国境の学校にお医者さんがやってきた! LtoC紹介ボランティアの活動報告
မင်္ဂလာပါ။(ミンガラーバー)カウンゾーです。2024年3月に、LtoCの紹介でボランティアの大学生がメーソートに来ました!彼は10日ほどの滞在で既に帰国しましたが、その時の活動の様子を紹介したいと思います。
ラオスで偶然出会った医学生の挑戦
今回メーソートに来たボランティアは医科大学の一年生(以下、海くん)で、元バックパッカーの母親の影響もあり幼い頃から海外で一人旅をよくしていたそうです。ボランティアビザの取得のためラオスに行った時、ゲストハウスで偶然彼と出会って私のメーソートでの話をし、ここでのボランティアに興味を持って今回ボランティアに来てくれました。
海くんは現在大学で微生物学、特に腸内細菌の研究をしているそうです。将来は日本の小学校での講演や出前授業を行い、腸内細菌が人体にもたらす影響がいかに大きく、腸内細菌について学ぶことがいかに重要であるかを伝えていくというビジョンを持っています。そして今回、その第一歩として、私のボランティア先の移民学校で講演を行うべくここメーソートにやってきました。
学校は夏期講習の真っ只中で、授業のスケジュールはびっしり。事前に講演の内容を聞き、それを先生方に伝えて彼のために授業の枠を譲ってもらえるよう私の方で交渉しました。もともと美術のクラスが入っていたところを1時間譲っていただきました。柔軟に対応してくださった先生方にも感謝です。。。
彼の講演のテーマは現地ではあまり馴染みがない内容なのでとても有意義なのですが、馴染みがないが故にどれだけの人が興味を持って集まってくれるか少し不安でした。ただ、美術の授業時間を削って分けてくれたと言うことで美術クラスの子どもたち20名ほどが参加してくれて、さらに学校の先生を含む大人の方も10名ほど参加してくださいました。
有言実行、ついにメーソートへ
今年の1月2日。新年早々私が泊まっていたラオス・ルアンパバーンのゲストハウスに偶然やってきた海くんと出会いました。私のメーソートでの活動のこと、タイミャンマー国境の現状のこと、とにかくたくさんのことを話しましたが、興味を持ってくれて真剣に聞いてくれました。そして「俺もメーソート行きたいです」と言われた時は、正直本当に来ると100%信じていたわけではないのですが、、
2月中旬、彼から電話が。彼はメーソートのことを忘れていませんでした。学年末の試験の後、短い限られた期間ではあるけれど自分の研究分野に関する講演をするためにメーソートに行きたいという電話でした。追試も当たり前というほど厳しい医学部の試験を全てパスし、その後出発までの数日で講演の準備をして来てくれました。LtoC代表とも相談し、LtoCのボランティア紹介として彼をメーソートに呼ぶことになりました。
講演の内容については私も少しだけ相談に乗り、小さい子どもたちでも飽きずに興味を持って聞いてくれるように少し簡単にしつつ、彼が医学部で学んでいる知見も活かせるように準備を進めました。「人体と微生物の共生」をテーマにし、バクテリアに親しみが湧くように海くん自作のかわいいキャラクターなども資料に載っていて、楽しい講演になりそうな予感。。。
講演では私の友人に通訳してもらうように海くんが来る前から頼んでいて、本番前に会って海くんと私の友人で打ち合わせも行い、用意した資料をビルマ語に翻訳してもらいました。こうして着々と準備を進め、期待も気合も十分で本番を迎えました。
本番当日の緊急事態、それでも大盛況
本番当日、まさかの緊急事態。あれだけ仲良くなって一緒に準備をしてきた通訳の友人が音信不通に。英語で講演するには参加者にとって理解が難しく無理があるし、かといって私も彼の講演をビルマ語に即時通訳できるほどの能力がないし、、授業時間を過ぎても私の友人は来ず、とりあえず自己紹介や日本のお菓子を渡して尺を稼ぎましたがどうにもならず、、しかし、私が担当している日本語の授業の生徒の一人で英語を話せる子が偶然学校に来ていて、彼女が通訳をやってくれることになりました。
そんな感じで当日もバタバタでしたが急遽新しい通訳を迎えて無事授業スタート。ただ一方的に話すだけでなく途中でクイズを織り交ぜたりして参加した生徒たちも楽しんで授業を聞いていました。「パンダもクマも似ているのに、なんでパンダは竹を食べるの?」という問いの答えをみんなで考えようという時間には、小さい子どもたちも大人たちもみんな真剣に考えていました。
あっという間に予定時間の1時間が経ち、海くんのメーソートでの挑戦は幕を閉じました。なかなか現地で馴染みのないトピックであるのにもかかわらず子どもも大人も興味を持って聞いていて、彼らの集中力もさることながら、海くんの力量と準備の成果が現れたのかなと思います。
学校としても、医学を専攻している日本の学生から普段聞けないような話を聞く機会を得られ、海くんとしても彼自身の将来につながる貴重な経験ができたと思います。偶然の出会いながら私の活動に興味を持ってくれて遥々メーソートに来てくれた海くんと、そんな彼を受け入れてサポートしてくださった学校、ホストファミリー、多くの友人に感謝です。ありがとうございます!
短い期間でも、言葉の面で困難があっても、彼は現地に馴染んで楽しんでいて私としても嬉しく楽しい時間でした。彼のように、「ビルマ語科」や「国際学部」でなくても、ミャンマーに直接関わりがなくても、現地でできることはあります。ここでの経験を活かしてぜひ次に繋げて欲しいです!海くんの今後の活動も応援しています。
※ 現地訪問や現地でのボランティア活動にご関心のある方は、まずはお問合せください。時期や内容によっては難しい可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
このブログについて
このブログは、任意団体Listening to Communities(LtoC)の紹介を通じて、現地ボランティアの機会を得た日本人の学生が書いています。LtoCは、タイ国境で暮らすミャンマーの土地を追われた人々や、弱い立場にある移民の人々を支援する団体です。日本の学生と現地をつなぐ教育・交流活動も行なっています。団体の詳細についてはこちらをご覧ください。
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