timelesz『Anthem』に見る、これからのSTARTO ENTERTAINMENT
5月21日、timeleszの1st EP『Anthem』のMVがフルサイズでYouTube公開され、大きな話題を呼んでいます。
timeleszとは
timeleszはSTARTO ENTERTAINMENT所属の菊池風磨さん、松島聡さん、佐藤勝利さんの三人によって構成されたグループです。
読者の皆様もご存知だと思いますが、timeleszはもともとSexy Zoneというグループ名で活動していました。それが先月、中島健人さんのグループからの卒業とともに、timeleszへと改名されました。理由は菊池風磨さんが以下のように述べています。
そして、timeleszは旧ジャニーズ事務所時代のことも踏まえると、STARTO ENTERTAINMENTとしては異例の公募オーディション『timelesz project』で四人目のメンバーを決めることも発表しています。
これにはsecondz (timeleszのファンダム名) や旧事務所時代からのSTARTO ENTERTAINMENTのファンから賛否両論でしたが、一種の門戸開放政策として歓迎されるべきであると私は考えています。
『Anthem』にあるいい意味での異常性
そんなtimeleszのデビュー曲ともいうべき『Anthem』には、旧ジャニーズ事務所時代には考えられなかった施策が飛び出しています。
退所したタレントによるプロデュース
その一つが、この曲でプロデュースを担当しているのが山下智久さんであるということです。
山下智久さんは2020年11月に旧ジャニーズ事務所を退所し、個人事務所のHIGH HOPE ENTERTAINMENTで活動しています。個人活動を始動させてからはハリウッド映画の撮影に参加、海外ドラマの主演を務めるなど、精力的に活動しています。
森且行さんや赤西仁さんをはじめとした、事務所から退所して独立したタレントを強く排除し、「裏切り者」かのように扱う傾向があった旧事務所時代から考えると、所属グループの楽曲を退所したタレントが手掛けるということは極めて異例のことです。しかも、CDでの発売やストリーミング配信のないJr.の楽曲ではなく、メジャーシーンで活動するグループの楽曲をプロデュース、です。STARTO ENTERTAINMENTが旧事務所時代の因習を自省し、是正しようと積極的に動いていることが伺えます。
フルサイズでのMV公開
今作はMVのフルサイズ配信がされています。これはtimeleszに限った話ではなく、先日サブスク解禁が行われたKing & Princeの最新シングル『moooove!! / halfmoon』でも見られます。
海外活動を主とするTravis Japan、そしてSnow Manの一部楽曲でも見られる事例です。
しかし、『Anthem』はこれらの事例とは違い、timeleszのデビュー曲的存在であることが重要です。デビュー曲MVのフルサイズ配信はTravis Japanの『JUST DANCE!』を除いて、まったくなかったと記憶しています。(間違っていれば訂正を行います。)
海外活動の本格化、という目的もあるのでしょうが、MVのフルサイズ配信という試みは歓迎されるべきでしょう。この試みからは、今まで閉鎖的で時代にそぐわないマーケティングを行ってきたことへの自省が見られます。現在、MVのフルサイズ配信を行っていないのはSTARTO ENTERTAINMENT所属アイドルとハロー!プロジェクト所属アイドルぐらいのものであり、解禁しない限り海外でのマーケティングは非常に厳しいものとなるでしょう。
一方、timeleszはサブスクリプションサービス、ダウンロードサービスでの楽曲配信を一切行っていません。『Anthem』の発売前にSexy Zone時代の楽曲がサブスク解禁され、『Anthem』やそれ以降の作品もサブスク解禁されることを強く望みます。Sexy Zone時代の楽曲をサブスク解禁することで、ライト層に対しても楽曲を聴いてもらえると同時に、海外でSexy Zone時代の楽曲がフックアップされる可能性も高まります。
これはSTARTO ENTERTAINMENTや、依然としてサブスクへ敵対的な意見を表明している一部大手アーティストへの提言ですが、今の時代、サブスク配信を行っていないアーティストは「存在していない」も同然です。フィジカル指標が未だに強い日本市場ですらそうなのですから、CD需要がほぼなくなっている海外市場となると尚更、です。timeleszだけでなく、すべての所属アイドルがサブスク解禁を行うべきです。
これからのSTARTO ENTERTAINMENT
timelesz『Anthem』は、STARTO ENTERTAINMENTによる「本格的なデジタル解禁」を加速させることの決意表明とも呼べるべき作品です。『Anthem』を契機として、『ジャニーズをデジタルに放つ新世代。』と言いながらも未だにメジャーデビュー後のMVのフルサイズ配信、サブスク解禁のどちらも行っていないSixTONESや、令和日本の男性アイドル市場で圧倒的人気を誇っているSnow Manがサブスク解禁を行っていない、という歪な状況が変わっていくでしょう。かなり厳しいことを言いますが、変わっていかなければ、STARTO ENTERTAINMENTはその役目を終えるだけです。数年後にはSTARTO ENTERTAINMENT所属アイドルの楽曲のMVがフルサイズ配信され、サブスク解禁されていることなんて当たり前になっていることを願うばかりです。
あとがき
あくまで『Anthem』を主軸とした記事を書こうと思っていたのですが、最後は私の思いが溢れてしまいました。私はSixTONESのファンなのですが、「サブスクないからジャニーズ聴けないんだよね」「サブスクにないからジャニーズは履修してない」という言葉を友人から何度耳にしたことか。
King & Princeのサブスク解禁もあったことですし、この流れがどんどん波及することを望んでいます。
次回はSixTONESについて書くか、ヴィジュアル系バンド、J-Metalバンドの海外活動について書くか…非常に悩んでいます。
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。
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