見出し画像

#183 原穴というツボとは? 【太白、衝陽編】

私は鍼灸師としても活動しておりますが、
東洋医学の中では、未病という考え方が
ございます。

未病とは、まだ病気にはなっていないものの、
健康な状態から離れつつある状態を指します。

未病という言葉は、代表的には約2500年前の古医書であります黄帝内経というものに出てきます。

また、約1400年前の千金要方というもの
にも載っております。

それ以外にも載っている医書が
数多く存在しています。

これらの中では、古代の医者は
医術が高ければ高いほど、未病を大切にし、
病になる前の段階で予防治療をすることができる
医者が高名であると言われておりました。

未病の段階で治療していくことを
未病治療と言ったりしますが、
未病治療とは、身体の状態を観察して、
患者さんのバランスを見極め、
「いまはこの状態でこの症状だが、
やがてはこんな症状も出るだろう」と予測し、
先回りしてアプローチをする治療と
いうこともできます。

その中で、経穴(いわゆるツボ)を
行っていく場合、仮に病の原因である臓腑に
焦点を置くのでありましたら、
臓腑の病に用いるツボに要穴というものがあり、
その中でも代表格のツボを原穴と呼んでおります。

原穴とは、東洋医学において、
臓腑の原気(各臓腑特有の気)が巡り、
とどまる部位を指す経穴(ツボ)
のことをいいます。

各経脈の中で最も重要なツボとされておりまして、原穴の反応から臓腑の状態が分かったり、
臓腑機能の調整をすることもできると
されています。

原穴は全部で12穴あり、
そのほとんどは手首回りや足首回りに
存在しております。

これから、原穴の12穴を2穴ずつに分けまして
紹介していきたいと思います。

⑤足の太陰脾経:太白
⑥足の陽明胃経:衝陽

⑤足の太陰脾経:太白
太白の位置としましては
【足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、
赤白肉際】
となります。

ご自身で探していただく際は
土踏まずから親指に向かって指でさすり、
指が止まる骨が出っ張っているかかと寄りの部分
がツボになります。

太白を刺激することによる効能としましては
・血圧の安定:低血圧の場合は上げる、高血圧の場合は下げる働きがあります
・胃腸の働きを助ける:風邪や熱、おう吐、下痢、腹痛などの胃腸疾患の治療に効果があります
・血液を作り循環させることで貧血を改善する
・痛風発作の痛みを軽減する:胃腸の働きを助けることで、痛風発作による足の第一関節の痛みを軽減します
・顔面部の症状の改善:浮腫み、美肌効果、免疫力向上、目の痛みなどに効果があります
・邪気の滞留を防ぐ:お顔全体のリフトアップと首周りのデトックスをサポートする
などがあったりします。

脾は消化器系に深く関わっているため、太白は
食欲や便通の問題や腹部の症状に主に使います。

脾は飲食の不摂生や甘い物の過食、
運動不足などで弱くなることが多いので、
日常生活の養生も重要となってきます。

多湿の環境は脾に負担をかけるので、雨が続く時期は太白のツボにも反応が出やすくなります。

⑥足の陽明胃経:衝陽
衝陽の位置としましては
【足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、
足背動脈拍動部】
となります。

ご自身で探していただく際は
足の甲の半ばあたりで、親指から数えて
2番目と3番目の指の間の線上にあるところが
ツボになります。

動脈が拍動するところが感知できましたら
なお良いかなと思います。

衝陽を刺激することによる効能としましては
・胃の痛み、吐き気、お腹の張りを軽減する
・夏の胃の疲れや食欲不振に効果的
・足の疲れや麻痺、低血圧、虚弱体質、アレルギー体質の改善
・眼精疲労、歯痛、発熱、肌荒れなどの効能
・むくみや美肌、お肌の免疫に役立つ
・停滞している気の巡りを促す役割があるため、リフトアップにも期待ができる
・水分代謝の調節にオススメ

衝陽は消化器系の疾患に効果があると
言われておりまして、特にストレスや疲労、
夏バテなどによる食欲不振に効果があります。

また、足の陽明胃経は
顔面部も走行しておりまして、
顔に出る諸症状にも有効と言われております。

ツボはピンポイントに思われがちですが、
500円玉ぐらいまでの大きさの範囲があるとも
言われておりますので、
触っていただきながら痛気持ちいいところを
探していただければと思います。

ツボ押しの「コツ」は少し強めに押すことです。(強刺激には要注意)
5秒くらい押したら5秒離すを1セットとして、
3~5回を目安に繰り返してみてください。

継続して行っていきますと、段々と痛みや
コリコリしたものが薄れていきます。

原穴を刺激して、より良い日々をお過ごし
いただけますと幸いです。