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#5 メーソートって結局どんな街?
မင်္ဂလာပါ။(ミンガラーバー)カウンゾーです。ラオスのホステルでビザの発行を待ちながら暇を持て余していたら、ずっと書きたかったことを思い出したのでブログに綴ろうと思います。
メーソートってどんな街なんだろう
渡航前のイメージ
#1で出てきそうなタイトルをなぜ#5に持ってきたかというと、来てすぐには分からないような、2ヶ月暮らしてきてようやく見えてきた街の景色や概観について書きたいと思ったからです。
メーソートに来る前、タイ人の3倍ミャンマー人が暮らしていることとか、難民として逃げてきた人も居れば経済移民のような形でミャンマーから渡ってきた人もいてそのカテゴリーを区別するのは難しいこととか、少しだけですがメーソートについて勉強してきました。
ミャンマーのパスポートも、タイのIDカードも持たない人たち。正規のルート(モエイ川という国境を流れる小さな川を橋で渡ってミャンマーのミャワディからメーソートに渡ります)では入国できないので、川を小さなボートで渡る人たち。警察にお金を払って見逃してもらって暮らしている人たち。そのお金が払えず、警察に見つからないように隠れて暮らす人たち。
渡航前にそういった現状を知り、少し重いイメージというか、シリアスな状況に直面することが多々あるのではないか、と思っていました。みなさんはこういった状況を聞いて「メーソート」がどんな街だと想像するでしょうか。私と同じように、明るいか暗いかでいったらどちらかというと暗いイメージを持たれた方も多いのではないでしょうか。
でも実際に来てみると、そういった「暗さ」や「重さ」は見えないのです。正確には、「存在しているけれど表面上は見えにくい」と言うのが相応しいかもしれません。もちろんこの街にはたくさんの顔があり、まだ知らない部分もきっとたくさんあって、メーソートを一括りにして語ることはできません。しかしそれを抜きにしても、2ヶ月暮らした私の視点から見るメーソートは、想像していたよりももっと普通の、穏やかで落ち着いたタイの田舎町でした。
しかし、それでもやはりミャンマー人が多い少し変わった街。他のタイの田舎には無い面白さがあるのです。
ミャンマーか?いや、やっぱりタイなのか?
メーソートには広い幹線道路が何本か通っていて、その通り沿いに大きなショッピングモールやスーパーが立ち並んでいます。メーソートの「中心地」は、ダウンタウンと呼ばれる住宅や店が集まるエリアと、幹線道路沿いの大きなモールだと言えます。例えばショッピングモールだと、店員さんはタイ人で値引きの札とか案内とかもほとんどタイ語。(フードコートだけビルマ語表記あり)お客さんもタイ人が多い印象です。ダウンタウンもタイ語表記が多く、聞こえてくるのはタイ語ばかりという感じです。
一方、幹線道路から少し離れた郊外までいくと、一気にタイからミャンマーに雰囲気が変わります。もちろん郊外にもタイの方はたくさんいますが、明らかにカレンの民族衣装を着ている人や顔にタナカを塗っている女性や子どもが目立ち、ビルマ語が聞こえてくるようになります。私のステイ先もまさに幹線道路から一本道を入って進んだ郊外にあり、普段の生活でビルマ語が通じないと言うことは家の周辺ではほとんどありません。
メーソートといっても「広い」街なので、場所によっては「タイだ!」って感じるし、場所によっては「あれ?ここミャンマーか?」と思うような不思議な街です。
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これも30バーツ(約120円)
家の近くのお店を紹介しました。とにかく安いので朝ごはんは買いに行くこともしばしば。バイクで2,3分なので、最近は一人で買いに行くこともあります。やりとりは全てビルマ語で、タイ語はおそらく通じないと思います。
市場でわかる違い
ミャンマー人が多いマーケット
メーソートに限った話では無いですが、週末になると様々な箇所でナイトマーケットが開かれます。私も雰囲気が好きなので特に目当てもなく友達とナイトマーケットに出かけたりするのですが、行く場所によってミャンマーを感じたりタイを感じたりするのが面白いです。
