ソウルのバスで見かけた韓国っぽい光景
私は完全に地下鉄よりバス派です。例えば、地下鉄で30分、バスで1時間掛かる場所に行く場合でも、喜んでバスを選びます。
20分以上バスに乗って出掛ける場合は、「ソウル市内バスツアー」と題して窓側を陣取り、るんるんしながら外を眺め続けます。
バスに関しては、以前運転手さんについて書きましたが、今日はバスの中で見た、個人的に韓国っぽいなあと思う光景をご紹介します。
1.席を譲る その1
韓国では、年配の方に席を譲る光景をよく見掛けます。
ある日、大学生くらいの女の子がハルモニ(おばあちゃん)に席を譲ろうとしていました。でも、ハルモニは「すぐ降りるから良いんだよ。あなたも疲れているだろうから座っていなさい」と優しく声を掛けます。それでも、女の子は自分は大丈夫だからと席を譲りました。バス停を2つ3つ過ぎた後、今度はハルモニが少し離れた場所で立っていた先ほどの女の子を呼び戻し、席を譲って降りて行きました。お互いに、ありがとうと言っています。
あぁ、素敵だなあ。
2.席を譲る その2
それとはまた別の日ーー。
その日のバスは満員で、これ以上はひとりも乗れないだろうと思うほどに混んでいました。そんな中、ひとりの女性が乗車してきます。すると、その女性に気づいたアジョッシ(おじさん)が大声で叫びます。
「どいて下さ~~~~~い! 席を空けて~~~~~!」
ただ、バスの中は移動できるスペースがないほどに混んでいます。席を譲るにも、そもそもみんな動けません。それなのに席を譲ってほしいってどういうことだと見ていると、どうやらその女性は妊婦さんのようでした。
妊婦さんを座らせたいと強く思うアジョッシは強いです。
「どいて下さーーーい!! どいて下さーーーい!!」
自ら率先し、どんどん奥まで入っていきます。降りやすいようにと降車口近くの席を譲ってもらったアジョッシ。おかげで妊婦さんは目的地まで座ることができました。
妊婦さんの方が申し訳なさそうにしていましたが、それでも「あぁ、こういうお節介をするところが韓国の良いところだよなぁ」なんて、一番後ろの席に座る私(ただの傍観者)は、こっそり幸せを感じていました。
3.座席の下に転がるとうがらし
その日のバスは乗客が2、3人しかいませんでした。
ゆったりと、ふたり席を陣取る私。いつものように、窓の外を眺めます。
しばらくして、ふと何気なく前の方に目をやると、ハルモニの座席の下にとうがらしが1本転がっていました。
ここはバス どこから来たの? とうがらし
席に座っているハルモニのものではないようです。
みずみずしい青とうがらしでした。
4.チャメを食べるアジュンマ
この黄色い果物をご存じでしょうか。
韓国語で 참외(チャメ)、日本語ではマクワウリと言います。私は日本では一度も見たことがないのですが、韓国ではよく食べられる一般的な果物です。ウリ科なので、サクサクとしたメロンに近い味をしています。大きさは片手で持てるくらいのサイズです。食べる時は皮をむき、種を取り除いて、白い果肉部分をいただきます。
ある日のことーー。バスに乗るとアジュンマ(おばちゃん)がこのチャメをムシャムシャと食べていました。
何が驚きって、先ほど書いたように、普通は皮をむき、種を取って食べるんです。このアジュンマ、皮はそのまま、種もそのまま食べています。膝の上に袋いっぱいのチャメがあるのを見ると、さっき購入したばかりの模様。買ってすぐだから、多分洗ってもないね。
さらに驚いたのは、この話を韓国人の旦那や友達にしても、さほど驚かなかったことです。
「んーまあ、あまりないけど、そういうアジュンマもいるよね」
え、、、そう?
◆◆◆
今日も世界のバスではその国独特の物語が生まれているのでしょうか。
ちなみに現在、ソウルの市内バスでは飲食はできません。テイクアウトのコーヒーも持ち込めないようになっています。手に持って乗車しようとすると本当に断られるので、お気を付けください。
以前よりも快適な空間になったバスですが、それでも、こういう韓国でしか見られない、ちょっとぷぷっとなってしまうような光景が見られなくなるのはどこかさみしい気もします。
とは言っても、とうがらしくらいは、これからも落ちている可能性があるのかな。
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最後に、以前のバスの運転手さんに関する記事を含め、ヒントをいただいたスペインに惚れましたさんには、この場をお借りして(勝手に)感謝申し上げます😊😊😊
アリが10匹、ありがとう。
ではでは。
どろん。