#204 レストレスレッグス症候群を考える
皆さんは、レストレスレッグス症候群という
言葉を聞いたことがございますでしょうか。
日本では、むずむず脚症候群という
名前で耳にすることがありました。
ただ、なかなか聞き慣れない
言葉だと思いますので、
レストレスレッグス症候群について
考えてみたいと思います。
レストレスレッグス症候群(RLS)は、
下肢に不快感やむずむず感を感じ、
じっとしていられない衝動に駆られる
睡眠障害のことをいいます。
別名「むずむず脚症候群」「下肢静止不能症候群」とも呼ばれております。
日本での調査では、
レストレスレッグス症候群の患者さんは
人口の2%~4%で、これは200万~400万人に
あたります。
このうち治療が必要なのは70万人ほど
いるのではないかと考えられています。
レストレスレッグス症候群は、
女性が男性の1.5倍といわれています。
症状としましては、
以下のようなものが主に考えられます。
・足の中を虫が這うような感覚
・足のほてり、かゆみ、痛み
・電気が流れるようなしびれ感
・じりじり焼けつけるような感覚
・水がサラサラ流れるような感覚
・押しつぶされるような感覚
・脚を動かしたくなる衝動
・脚を動かすと症状が軽減する
・安静にして、横になったり座ったりしていると
症状があらわれる、または強くなる
・夕方から夜間に症状が強くなる
・睡眠障害(入眠障害、中途覚醒、熟眠障害)を
引き起こす
・寝ている間に脚がピクピクッと勝手に動く
(周期性四肢運動障害)
症状は夕方から夜にかけて起こり、
特にじっとしているときに現れる傾向にあります。
足を動かしたり、マッサージしたりすると
不快感が和らいだりします。
上記の主な症状の中で、
4つの特徴的な症状がある場合は
レストレスレッグス症候群の可能性が
考慮されます。
①脚の不快な感覚のため、脚を動かしたくてたまらなくなる
②安静にして、横になったり座ったりしていると症状があらわれる、または強くなる
③脚を動かすと、不快な感覚が軽くなる
④夕方から夜にかけて症状が強くなる
レストレスレッグス症候群がなぜ起こるのかは
解明されておりませんが、
原因・要因としましては、
以下のようなものが考えられております。
・脳内神経伝達物質であるドーパミンの作動経路の障害
・鉄欠乏による脳内鉄の欠乏とその利用障害
・鉄欠乏に伴った神経伝達物質であるグルタミン酸の機能障害
・遺伝
・薬物(抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、カフェイン、ニコチン、アルコールなど)
・その他の病気(糖尿病、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、鉄欠乏性貧血、慢性腎不全、うっ血性心不全、パーキンソン病、脊髄の疾患など)
レストレスレッグス症候群は、
これらの原因・要因が単独で、
または複合的に作用することで
発症すると考えられています。
レストレスレッグス症候群の対処法は、
症状の程度や原因によって異なります。
一般的に行われる対処法としましては、
以下のようなものが挙げられます。
①生活習慣の改善
規則正しい睡眠:就寝時刻と起床時刻を
一定にし体内時計を整えることで、
睡眠の質を向上させていきます
カフェイン、アルコール、ニコチンを控える:
これらは症状を悪化させる可能性があるため、
摂取量を減らすか、控えるようすることが肝心です
適度な運動:ウォーキングや軽い運動は、
血行を良くし、症状を改善する効果が期待できます
温かいお風呂に入る:入浴は筋肉を
リラックスさせ、血行を促進させます
足のマッサージ:足をマッサージすることで、
不快感の軽減が期待できます
②薬物療法
症状が強い場合は、医師の指示のもと、
以下のような薬物療法が行われることがあります。
ドパミン作用薬:脳内のドパミンを増やし、
症状を改善する薬
鉄剤:鉄欠乏が原因の場合は、鉄剤を投与することで改善が見られることがあります
その他の薬:症状に応じて、ベンゾジアゼピン系薬物、抗てんかん薬などが使用されることがあります
③その他
原因となる疾患の治療:慢性腎臓病や糖尿病など、他の疾患が原因の場合は、その疾患に対する治療が重要となります
温熱療法:温熱パッドなどを利用して、
患部を温めることで症状が
緩和されることがあります
レストレスレッグス症候群は、
夜に落ち着いているときに症状が
強く表れてしまうため、
なかなか寝付けなかったり、
いったん眠っても脚の不快感で
目が覚めてしまうことが多くなってしまいます。
小さなお子さんにも
起こりうるものでもございますので、
お子さんが上記にある症状を訴えておられる際は
精査が必要になってきます。
レストレスレッグス症候群は、
一般的な睡眠障害とは違うところもありますので
頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。