見出し画像

#186 原穴というツボとは? 【大陵、陽池編】

私は鍼灸師としても活動しておりますが、
東洋医学の中では、未病という考え方
がございます。

未病とは、まだ病気にはなっていないものの、
健康な状態から離れつつある状態を指します。

未病という言葉は、代表的には約2500年前の古医書であります黄帝内経というものに出てきます。

また、約1400年前の千金要方と
いうものにも載っております。

それ以外にも載っている医書が
数多く存在しています。

これらの中では、古代の医者は医術が
高ければ高いほど、未病を大切にし、
病になる前の段階で予防治療をすることができる
医者が高名であると言われておりました。

未病の段階で治療していくことを
未病治療と言ったりしますが、
未病治療とは、身体の状態を観察して、
患者さんのバランスを見極め、
「いまはこの状態でこの症状だが、
やがてはこんな症状も出るだろう」と予測し、
先回りしてアプローチをする治療と
いうこともできます。

その中で、経穴(ツボ)を行っていく場合、
仮に病の原因である臓腑に
焦点を置くのでありましたら、
臓腑の病に用いるツボに要穴というものがあり、
その中でも代表格のツボを原穴と呼んでおります。

原穴とは、東洋医学において、
臓腑の原気(各臓腑特有の気)が巡り、
とどまる部位を指す経穴(ツボ)の
ことをいいます。

各経脈の中で最も重要なツボとされておりまして、原穴の反応から臓腑の状態が分かったり、
臓腑機能の調整をすることも
できるとされています。

原穴は全部で12穴あり、そのほとんどは
手首回りや足首回りに存在しております。

これから、原穴の12穴を2穴ずつに分けまして
紹介していきたいと思います。

⑪手の厥陰心包経:大陵
⑫手の少陽三焦経:陽池

⑪手の厥陰心包経:大陵
大陵の位置としましては
【手関節前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、
手関節掌側横紋上】
となります。

ご自身で探していただく際は
手のひら側の手首のしわのちょうど中央、
手首を曲げると浮き出てくる二本の腱の間の
ところがツボになります。

大陵を刺激する際には、
呼吸をしながら反対側の手の親指で
軽く押し込むのを繰り返してみてください。

大陵を刺激することによる効能としましては
・自律神経の調節による疲れの改善
・ストレスによるイライラや動悸の改善、精神的なリラックス
・心痛、腹痛、嘔吐などの症状に効果がある
・消化器症状への有効性
・精神的なリラックス効果
・気分の上下が激しい時の使用
・不安で落ち着かない、動悸、不眠といった症状の改善
・心配性や睡眠の浅さ、鬱々とした気分の改善
などがあったりします。

大陵は、手の厥陰心包経の原穴で、
不安で落ち着かない、動悸、不眠といった症状の
時に使用するツボと言われております。

心包とは、心臓の動きを司りまた保護している
経路のことをいいます。

心臓の周りには外邪から守る膜があると
考えられていて、その膜の働きをするものを
心包と考えております。

心包は、体温調節や呼吸、各種ホルモンの分泌など自律神経に深く関係しております。

⑫手の少陽三焦経:陽池
陽池の位置としましては
【手関節後面、総指伸筋腱の尺側陥凹部、手関節背側横紋上】
となります。

ご自身で探していただく際は
手の甲側で、手首の横ジワの中央から
やや小指寄りのあたり、
小指と薬指の間を手首方向に指を当てていき、
手首の付け根あたりのくぼみのところが
ツボになります。

陽池を刺激することによる効能としましては
・血流を良くし、身体の冷えを改善する
・自律神経のバランスを調整する
・肩こりや生理痛などの冷えによる症状を緩和する
・目の痛みやかゆみを伴う結膜炎などの症状を緩和する
・肌荒れに効果がある
・リウマチにも用いられる
・女性のホルモンバランスを整え、生理機能を安定させる
・子宮の位置異常に効果がある
などがあったりします。

陽池は熱が集まるツボといわれており、
刺激することで全身に熱を循環させます。

特に、手足などの末端の冷えに効果的と
言われております。

手の少陽三焦経は、
栄養分や酸素を体内に取り入れ、
エネルギーとして燃やし、
不要なものを排出するという内臓全体の働きを
統合した概念のことをいいます。

陽池は、三焦経の最も大切なツボ(原穴)で、
自律神経のバランスを調整し、
手足の末梢神経の血行を促す効果があります。

陽池は、特に女性の方に
オススメなツボとなります。

ツボはピンポイントに思われがちですが、
500円玉ぐらいまでの大きさの範囲があるとも
言われておりますので、触っていただきながら
痛気持ちいいところを
探していただければと思います。

ツボ押しの「コツ」は少し強めに押すことです。(強刺激には要注意)
5秒くらい押したら5秒離すを1セットとして、
3~5回を目安に繰り返してみてください。

継続して行っていきますと、段々と痛みや
コリコリしたものが薄れていきます。

原穴を刺激して、より良い日々を
お過ごしいただけますと幸いです。