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なぜ電車で隣の人が寝ると倒れてくるのか?体のバランスの科学

通勤や通学で電車に乗るとき、隣の人が寝ていて体が倒れてくる…そんな経験をしたことはありませんか?不快に思う一方で、「なぜ寝ると体が倒れてしまうのか」と不思議に思ったことはありませんか?これは私たちの体のバランス感覚と睡眠中の筋肉の働きに関係しています。今回は、その仕組みを解説します。

1. バランスを保つ仕組み

普段、私たちが立ったり座ったりしているとき、倒れないようにバランスを保つのは「前庭系」というシステムのおかげです。
前庭系とは?
内耳にある三半規管と前庭という器官が、体の傾きや動きを感知します。この情報を脳に送り、脳が筋肉を制御して姿勢を保つのです。
揺れへの対応
電車の揺れは、前庭系が瞬時に感知し、倒れないように体を調整します。揺れに合わせて微妙に体を動かしてバランスを取る動作が、無意識のうちに行われています。

2. 睡眠中の体の変化

では、電車の中で眠ると何が起こるのでしょうか?
筋肉がリラックスする
睡眠に入ると筋肉が緩みます。特に「レム睡眠」と呼ばれる浅い眠りの状態では、筋肉の緊張がほとんどなくなります。このため、体が揺れたときに自分でバランスを取れなくなり、隣の人に倒れかかることがあるのです。
前庭系の働きが鈍くなる
深い睡眠状態では、前庭系の感覚も鈍ります。揺れを感じても、脳が反応せず、体の位置を調整できなくなります。その結果、どちらかに倒れてしまうのです。

3. 電車の揺れが影響する理由

電車の揺れは規則的なようでいて、不規則な動きも混じっています。
微妙な揺れの積み重ね
微細な揺れが長時間続くと、体が少しずつ傾きます。眠っている間はこれを修正することができないため、気づけば隣の人に寄りかかってしまいます。
座席の形状も関係
電車の座席は平らで広いことが多く、背もたれも小さいため、体を固定する部分が少なくなっています。これも体が倒れやすくなる原因の一つです。

4. 倒れかかるのを防ぐ方法

隣の人に迷惑をかけないためにはどうすればいいでしょうか?
ヘッドレストや枕を活用
首や頭を支えることで体のバランスを取りやすくなります。携帯用の首枕を持ち歩くのも良いアイデアです。
浅い眠りにとどめる
完全に寝入らないように、音楽を聴いたり、軽く目を閉じる程度で過ごすと、筋肉が完全に緩むのを防げます。
窓際や端の席に座る
端の席に座れば、隣の人に迷惑をかけるリスクが減ります。壁を使って体を支えることも可能です。

5. まとめ

電車で隣の人が寝て倒れてくるのは、バランス感覚を司る前庭系の働きが睡眠中に鈍るためです。体の仕組みを知ると少し納得できますが、迷惑をかけないためには周囲への配慮も必要ですね。

次回、電車で居眠りする際には、ぜひこれらの対策を試してみてください!

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