存在感増すグローバルサウスに日本はどう立ち向かうか
新型コロナウイルスの拡大とロシアによるウクライナ侵攻という2つの世界的な危機によって近年「グローバルサウス」が存在感を増しています。それはエネルギーや食糧、肥料、経済発展などに関して、2つの世界的な危機がきっかけとなりグローバルサウスの声や存在を地球規模の問題としてとらえなければならないという潮流が生じたことに他ならないでしょう。
また日本の岸田首相がアフリカ歴訪を行った際、「日本に求められていることは、目に見える形での積極的な協力を示し、G7とグローバルサウスの橋渡しを行い、法の支配を貫徹することだ」と述べました。こういった状況の中で日本には一方的な価値観を押し付けようとするのではなく、あくまでも対等な関係・パートナーとして協力できる分野を探す必要がある。
ここでは、以下の内容についてインド太平洋に焦点を絞って考察していきます。
1. グローバルサウスとは
2. 日本とグローバルサウス(インド太平洋)に対しての関わり方
3. グローバルサウスとグローバルノースの共生の意義
1.グローバルサウスとは
2. 日本とグローバルサウス(インド太平洋)に対しての関わり方
2023年3月20日、岸田首相は訪問先のインドにおいて自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の新たなプランを発表しました。
日本はアメリカや中国のような経済的かつ軍事的なパワーは持ち得ていませんが、G7との繋がりやアジア諸国とは有効な関係を築いています。CPTPP(環太平洋パートナーシップ)やRCEP(地域的な包括的経済連携協定)IPEF(インド太平洋経済枠組み)など他国間にわたる枠組みに日本も所属しています。そういった中で、日本が新しい東洋のリーダとしてリーダシップを発揮することで、G7やグローバルサウスとの橋渡し的な存在になりうると思います。
そういった中で日本は特に二国間の連携を強化することが求められると考えます。例えば日本は現在平成30年度ベースで総合食料自給率は37%、飼料に関しては25%という状況になっています。エネルギーの面でも第1次エネルギについては83.2%、原油・天然ガスについては97%以上、鉱物資源については100%外国からの輸入に頼っています。新型コロナウイルスの台頭やウクライナ侵攻など未曽有の危機に直面した際において、目に見える形でグローバルサウスの成長に貢献をすること、二国間での連携を強化することが日本に求められていると感じます。
グローバルサウスの社会規範や政治経済をひとくくりに捉えることはできませんが、それぞれの置かれている状況を分析しながらアプローチをしていく必要があります。現在はアジアへの公的資金を用いた支援が大部分を占めているが、アジア以外のアフリカや中南米に向けての支援の仕方を考える必要もあると考えます。
いずれにせよ、今後インドやASEAN諸国の中では日本を凌駕する存在に成りえます。冒頭で述べたように対等な関係・パートナーとして協力できる分野を探す必要があるでしょう。資本の導入という観点からも、民間企業にとってグローバルサウスへの積極的な進出もハードルが高い。したがって、公的に事業展開を行える仕組みも必要です。
3. グローバルサウスとグローバルノースの共生の意義
・経済的な経済的な相互関係
グローバルサウスは天然資源や労働力の供給源として重要な役割を果たし、グローバルノースは技術や資本の供給源として重要です。両者の間の経済的な相互関係により、資源や労働力の有効活用、経済成長、貿易の促進などが可能になります。
・文化的な交流と多様性の尊重
異なる文化や価値観の間の相互理解と交流を促進します。文化的な交流は、互いの視点や経験の共有、異なる視点からの問題解決への貢献をもたらします。
・開発と持続可能性の推進
グローバルサウスは持続可能な開発のための資源や環境への負荷が大きい一方、グローバルノースは技術や経済的な資源を持っています。
・社会的な正義と格差の縮小
グローバルサウスの経済発展や技術の普及により、貧困の削減や人々の生活水準の向上が実現できます。同時に、グローバルノースは社会的な正義の促進や貧困層の支援に貢献することが求められます。
まとめ
5月19日から22日にかけてG7広島サミットが開催されました。グローバルサウスの代表格であるインドやブラジルが揃って参加しました。
ウクライナ侵攻を契機に国際情勢は目まぐるしく変化していく中で、率先したグローバルサウスとの連携構築が、国家100年の計、日本が日出ずる国「日本」を取り戻すことができる契機になるのではないかと感じています。私たちの住む日本が国際社会の大舞台で存在感を発揮し、日本を救うことを筆者の私からも強く宣言したいと思います。