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#167 ジャンパー膝の注意点とは

サッカー、バスケ、バレーボール、
バドミントン、ハンドボールなど
学生スポーツの中でも、
ジャンプ動作を行うスポーツは
たくさん存在します。

特に成長期にあります小学生や中学生が
多分なジャンプ動作を行いますと
悩みとして顕在化していく膝の障害に
ジャンパー膝
というものがあります。

ジャンパー膝
膝蓋腱炎、膝蓋靭帯炎とも呼ばれ、
ジャンプや着地、ダッシュやストップ、
切り返し動作、キック動作など、
急激な動作を繰り返すことによって、
膝蓋腱に生じるオーバーユース障害の1つと言われております。

中でも、スポーツの競技レベルが
上がれば上がるだけ発症のリスクが
高くなる傾向があります。

ジャンパー膝の典型的な症状は、
ジャンプや着地、
長距離を走った時などに生じる
膝蓋腱部(膝のお皿の下あたり)の痛み
となります。

そのため、思い切って跳ぶことができない、しゃがむことができない、
全力で走ることができないなどの
パフォーマンスの低下を訴える場合が
多く散見されます。

最終的にひどくなってしまいますと
日常生活、階段の上り下りや
椅子からの立ち上がりでも
痛みが出るようになってしまいます。

ジャンパー膝のメカニズムとしましては、
ジャンプやダッシュなどによる
膝関節の屈伸動作が頻繁に、
かつ長時間、長期間行われますと、
膝関節伸展機構(大腿四頭筋が収縮することで膝蓋骨、膝蓋腱、脛骨粗面にまで
牽引力が加わる)に
過度な牽引力が繰り返し加わることで
膝蓋骨周辺や膝蓋腱(膝蓋靭帯)に
微細損傷を引き起こすことになります。

この微細損傷は、
腱実質部に炎症症状を引き起こし、
力学的な脆弱性、腱の変性をもたらします。

微細損傷がより繰り返されてしまいますと、膝蓋腱周囲に新生血管の増生や
炎症性のサイトカイン(細胞から分泌される
タンパク質)の放出が局所で起こってしまい、腱の変性へ至ってしまいます。

上記のように、微細損傷から修復の過程を
繰り返すことにより、
生まれ持った腱の強度から段々と
弱くなってしまうことがあります。

すると、今までよりも低い運動強度でも痛みが出てきてくることも考えられますので、
競技レベルによっては競技の続行そのものを考えなければいけなくなる恐れもあるため
初期の痛みだからといって看過することは
やめたほうが良いかと思います。

ジャンパー膝に関わる主な筋肉は、
大腿四頭筋となりますので、
大腿四頭筋の柔軟性の低下がみられる場合は、柔軟性の獲得が必要になります。

大腿四頭筋が硬くなってしまう
要因としましては
・大腿四頭筋とハム、殿筋群との
筋アンバランス
・膝関節主導の身体の使い方になっている
・股関節から体幹の連動不良
・重心移動ではなく体重移動になっている
・足関節に不安定性がみられる
・下肢の関節(股関節、膝関節、足関節)の連動性の破綻
などなど、まだまだ多くの要因が
顕在的、潜在的に存在しますので、
ジャンパー膝にならないためには、
大腿四頭筋の柔軟性の獲得だけでは
足りない可能性が考えられます。

ジャンパー膝になってしまう方の多くは、
成長期の子どもたちだったりしますので
親御さんのサポートも
とても大切になってきます。

また、小学生、中学生のうちは、
各競技の競技力向上を主眼に置きすぎず
コーディネーション能力や
原始的な身体の使い方、
日本人特有の身体の使い方などを
身につけていくことを
同時進行的に進めていくことも
ケガをしない身体づくりに繋がりますので、
頭の片隅に入れておいて
いただければ幸いです。

コーディネーション能力に関しましては、
こちらの投稿も参照していただけると
幸いです。