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年末年始 ドイツの場合

早いもので2024年も残すところあと一週間余りとなりました。

僕が住んでいる南西ドイツでは、毎年11月末ごろから街の中にクリスマス(ドイツ語ではクリスマスをWeihnachten・ヴァイナハテンと言います)の雰囲気が見られるようになります。

これは、クリスマスから遡って四週間前の日曜日からクリスマスを待ちわびる期間である待降節(Advent・アドヴェント)が始まるからです。アドヴェント期間中には、もみの木やつたなどを編んでリング状にした飾り(アドヴェントクランツ)をよく見かけます。アドヴェントクランツには4本のろうそくが備わっていて、アドヴェント期間中の日曜日ごとに一本づつろうそくに火を灯し、クリスマス直前の日曜日には全てのろうそくに火が灯ります。

ドイツのクリスマスと聞くとクリスマスマーケットが有名で、オーナメントなどのクリスマス関連グッズやクリスマス時期のお菓子、またホットワインが楽しめる屋台が軒を連ねます。このクリスマスマーケット、クリスマスの約一ヶ月前のアドヴェントの時期に開催されます。

ドイツにおけるクリスマスのあり方は、日本における大晦日とお正月によく似ていて、多くの方がクリスマス時期に帰省して家族と共に過ごします。

クリスマスイヴの12月24日には大抵のお店や会社はお昼頃で営業を終え、クリスマス当日と翌日の25日・26日は祝日です。このクリスマスの約3連休は全てのお店が閉まるため、24日直前になるとスーパーなどの食料品店はクリスマスの準備で大混雑します。

12月27日から30日は普通の日扱いで、大晦日12月31日は12月24日と同じように大抵のお店はお昼ごろで営業を終了します。

日本の大晦日の夜は、除夜の鐘を聞いたり初詣に行ったりして静かに過ごす印象がありますが、ドイツの大晦日の夜、特に年明けカウントダウンの深夜0時は大変な騒ぎです。

日本と異なり、ドイツでは家庭で花火をするのは法律で禁じられています。実はこれには例外があって、大晦日の夜だけは花火をして良いのです。新年カウントダウンの時刻になると、あちこちの家庭で打ち上げ花火を上げる光景が見られます。日本の家庭用の花火よりも火薬の量が多いようで、ドッカンドッカン音がとてもうるさいです。

僕はリック(同居しているわんこ)と一緒に暮らしているのですが、リックは花火の破裂音をとても怖がり、破裂音が聞こえると身体を震わせて怯えます。かかりつけの獣医さんによると、大晦日の花火の音を怖がるわんこ・にゃんこは多くてとても問題になっているとのことです。

また、残念ながら毎年花火の事故で怪我をする人も多く(中には手の指を失う人もいます)、大晦日の夜は花火のドッカンドッカン破裂音と同時に走り回る救急車のサイレン音でとてもうるさいです。

まさに馬鹿騒ぎの大晦日の夜が明けると元旦は祝日で街の中は静かなのですが、午前中に街の中を歩くと花火の燃え殻やら酒瓶やらが転がっていて、僕はドイツの大晦日と元旦には良い印象は全く持っていないですね。日本の静かで内省的な年越しと比べると、ドイツは本当に本当にうるさくて僕は毎年うんざりしています。

この大晦日の夜の馬鹿騒ぎから逃れるべく、年末年始に田舎の貸別荘に滞在し静かに過ごそうとしたことがあるのですが、田舎であっても人が住んでんでいるところならドッカンドッカン花火が盛大に始まり、本当にうんざりしたことがあります。

大晦日の馬鹿騒ぎを逃れる方法はないものかと職場の同僚に聞いたところ、それならドイツから出なければダメだなと言われ、最近はもう諦めて、大晦日の夜は住まいの窓のシャッターを閉めて、クラシック音楽(特にバッハが良い)を流し、怯えるリックを抱っこしてなだめながら過ごすことにしています。

日本では正月の三ヶ日は祝日ですが、ドイツは1月2日から平日扱いで、お店も仕事も通常通り始まります。

僕は例年、12月23日ごろから二週間ほど休暇を取ることにしています。僕の住む地域では1月6日が祝日なので、今年の新年の仕事始めは1月7日。特に出かける予定もなく、(大晦日のうんざりする馬鹿騒ぎを除いて)自宅で静かに過ごすことにしています。