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飲食店のサービスって難しいね
家からは徒歩圏内なのに、一度も行ったことがないお店(「A 店」とします)がありました。
メインメニューは熟成キムチとサムギョプサル。他にも、ヌンイボソッ(능이버섯)と呼ばれる高級キノコを使った料理やキムチチゲ、スンドゥブチゲ、石焼ビビンバに焼き魚なんかもあります。たいへん魅力的。
「今日はサムギョプサルの日だけど、夕飯どうする?」
韓国で3月3日はサムギョプサルの日です。
韓国人の旦那くんの一言で、夜はサムギョプサルに決定しました。以前に何度かお邪魔しているお店に行こうかと思いましたが、外はマイナス2度という身に沁みる寒さ。空っ風とも相まって、蒼然の中で「サムギョプサル」「熟成キムチ」と光り輝く看板に誘われ、より近い A 店へと足を踏み入れることになりました。
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入店してすぐ、アジョッシ(「おじさん」と言っても同年代だとは思いますが)がはきはきと丁寧な対応をしてくれます。
注文だけでなく、座りやすいようにテーブルの位置まで調整してくれて、近くを通る度に声を掛けてくれます。
「他に必要なものはございませんか?」
「エプロンが必要ならお持ちしますので仰ってください!」
というものから、
「ソジュでしたら年齢確認が必要なので住民登録証をご提示ください!」
という冗談も。
そうかと思えば、食事中に突然ペッコリ45度と頭を下げた状態で「本日はご来店いただき誠にありがとうございます! 美味しく召し上がっていらっしゃいますでしょうか! 必要なものがあればいつでもお申し付けください! 今、お持ちするものはございますか!」云云かんぬんと高速早口で言うものだから、正直、ビビりました。
丁寧だし、勢いがあって、気が利くなとは思うのです。
でも、なんだろう・・・。
すんげー面倒くさい(放っておいてほしい)。
こういうときに発動する思考があります。それは「日本人だから(または自分だから)そう感じるだけかもしれない」という異文化理解に特化した素晴らしい機能です。
しかし、どうやらそれは誤解のようでした。
食事をしながら「そういえば、旦那くんはこのお店に何度か来たことあるんだよね」と訊くと、「うん、お昼時に何度かね。簡単に食事できるからさ」とのこと。しかし――、
「でも、面倒くさいでしょ(부담스럽지)」
※부담스럽다:負担を感じる、重荷に感じるの意味
と、一言。
どうやら、これが理由で、ふたりで外食する際も A 店は避けていたそうです。なるほど。納得しかない。
何が面倒くさいって、実際に追加注文したいときは「いつでもお申し付けください!」としつこく言っていたアジョッシではなく、普通に、適度に、サービングしてくれるアジュンマを探してしまうということです。言い方を変えると、アジョッシが近くにいるときは注文しない。
危機管理能力の発動です(必要かどうかは分かりませんが)。
数軒隣に同じようなメニューを揃えたお店(「B 店」とします)があるのですが、そちらの方が普段からお客さんの入りがよく、本日に至っては満席でした。
料理の質や美味しさを考慮すると、A 店も負けてはいません。いえ、それどころか、丁寧で心のこもった副食に味わい深い熟成キムチ、新鮮なサムギョプサルと、料理は B 店よりも優れていると思うのです。
それでも、お客さんの入り具合を見ると・・・うむ(これ以上は言わないでおこう)。
やはり、サービスって難しいですね。
旦那くん曰く、アジョッシのサービスは昔スタイルだそうです。なので、好きな人もいるでしょう。でも、私には合わないなあ・・・。話し方も軍隊っぽいし(行ったことないけど)。
それでも、お客さんへの心配りは確かです。会計後にはお土産(おつまみに良さそうなナッツ)までいただきました。
それなのに面倒くさいとか思っちゃって、何だか申し訳ない――。
と思いつつも、そこまで思うのも変な話だなんて思ったりして、結局は「サービスって難しい」の一言に尽きると思う次第です。
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