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指を鳴らすとき、実際に鳴っているのは何の音?

指をポキッと鳴らすとき、あの独特の音はどこから来るのでしょうか? 関節が擦れる音? それとも骨が動く音? 実は、この音の正体は科学者たちの間でも長年の謎でした。しかし、最近の研究によって、ついにそのメカニズムが解明されつつあります。

1. 関節の中には何があるのか?

まず、指の関節の内部はどうなっているのでしょうか?

関節には 「関節液」 という液体があり、これが潤滑油のような役割を果たし、骨同士がスムーズに動くのを助けています。この関節液の中には溶け込んだ気体(酸素・二酸化炭素・窒素など)が含まれており、これが音の正体に深く関わっています。

2. 音の正体は「気泡の破裂」ではなかった?

昔から「指を鳴らす音は、関節内の気泡がはじける音」だと言われていました。実際、炭酸飲料の泡が弾けるときの音に似ているため、この説は長い間有力視されていました。

しかし、2015年にMRI(磁気共鳴画像装置)を使った最新の研究で、新たな事実が判明しました。

指を鳴らした直後、関節内に気泡が残っていることが確認されたのです。

これは「気泡が破裂して音が鳴る」という従来の説と矛盾します。つまり、音の正体は 「気泡が生じる瞬間」だと考えられるのです。

3. 指を鳴らす仕組み

では、指を鳴らすとき、関節内で何が起こっているのでしょうか?

指を引っ張る・曲げるなどして関節の圧力を変える
関節液内の圧力が下がる
急激な圧力低下によって、関節液の中に気泡が発生する(キャビテーション現象)
気泡ができるときに「ポキッ」という音が発生する
気泡はしばらく関節内に残るため、すぐには同じ指を鳴らせない

実際に指を鳴らした後、しばらく時間をおかないともう一度鳴らせないのは、この気泡が消えるまでに時間がかかるからなのです。

4. 指を鳴らすのは体に悪い?

よく「指を鳴らすと関節が太くなる」「関節炎になる」と言われますが、これについても研究が行われています。

カナダの研究者ドナルド・アンガー博士は、自分の片手の指だけを 60年間 鳴らし続け、もう片方の手は鳴らさずに比較しました。その結果、両手に関節炎の違いは見られなかった ことが報告されています。

ただし、指を無理に鳴らすことで靭帯や軟骨を傷つける可能性はあるため、痛みを感じる場合はやめた方が良いでしょう。

5. まとめ


• 指を鳴らす音の正体は 関節内に気泡ができるときの音だった
• 気泡がすぐに消えないため、連続で鳴らすことはできない
• 指を鳴らすこと自体は関節炎の原因にはならないが、無理は禁物

何気なく鳴らしている指の音も、実は科学的に解明されてきたばかりの興味深い現象だったのです。次にポキッと鳴らしたときは、関節の中でどんなことが起こっているのか、ちょっと想像してみてください。


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