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#168 実はとても怖い関節ねずみ

皆様は、関節内遊離体という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
別名、関節ねずみと言われたりもする
言葉です。

日常生活を送っておりますと
あまり耳にすることはないですが、
スポーツや運動を積極的に
行っている方々の中には
耳にしたこともいるのではないか
と思います。

関節内遊離体とは、
肘関節や膝関節、股関節、足関節などの関節部分にある骨や軟骨がはがれ落ちてしまい、関節内を動き回るはがれ落ちた物を
いいます。

関節内を自由に動き回る様から、
別名、関節ねずみと呼ばれております。

関節内遊離体の原因には、
・スポーツや転倒などで激しい衝撃を受けて骨や軟骨がはがれる「骨軟骨骨折」
・加齢などによって関節軟骨が
すり減ってしまう「変形性関節症」、
・成長期の子供に多い「離断性骨軟骨炎」、
・関節を包んでいる滑膜が軟骨や骨に
変化してはがれる「骨軟骨腫症」
などがございます。

主に肘関節や膝関節などに
多く見られますが、
股関節や足関節に
みられることもあります。

主な症状としては、
関節の痛みや腫れ、違和感などで、
激しい痛みで関節が動かせなくなることも
あったりします。

遊離体の骨片、軟骨片は
関節内を自由に移動するため、
痛みの出る場所が
一定ではなかったりします。

関節運動の際に遊離した骨片、軟骨片などが関節に挟まってしまうと、
強い痛みと関節内の腫れとともに
関節が動かなくなってしまうロッキング
いう症状が起きることがあります。

ロッキングが頻発してしまったり、
骨片や軟骨片などが
長期間関節内に存在していると
関節を覆っている軟骨や膝関節にある
半月板などの組織を傷つけてしまい、
上記で挙げました関節が
将来的に変形性関節症に
移行してしまう可能性が考えられます。

関節内遊離体への対処法ですが、
関節内遊離体が生じている場合でも、
症状がない場合には、
治療を行わず経過をみる場合もあります。

骨片や軟骨片が完全に剥がれておらず
安定している場合などでは、
荷重制限や運動制限などの
保存療法が選択される場合もありますが、
ロッキングなどを起こしてしまった場合は、手術が選択されます。

手術は、関節内遊離体や関節周囲に新たに
形成された骨棘を取り除く形となります。

この場合、関節鏡と呼ばれる内視鏡を
関節の周辺に開けた2~3個の約5mmの
小さな切開から挿入して
行っていくことが多かったりします。

プロ野球選手など主に肘関節などを
損傷したスポーツ選手が受ける手術を
クリーニング手術と呼称されております。

原因の中に挙げられております
骨軟骨骨折では、
幼少期のお子さんの足関節の捻挫では、
一定程度の確率で剥離骨折しているという
研究があったりしますので
もし剥離骨折の骨片や軟骨片が
関節内遊離体となってしまいますと
年齢を重ねていく中で痛みとして
出てしまう恐れもありますので
注意が必要になります。

また、離断性骨軟骨炎では、
野球肘のひとつの要因として存在しており
選手生命にも大きく関わってしまう
可能性もありますので、
こちらも注意が必要になります。

関節ねずみと聞くと、
少し可愛く聞こえることも
あるかもしれませんが
関節ねずみになってしまうと、
現在から未来にかけて想像以上に
影響を及ぼすことがありますので、
まずは関節内遊離体ができないような
日常生活動作や
スポーツ動作の獲得や見直し、
日々のケアやトレーニング、
エクササイズなどが
とても大切になります。

スポーツや運動を行っているお子さんが
いらっしゃる親御さんは
特に頭の片隅に入れていただければ
幸いです。

お子さんの足関節の捻挫や
野球肘に関しましては、
こちらの投稿も参照していただけると
幸いです。