#175 単なる打撲と侮ることなかれ
学校の体育の授業やサッカーやラグビーなどの
コンタクトスポーツをされている方
には経験されたことがあるケガが存在します。
私も高校時代に経験がありますが、
それは大腿部打撲になります。
多くの方が耳にしたことがある通称としましては
ももかんやチャーリーホースなどがございます。
私がももかんになってしまった時は、
受傷直後は、歩くことがままならず、その後は
松葉杖を使って3〜5日過ごした記憶があります。
ももかんは、主にサッカーやラグビーなどの
コンタクトスポーツで、相手選手の膝などが
大腿部(太もも)に強く当たって起こる
スポーツ外傷になります。
症状としましては、
受傷直後は痛みと程度にもよりますが
運動制限がみられます。
症状は時間の経過とともに
強くなることがありますが
これは引き続き生じる腫脹(腫れ)による
ところが大きかったりします。
腫脹が強い場合ですと筋内の出血や腫脹により
筋内圧が上昇してしまい、
皮膚は緊張が強まり光沢を帯びることがあります。
翌日には患部の腫脹や圧痛、膝関節の屈曲制限が
みられ、症状の悪化をみることがあります。
まれに、程度がひどかったりしますと
筋内圧が過度に上昇してしまい、
急性のコンパートメント症候群を
合併することがあります。
この場合、緊急の筋膜切開が
必要なこともございます。
また、慢性化してしまうと、
骨化性筋炎(筋肉の中に骨と同じような組織が
できてしまう疾患)の合併や
筋組織の拘縮により、膝関節の屈曲制限が
残存することもあります。
分類にしてみますと以下になります。
軽度:疼痛、腫脹は軽く膝関節は90度以上
屈曲可能なもの
中等度:疼痛、腫脹はやや強く、膝関節が90度まで屈曲できないもの
重度:血腫形成、膝関節が45度まで
屈曲できないもの
上記の分類はセルフチェックにも使えますので、
膝関節がどこまで曲げられるかを
チェックしてみてください。
ももかんの対処法としましては
受傷直後は安静にしてアイシングを行い、
出血量を抑えるために包帯やテーピングなどで
患部の圧迫を加えます。
これらの処置は、疼痛や腫脹が落ち着くまで、
継続することが望ましいです。
アイシングに関しましては、受傷日、
長くても翌日までで大丈夫かと思います。
現在は、温めて血流を良くして、治るスピードを
上げることが大切であるとされているため
お風呂なども痛みが増大しなければ
入っていただいても良いかと思います。
打撲は、肉離れと違い筋肉が挫滅、
つぶされてしまうため、筋線維を整えるイメージで
膝関節を曲げてつぶれた筋肉を伸ばしてあげるのも効果があったりします。
ただし、状態がひどい場合は無理に行うものでは
ございません。
スポーツ活動復帰への条件としましては以下の
ようなものなどが挙げられます。
①疼痛や可動域制限がない
②筋力や柔軟性が十分に回復している(ケガしていない方と比べて90%程度の回復)
③フィットネス(アジリティ、心肺機能など)の
改善が十分に得られている
ももかんに限らず、どの箇所の筋肉の打撲は、
案外軽視されやすかったりしますが、
きれいに治らなかったりしますと、
つぶれた筋肉がしこりのように残ってしまい
筋肉の正常な収縮が出来なくなってしまったり、
筋肉のアンバランスが積み重なってしまうことで
身体の様々な不調を引き起こしてしまうことも
あります。
打撲だからいいやではなく、
打撲だからこそしっかり良くしないと
という認識を持っていただける方が増えれば
嬉しく思います。