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寄付実施のご報告#2(国境の移民学校でソーラン節、そして長渕)

代表の大場です。寄付実施のご報告の第二弾です!LtoCは、ミャンマーと国境を接するタイのメーソートという町の小さな移民学校を支援させていただいています。詳細は先日の記事をご覧ください↓

本日は学期末に行った終業式のご報告です。皆さまからお預かりしたご寄付の一部を、終業式で生徒や保護者にふるまうための50名分の食事代に充当させていただきました。この資金もボランティアで教える先生方が自腹を切らざるを得ないと考えていたものです。日本だと考えられないですが、ミャンマー流終業式では学校側で食事を用意して参加者にご馳走することが慣習として大切にされています。

当日の様子を現地のカウンゾーが伝えてくれました。ソーラン節と長渕ってなんの話だって思いますよね。どうぞお楽しみに!

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 မင်္ဂလာပါ။(ミンガラーバー)カウンゾーです。…………暑いです………初めて体験するタイの夏、これはなかなか手強いです。こちらで「夏」というと3月4月というイメージですが、2月の最後の週あたりから急激に暑くなり、色んな人から「နွေရာသီရောက်နေပြီ…(ヌェヤーディーヤウッネービー=もう夏が来た…)」という声が聞こえてきます。太陽が明らかに優しくなくなったというか、本気を出してきたというか、冬や春が無いのにこんなにも「夏が来た」ということをはっきり感じられるのかと驚いているこの頃です、、、   
 そんな季節の変わり目のこの時期、私自身も変わり目を迎えました。今まで英語の先生としてボランティアをしてきましたが、2月末に学校は終業式を迎え2023年度を終了。夏休みに入り、その期間夏期講習として日本語の授業が開かれ、私は日本語の先生として残り2ヶ月ボランティアを始めるのです。が、それについては次回。今回はその学校の終業式について書きたいと思います!

学校として迎えた初めての終業式

 2024年2月29日。4年に一度の閏年。そんな記念すべきこの日に、私のボランティア先の移民学校は創立初の終業式を迎えました。日本の学校だと終業式は校長先生の話を聞き、生活指導の先生の話を聞き、通知表をもらい、、と、特に派手なことはないですが、ミャンマーではနုတ်ဆက်ပွဲ(ノウセッブェー=Farewell party)という行事が開かれ、先生や子どもたちだけでなく子どもたちの家族も参加します。子どもたちは歌を歌ったり踊ったりして、先生たちは子どもたちや子どもたちの家族にご馳走し、派手に盛り上がるイベントです。
 私も一人のスタッフとして、校舎内の机や椅子を移動して会場の準備をしたり、スピーカーやマイクを準備したり、美術の先生主導で学校の装飾をしたりして前日までバタバタでした。この学校は去年の夏に始まったため、今回は記念すべき初年度の終業式。それもあってか、先生たちはそれぞれ張り切って準備を進め、当日を迎えました。

唐突な無茶振り「日本の踊りを教えてくれ」

本番3日前に始まったダンス練習

 時は少し遡って2月の下旬を迎えた頃。先生たちだけでなく、もちろん子どもたちも終業式で踊るダンスや歌の練習を始めました。本番直前の数日は授業をせずにダンスや歌の練習をすることも増えて、私自身も立候補して歌を歌うことにしました。
 そして本番3日前、「男の子たちが踊れる日本の踊りを教えてくれ」と言われ、急遽自分もダンスを教えることに。。。なんでもっと前に言ってくれないんだ、4日で何ができるんだよ、、と一瞬思いましたが、直前に物事が決まるというのはこちらでは当たり前。すぐ準備を始めました。
 日本の踊りと言われても、日本舞踊?習ったことないからわからないし、、葛飾音頭?(私の地元が葛飾なので)いや盆踊りは派手さが無いな、、と悩みましたが、日本で小学生のほとんどが運動会で踊るアレを思いつきました。ソーラン節です。
 細かいところはあやふやでも、サビ自体は比較的単純な振りでわかりやすいんですよね。なのである程度はサマになるかなと思い、あとは単純にアップテンポでかっこいいからということでソーラン節を3日で仕上げる挑戦がスタートしました。

学校に響く「どっこいしょーどっこいしょ!」

 与えられた時間は3日。もちろんみんな他の踊りも練習しなきゃいけないので、丸一日ではなく一日あたりでもたったの1〜2時間です。一つ一つ振りを教えている時間などないので、何回も自分が踊って、それを真似しながら覚えてもらうという形で練習しました。
 炎天下の中、国境の移民学校で滝のような汗を流しソーラン節を踊る自分の姿を渡航前に誰が想像できたでしょうか。救いだったのは、ソーラン節メンバーの5人の男の子たちが本当に素晴らしい脅威の吸収力で覚えてくれたことです。サビの「どっこいしょどっこいしょ、ソーランソーラン」はみんなで声を出すように教え、体力的にもきついこの踊りに子どもたちは声を出して集中して付いてきてくれました。
 気づけば練習中に、踊りに参加しない子たちも一緒に「どっこいしょどっこいしょ」と連呼し、そんなギャラリーの後押しもあり(笑)、なんとか3日間だけで、「ある程度様になったソーラン節」を完成させることができました。

