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脳筋表面実装メソッド一覧


ユニバーサル基板に表面実装するのが好きでやっていたら、いつの間にか身に着いてしまった手法をまとめてみました。

一応、パターン変更・修正が容易とか、集積度上げ放題とか、出来上がったものを眺めて楽しめるとか、利点はあるにはあるのですが、時間がかかりすぎたりデメリットが大きすぎて普通の人にお勧めできる内容ではありません。

正直CADで設計して、レーザープリンタと腐食液を使うとか、CNCフライスを使うとか、中国の基板屋さんに投げるとかしたほうが数百倍楽できます。

それでも、わざわざこんなことをやろうという物好きな方は、私と一緒に部品と配線のパズルを楽しみましょう。

抵抗・コンデンサなどの手はんだ

0603(JIS:1608)サイズを推奨します。まず片側のランドに予備はんだし、フラックスがなくなった場合はつけて、片側だけはんだ付けします。そうしたら、浮きや曲がりがないか確かめます。問題がある場合は片側を付ける前に直し、問題がなければ片側もつけます。

あとあとチップ部品を付ける場合は、わざと片側だけはんだを付けないことで楽することができます。

ICなどの手はんだ

ポリイミドテープで四隅のピン以外を絶縁します。適当に切って基板に貼り付け、カッターを使ってほしい形にします。

四隅以外がランドに触れないようにします

四隅をはんだ付けして、ショートしていないか確かめます。

空中配線

P-886を使って曲げます。すずメッキ線よりはんだメッキ線の方が断然オススメです。

UEWで逝こう

UEWは、薄いポリウレタンで被覆された銅線です。はんだごての熱で被覆を溶かすことができますので、エナメル線のようにやすりで削る必要がありません。

場所がないなら密度で殴ればいいじゃない

私は直径0.2mmと0.8mmのものを愛用しています。最近はいいかんじにRをつけることにはまっています。ポイントを以下に示します。

予備はんだすること

部品と線に予備はんだをしておきます。フラックスもつけておきます。こうすることで、部品を重ねてはんだごてを当てるだけではんだ付けをすることができます。

長いものから短いものへ

長い配線をUEWでこなさなくてはならない場合、どうしても浮きが生じますが、短い配線でそれを横切る場合、それで押さえつけることができます。
それでも浮きが発生する場合、諦めてランドにつけましょう。

利き手の反対側からつけること

隣のはんだ付け箇所が外れることを防ぐためです。はんだごての当て方により、このポイントは無視することができます。

背の低い部品からつけること

普通のはんだ付けでも基本ですね。しかし、次のポイントにより優先すべき部品を付ける順番が逆転する場合があります。

熱容量の大きい部品を先につけること

電源ラインの太い配線やコネクタの金属部分、ベタパターンなど、熱容量が大きい部品を先につけ、そこにUEWをはんだ付けしてからもう一端をはんだ付けすると、配線長が1cmほどであっても、先につけた方が外れにくくなります。

複数のUEWを一か所につけるには

はんだメッキ線などあらかじめ熱容量が大きい部品を付ける場合はつけておき、さらに各UEWを予備はんだしておいて、つけたい本数だけ指でつまんで、同時にはんだを流し込みます。
こうしておくことで、もう一端をはんだ付けする際に熱が逃げ、複数本同時にはんだ付けした場所から取れづらくなります。

4本同時接続!
ちょっとはんだが不足気味ですね

ほしい抵抗/コンデンサがない!

つくりましょう。
0603(JIS:1608)サイズの部品は2.54mmピッチのパターンに並列にできます。への字にすれば直列にもできます。

CCピン用のプルダウン抵抗
10KΩが有り余っているのでこれを使いました
ほんとうは5.1kΩであるべきです

デバッグ端子をつけたいけどコネクタを付けたくない

スルーホール基板の場合、UEWでランドまで引きましょう。コネクタを付けなくても、こんなのこんなのが使えます。

AVRISP(6P)

端子が隠れるリード部品を部品面で配線したい

スルーホール基板であればUEWを這わせましょう。UEWを基板の厚み未満の長さで90度に折り曲げ、曲げたところをスルーホールに入れ、少しだけはんだをつけて仮固定します。この上からリード部品をはんだ付けすれば、UEWの直径分浮きますがはんだ付けが可能です。リード部品を予備はんだすることもお忘れなく。

ここに足を入れます

ランドが裏面にしかない!

部品を裏返しましょう。
ESP-WROOM-32シリーズのように、裏面にシルク印刷がある場合もあります。データシートのピン配列は反転するので、画像編集ソフトとかで裏返しにします。

おまけ:使っている工具

はんだごて

わたしは太洋電機産業のPX-335というはんだごてで基本的には全部済ませています。こて先も初期装備のB型で全部こなしています。細いやつは作業しやすそうに見えますが、熱が逃げやすい点に注意が必要です。

はんだ

0.6mmのものと0.3mmのものを使っています。

フラックス

無洗浄タイプのものが必須です。

ピンセット

普通のピンセットのほかに、HOZANのP-886を使っています。ラジオペンチのような先のピンセットです。はんだメッキ線を曲げるのに使います。

ニッパ

HOZANのN-31を使っています。この子があれば大体何でもこなせます。

ポリイミドテープ

表面実装ICを付ける場合はほぼ必須です。1.27mmピッチのものを片面基板に実装する場合は、カッターでランドを2分割すれば必要ありません。また、ランドをはがす場合も必要ありません。

参考資料

(敬称略)

「プロト基板の配線テクニック」 - えるむ by chan
http://elm-chan.org/docs/wire/wiring.html


「プロト基板の使いかた【電子工作】」 - NE555P


「ユニバーサル基板で時計を作ってみた」シリーズ - gilman


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