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電池はなぜ濡れると危険? ― 漏れ出す『白い粉』の正体

使い終わった電池を放置していたら、白い粉が出ていたことはありませんか? また、電池が濡れると危険だと聞いたことがある人もいるかもしれません。でも、なぜ濡れると危ないのでしょうか? 今回は、電池の仕組みとともに、この「白い粉」の正体を解き明かしていきます。

1. 白い粉の正体は?

乾電池から漏れ出す白い粉の正体は、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ性物質です。これが空気中の二酸化炭素と反応して、炭酸カリウム(K₂CO₃)や炭酸亜鉛(ZnCO₃)といった白い粉に変化します。

白い粉の化学反応

乾電池の中には、電解液として 水酸化カリウム が使われています。電池が劣化してケースが破損すると、この水酸化カリウムが漏れ出し、空気中の二酸化炭素と反応して次のような反応が起こります。

KOH + CO₂ → KHCO₃(炭酸水素カリウム)
KHCO₃ + KOH → K₂CO₃ + H₂O(炭酸カリウム)

この炭酸カリウムが、乾電池の端子や周囲に付着する白い粉の正体です。

2. 電池が濡れると何が起こる?

乾電池の内部には、亜鉛(Zn) を使った負極や 二酸化マンガン(MnO₂) を使った正極があり、そこに電解液が含まれています。これらは本来、電池の外部には漏れ出さないようになっています。

しかし、水に濡れると電池内部の電解液が外に流れ出したり、電池の端子間でショート(短絡)が発生したりしてしまいます。

濡れると起こる3つの危険
1. 電池がショートして発熱・発火
• 電池の端子間に水が入り込むと、内部で意図しない電流が流れ、異常な発熱発火の原因になる。
2. 漏れた電解液が皮膚や目にダメージ
• 水酸化カリウムは強いアルカリ性で、皮膚に触れると炎症を起こし、目に入ると失明の危険もある。
3. 金属が腐食しやすくなる
• 漏れた電解液が周囲の金属と反応し、サビや腐食を引き起こす。リモコンやおもちゃの電池ケースがボロボロになるのはこのため。

3. もし電池が漏れてしまったら?

触らないこと!
水酸化カリウムは肌に触れると危険なので、素手で触らず、手袋やティッシュを使って処理 すること。

酸性のもの(お酢・レモン汁)で中和
水酸化カリウムはアルカリ性なので、お酢やレモン汁を少しつけた布で拭き取ると安全に処理できる。

しっかり乾燥させる
電池ケースなどを清掃した後は、しっかり乾かしてから新しい電池を入れる。

乾電池の処分方法を守る
自治体のルールに従って、電池は適切に処分 すること。使い切った乾電池をそのまま放置すると、自然放電で液漏れを起こす可能性がある。

4. まとめ


電池の白い粉の正体は、電解液が空気中の二酸化炭素と反応してできた炭酸カリウムなど。
電池が濡れるとショート・発火・化学火傷の危険がある。
液漏れした電池は、手袋をしてお酢やレモン汁で中和しながら処理するのが安全。
古い電池を放置せず、適切に処分することが大切。

普段何気なく使っている電池ですが、適切な扱いをしないと危険が伴うことがわかります。リモコンやおもちゃの電池を長期間放置しないように、定期的にチェックしてみてください!

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