#182 原穴というツボとは? 【神門、腕骨編】
私は鍼灸師としても活動しておりますが、
東洋医学の中では、未病という考え方が
ございます。
未病とは、まだ病気にはなっていないものの、
健康な状態から離れつつある状態を指します。
未病という言葉は、代表的には約2500年前の古医書であります黄帝内経というものに出てきます。
また、約1400年前の千金要方というものにも
載っております。
それ以外にも載っている医書が
数多く存在しています。
これらの中では、
古代の医者は医術が高ければ高いほど
未病を大切にし、
病になる前の段階で予防治療をすることができる
医者が高名であると言われておりました。
未病の段階で治療していくことを
未病治療と言ったりしますが、
未病治療とは、身体の状態を観察して、
患者さんのバランスを見極め、
「いまはこの状態でこの症状だが、
やがてはこんな症状も出るだろう」と予測し、
先回りしてアプローチをする治療と
いうこともできます。
その中で、経穴(いわゆるツボ)を
行っていく場合、仮に病の原因である臓腑に
焦点を置くのでありましたら、
臓腑の病に用いるツボに要穴というものがあり、
その中でも代表格のツボを原穴と呼んでおります。
原穴とは、東洋医学において、
臓腑の原気(各臓腑特有の気)が巡り、
とどまる部位を指す経穴(ツボ)の
ことをいいます。
各経脈の中で最も重要なツボとされておりまして、原穴の反応から臓腑の状態が分かったり、
臓腑機能の調整をすることもできると
されています。
原穴は全部で12穴あり、そのほとんどは
手首回りや足首回りに存在しております。
これから、原穴の12穴を2穴ずつに分けまして
紹介していきたいと思います。
③手の少陰心経:神門
④手の太陽小腸経:腕骨
③手の少陰心経:神門
神門の位置としましては
【手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、
手関節掌側横紋上】
となります。
ご自身で探していただく際は
手首(手のひら側)の内側、
小指のスジをたどって、手首のスジとまじわる
ポイント、やや薬指よりのところが
ツボになります。
神門を刺激することによる効能としましては
・精神の安定やリラックスに効果的
・ストレスやイライラを緩和する
・不眠や睡眠障害の症状を改善する
・動悸や息切れ、便秘、自律神経失調症などの症状に効果的
・血流を促進し、筋肉の疲労回復や脳の活性化を
促す
・頭痛の解消や体の緊張の解消に効果的
・ホルモンバランスの乱れによるホットフラッシュや冷え、肥満などの症状に効果的
・身体のバランスを整える
などがあったりします。
神門は東洋医学の理論での「心」と密接に
関連しており、精神的な健康にも大きな影響を
与えるとされています。
現代社会を生きていく上ではとても大切になる
ツボのひとつかもしれません。
④手の太陽小腸経:腕骨
腕骨の位置としましては
【手関節後内側、第5中手骨底部と三角骨の間の
陥凹部、赤白肉際】
となります。
ご自身で探していただく際は
手の甲の小指側で、小指の骨の側面を手首に
向かっていくと骨の切れ目があり、
その骨と手首の骨の間がツボになります。
腕骨を刺激することによる効能としましては
・頭痛や脇痛、黄疸、耳鳴り、糖尿病、熱病などの症状に効果があると言われている
・糖の代謝を助ける
・内分泌の働きを促す
・肩こりや肩甲骨周りのこわばりを緩和する
・肘や前腕の甲側の筋肉の張りを和らげる
・邪気の滞留を防ぐ
・お顔のリフトアップをサポートする
・首周りのデトックスをサポートする
などがあったりします。
小腸経は、小指の外側先端から始まり、
腕、上腕、肩甲骨、咽頭、食道、横隔膜、胃、
小腸に至ります。
ですので、上記の場所が気になる方は、
腕骨を推してみてください。
ツボはピンポイントに思われがちですが、
500円玉ぐらいまでの大きさの範囲があるとも
言われておりますので、触っていただきながら
痛気持ちいいところを探していただければと
思います。
ツボ押しの「コツ」は少し強めに押すことです。(強刺激には要注意)
5秒くらい押したら5秒離すを1セットとして、
3~5回を目安に繰り返してみてください。
継続して行っていきますと、段々と痛みや
コリコリしたものが薄れていきます。
原穴を刺激して、より良い日々をお過ごしいただけますと幸いです。