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おでこのカーラーが気になります
ゆらゆらと、ときにはガッタンと体を揺さぶられながらバスに乗るのも、案外悪くありません。窓から眺めるソウルの風景は、自分がその一部となって動き回るときとは異なり、高みの見物です。
あれは数年前のことでした。
信号が変わらないうちに道を渡ろうと、バスから降りた瞬間に駆け足になる人々。そして、その流れに逆らいながら、乗り遅れまいと小走りでバスに乗り込む人――。そんな慌ただしいバス停を見下ろすわたしの瞳に、おそらく20代だろう、佇む女性が映りました。
目を引いたのは、彼女だけが違う次元に居るかのように静止していたからではありません。おでこのヘアカーラーです。
「・・・え?(目をぱちくり)」
現代人は多忙です。ひょっとしたら、出掛ける前に外すのを忘れたのかもしれません。それか、頭に掛けたメガネの存在を忘れて「メガネ、メガネ」と探し回るような可愛らしいちょんぼだったのか。
しかし数年間のソウル生活で培われたわたしの直観は、こう言いました。「あれはわざとだ。あれが、正解なのだ」と。
◆◆
それから、カーラーを巻いた女性を見掛けることが多くなりました。
共通点があるとすれば、10代後半から30代前半の比較的若い女性で(世界最強との呼び声も高いアジュンマたちではないし、むしろアジュンマは外でこんなことはしない)、巻くのは決まって前髪、服装はわりかしピシっと決まっていて、グループではなくひとりでいることが多い、という点です。
彼女たちはきっと面接かデートに向かう途中で、目的地に着くまでがおめかしの時間なのでしょう。言い換えると、ふんわりカーブの決まった前髪を見せるべき相手に会うまでは、ある意味家の延長線で、おでこに何が付いていようと、いまいと、関係ないのです。
大事なのは、目指すべきその瞬間に、最高の前髪を演出すること。
それまでにすれ違う大衆の目は、気にすべきことではありません。それこそ、彼女たちに「スプレーでも使った方がラクなんじゃない?」と訊くことすら、愚問なのでしょう。
・・・という、勝手な推測。
しかしここ最近、カーラー女性のあり方が変わってきたように感じます。
以前はバスを降りると同時に外す人がほとんどだったのが、今では巻いたまま降りる人をよく見掛けます。ショッピングモールや公園のような人出の多い場所で付けている人もいますし、むしろその状態で友達と遊んでいる人もいました。
あれ? おでこにカーラーって、ファッションになったの?
そして、 TV で見たあるシーンを思い出しました。
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知らない間に、市民権を得たのでしょうか。
そうだったとしても、どうしても浮かんでしまう疑問は、「これってアリなの?」。そう思うのは、わたし自身がナシだと思っているからに過ぎないわけですが・・・。
数年は見てきて、見慣れたはずのこの光景。未だに理解できずにいます。
おでこに、ヘアカーラー。
どうしても気になって、ついつい訝しい目で見ちゃう。