでは割とメロディアスな感じです。ブレイクではファンキーさが感じられます。

Chapter V - Clank It Up (2022)
ブレイクではファンキーさが溢れ出ています。キックもアタックがしっかりしてて聴きやすいです。


Repeller (2022〜現在)

RepellerはNew Ageの中でも暗めながらも、特に激しめな曲を書きます。ドロップではキックが特に特徴的で、スクリーチを多用します。元々Upcoming Recordsから曲をリリースしていました。

Repeller - Parasite (2022)
不気味な雰囲気から始まる、超重たく勢い100%なキックがとても良いです。Repellerといったらこの強めのキックって感じです。


Posyden (2023〜現在)

Posydenはオランダ出身のアーティストです。ソロ曲がほぼ無いので特徴は掴みづらいですが、過去のThe Purgeのようなドスッみたいなキックが特徴です。

Posyden & ANOOK - Universe (2023)
キックがとても特徴的なのが聴いただけで分かると思います。ANOOKのボーカルが曲にマッチしていてとてもエモい気持ちになります。


The Smiler (2023〜現在)

The Smilerの書く曲は全体的に勢いのあるものが多いのが特徴で、曲中でキックの音色がコロコロ変わるのでとても楽しめます。メロディアスなものからスクリーチの多い曲まで作ります。

The Smiler - I BELIEVE IN PAIN (2023)
2nd Dropは少しメロディアスですが、全体的にキックとスクリーチによって曲の勢いが半端ないです。


Mortis / Hydra / Hidra (2023〜現在)

Mortisは元々Hydraという名義で曲をリリースしていましたが、Hidraに変更してからすぐMortisという名義に変更しました。勢いのある曲が多く、キックロールを多用する印象です。

Mortis - Death Threat (2023)
高速なキックロールとスクリーチによって勢いがとてもあります。メロディもとても禍々しくて良いです。



3、Spoontechに曲提供してるアーティスト(抜粋)


Spoontechに所属はしてないものの、過去に曲を提供しているアーティストは数多く存在します。
暗いキックを扱うアーティストはSpoontech以外にも割と存在します。抜粋とはなりますが少しだけ紹介します


Coarsection

Coarsectionは2人組のアーティストで、Remix含め3曲Spoontechからリリースしています。2011年を皮切りにSpoontechから曲をリリースしてませんでしたが、2023年に12年振りに曲をリリースしました。

Coarsection feat. Kona Black - Infect Yourself (Toxicator Poland 2011 Anthem) (2011)


Warface

今はEnd of Lineに所属し、Xtra-Rawシーンの最先端にいるWarfaceも、昔はSpoontechから数曲リリースしていました。Warfaceらしい明るいキックもあれば、らしくない暗い曲もあります。

Warface - Bloodshed (2013)


D-Sturb

Warfaceと同じく現在End of Lineに所属しているD-Sturbも、アルバム内の1曲だけですがリリースしています。今のD-Sturbらしくないスクリーチマシマシで暗い曲調なのがとても良いです。

D-Sturb - Dark Origin (2015)



〇Spoontechっぽい曲を書くけど、Spoontech所属ではないアーティスト


DJ Thera

2008年にTheracords(現TC Records)を設立したオランダ出身のアーティストです。2人組時代のBrennan Heartの片割れとしても知られています。暗い雰囲気でメロディアスな曲調が多いです。

Vyral - Beat Masher (DJ Thera Remix) (2021)


Criminal Mayhem

Criminal MayhemはElementとの合作でSpoontechから曲をリリースしています。曲調が多彩で、暗くてシンプルなものもあれば、激しいものもあります。Spoontechらしい暗いキックですが元々TC Recordsに所属しており、現在は自身のレーベルでIndustrial HardTechnoを制作しているようです。

Criminal Mayhem & Element - DROPPING BOMBS (2020)


Kruelty

KrueltyはMind DimensionやVyralとの合作曲をSpoontechからリリースしています。Criminal Mayhemと同様にTC Records出身で、シンプルかつ激しい曲調が多いです。昔は割とメロディアスな曲が多かったですが、ジャケットが赤くなってからガラッと変わってしまいました。

Mind Dimension & Kruelty - Obliterate (2020)


Element

Elementはオランダ出身のアーティストで、現在は自身のレーベルElement Musicから曲をリリースすることが多いです。スクリーチを多用し、明るい曲から暗い曲まで書きます。

The Purge - Beyond Imagination (Element Remix) (2020)



4、その他オススメ曲


コラボ曲も含め個人的にオススメしたい曲をとても悩みましたが抜粋しました。1年ごとに1曲ずつ紹介します。アーティストの偏りは許してください。


Vazard - Feel It (2010)


Vazard - Zimmersion (Hardstyle Mafia Remix) (2011)


Delete - Syndrome (2012)


Hardstyle Mafia - Out Of Control (2013)


Vazard & Delete - The End (2014)


Sasha F & Rooler - Cruelty & Blood (2015)


Vazard & Delete vs Main Concern - Absolute Terror (2016)


Unkind & Jason Payne - Punish (2017)


Genox - Make You Fly (2018)


The Purge - What's Thet Sound (Live Edit) (2019)


Hardstyle Mafia X Jouni Herranen - Strong (2020)


Vyral - Mind Control (2021)


Vyral x MC Activate - From The Depths (The Gated Special Anthem) (2022)


Main Concern - We Are Soul (2023)




いかがでしたでしょうか。紹介した曲はSpoontechのほんの一部であり、2024年現在までに500以上の曲がリリースされています。Spotifyの公式全曲プレイリストを貼っておくので、是非沼にハマってお気に入りの曲を見つけてみてください!


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