「魚獲り踊り」

 本番当日、急遽思いつきで日本から持ってきた甚平(日本の母が自分とホストブラザーのために作ってくれました)をこどもたちに着せることにしました。流石にぶかぶか過ぎましたが、何も無いよりは良いと思い(笑)。
 プログラムには「ဂျပန်ငါးဖမ်းအက(ジャパンンガーパンアカ)」と書かれていて思わず笑ってしまいました。意味は「日本の魚獲り踊り」です。サビの部分の振り付けを説明するとき、自分が子どもたちに「これは魚を獲る動きなんだ」と言ったのを先生も覚えていたのです。それで、踊りの名前は知らないけどなんか魚獲るやつね、という感じで、「ဂျပန်ငါးဖမ်းအက」と呼ばれたのです。
 本番はたくさんの家族や先生たちが見ている中で子どもたちも緊張していたのか、練習の時より声は出ていませんでしたが、でも一生懸命楽しく踊ってくれました。
 毎日昼休み一緒にチンロンを蹴っていた子、ずっとマンツーマンで教えてきたGrade6の子、日本の手遊び(「アルプス一万尺」と「線路は続くよどこまでも」)に興味を持って覚えて一緒に遊んでくれた子…偶然ですが、ソーラン節のメンバーは特に個人的に思い入れのある5人でした。この日を持ってみんなと揃って会えるのは最後かもしれないと思うと込み上げてくるものがありましたが、最後に一つ素敵な思い出ができてよかったです。

ミャンマー人なら知っている「乾杯」

 ソーラン節もそうですが、先ほど書いた通り自分も立候補して歌を歌うことにしたのですが、何を歌うかは決めていませんでした。できれば日本の曲で、しかもミャンマーの人も楽しんで聞いてくれるものがいいと思っていたのですが、ぴったりの曲を見つけました。それが、長渕剛さんの「乾杯」です。
 この曲はもちろん日本ではとても有名ですが、実はミャンマーにも全く同じメロディーのビルマ語バージョンがあるのです。メーソートに来る前は私も知らなかったのですが、こちらに来てから友達がその曲を歌っているのを聴き、「え!乾杯じゃん!!」となったのです。
 実は終業式の前日に乾杯を歌うことを決めたのですが、少しギターを練習して弾き語りすることにしました。当日は子どもたちも「အားပေးမယ်(アーペーメー=応援してるよ!)」と声をかけてくれて、自分は日本語でみんなはビルマ語で一緒に歌ってくれました。大勢の前でギターを弾くのは初めてだったのですが、すごくいい雰囲気で思い出に残る一幕でした。

めでたい日なのでカレンの民族衣装(先生に誕生日プレゼントでもらったやつ)を来て、タナカも塗って本番に望みました。


 こちらがミャンマー版の乾杯、ဖြေသိမ့်လိုက်(ピィエーテインライッ)という曲です。長渕さんの乾杯は、結婚して新たに道を歩み始める友人に向けた歌、という感じですよね。こちらのミャンマーの曲は結婚する友人という訳ではありませんが、友達を励ます、勇気づける、そんな意味の歌詞らしいです。
 夏休みが明けたらまた新たな年度が始まります。その時に私がいられないのは残念ですが、遥か長い道のりを歩み始めたこの学校をこれからも応援していきたいです。


終業式の最後に、学校の先生に記念品の贈呈がありました。
私も7人の先生のうちの一人としてプレゼントをいただきました!
一通りプログラムが終わったらみんなで昼ごはん。皆さまからのご支援のおかげで、
一年間の最後にふさわしい、一番豪華で美味しい料理が並びました。
沢山の料理を振る舞ってみんなで食べる、というのも終業式においてはとても重要なのです。

 みんなのダンスや歌が終わると、みんなでご馳走を食べて、2023年度が終了しました。11月からわずか4ヶ月でしたが、始まったばかりの小さな移民学校でボランティアさせていただいたことは貴重な経験でしたし、言葉の壁があっても暖かく受け入れてくれた先生方と子どもたちに感謝の気持ちでいっぱいです。
 夏休みは学校を借りて夏期講習が始まります。様々な先生がそれぞれ授業を開講する中、私もその一つとして日本語教室を開きます。日本語に興味があっても勉強する機会がない人たちのために、まずはじめの一歩としてその機会を与え、少しでも興味を持ってもらえるように頑張ります!

夏期講習の様子についてはこちら↓

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