ステイ先の家の近くで毎週日曜日に開かれる市場は、多くのミャンマー人で賑わっています。歩いているとお店の人が「3個で50バーツ!」など呼びかける声や、お客さんとお店の人とのやりとりの声が聞こえてきますが、ほぼ100%ビルマ語です。売られているものは肉、野菜、衣服や雑貨類、と様々ですが、カレン族の肩掛けかばん(လွယ်အိပ်=ルウェーエイッと言います)なども目立ちます。
生肉が常温で売られていて、みんな素手で肉を扱う光景は私にとってはかなり衝撃的でした。肉が売られている場所では、虫がたからないように紐のようなものが電動で肉の上をくるくる回っています。
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タイ人が多いマーケット
一つ目に紹介した方は家の近くのメーソート中心部からは離れた郊外にあるマーケットですが、マーケットその2はもっと中心部のダウンタウンにあります。こちらは一つ目に紹介した広場タイプではなく、道沿いに屋台が連なるストリートマーケットです。こちらは毎週土曜日に開かれています。
野菜や肉というよりもその場で買って食べ歩きができるストリートフードが多く、衣服も売っていますが、タイといえばお馴染みのゾウ柄のズボンなどが多いです。ビルマ語を話せる方ももちろんいますが、屋台を開いているのはタイ人が多く、もちろんやりとりもタイ語です。
ここはタイなので、「タイ人が多いマーケット」なんて当たり前なのですが、一つのメーソートという街の中にたくさん市場があってミャンマー人が多く集まる場所、タイ人が多く集まる場所、と分かれているのは面白いです。
ちなみに日本人なら絶対に知っている定番の屋台メニューもあります。たこ焼き、お好み焼き、たい焼き、これらはタイの屋台文化に根付いていて、名前もそのままTAKOYAKI、OKONOMIYAKI、TAIYAKIとなっています。
余談ですが、ミャンマー人の間ではお好み焼きはဂျပန်ပီဇာ(ジャパンピザ)と呼ばれているそうです。(汗)ピ、、、ピザ、、、お好み焼きが、、ピザ、、、まあ確かに、形は似ているけれども、、、でも驚いてはいけません。夏の風物詩とも言えるアレ、私たちは何の違和感もなく食べていますが、よく考えるとすごい名前ですよね。そうです、「冷やし中華」です。冷静に字面だけ見たら衝撃的です。そりゃあ、ラーメンが冷えて冷やし中華になるならお好み焼きだってジャパンピザになるわけです。
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なんの目当てもなくても、フラフラ歩くだけでも楽しいマーケット。一見似たり寄ったりでもよく見ると値札などがタイ語だったりビルマ語だったり、聞こえてくる会話がタイ語だったりビルマ語だったり、売られているものが若干違っていたり、、、こう言った微妙な違いを見つけるのも、市場散策の面白さの一つです。
最後に
結局メーソートってどんな街なのか。一見他のタイの田舎町と変わらない風景でありながらも、そこにはミャンマー人の文化も感じることができる。タイとミャンマー、二つの要素が混ざりあっているようだけれども、意外とはっきり二分化されていたりもする。注意深く見ると見え方が少し変わる、そんな面白い街なのです。
あくまで2ヶ月と少し暮らしてみて感じたことなので、もしかしたら今後また1ヶ月2ヶ月と過ごすうちに見え方が変わってくるかもしれません。長期滞在だからこそ感じられる見え方の変化、面白さを、少しでも発信できればと思います。タイ語の世界とビルマ語の世界を行き来しながら、これからもこの面白い街メーソートでボランティアを続けていきます。
ビザも取れて落ち着いたし、そろそろタイ語もちゃんと勉強しようかな、、、
ビザのエピソードはこちら↓
そして次の記事はこちら↓
このブログについて
このブログは、任意団体Listening to Communities(LtoC)の紹介を通じて、現地ボランティアの機会を得た日本人の学生が書いています。LtoCは、タイ国境で暮らすミャンマーの土地を追われた人々や、弱い立場にある移民の人々を支援する団体です。日本の学生と現地をつなぐ教育・交流活動も行なっています。団体の詳細についてはこちらをご覧ください。
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