漫才 ハンバーグレストラン
A:「あのですね、」
B:「はいはい。」
A:「僕ちょっと最近ね、お金がなくなってきたのもありまして、内職を始めたんですよ。」
B:「え、内職?どんなのやってんの?」
A:「まあベタですけどカレーとかオムライスとかチャーハンとか。」
B:「え、自炊のこと?」
A:「ん?」
B:「お前自炊のこと外食の逆みたいに内食って言ってんの?」
A:「まあ今まで他炊続きでしたからね。」
B:「そっち外食って言うんだよ。逆だから全部。」
A:「そんで、昨日初めてハンバーグ作ってみたんですけど、」
B:「あー、ハンバーグね。」
A:「それがね、もうマジで美味くて、」
B:「そうなんだ。」
A:「将来ね、僕ハンバーグレストランを経営することにしたんです。」
B:「え、そんなに!?初めて作って店出すレベルまできたの?」
A:「すごい美味くてね。」
B:「だいぶ身の程知らずだけどな。」
A:「で、普通にやるのもつまんないから、」
B:「え?」
A:「家族と一緒にやる、みたいなの良いかなって思って。」
B:「あー、たまにありますよね家族で経営してる飲食店ね。」
A:「そうそうそう。」
B:「いいじゃん。」
A:「その感じ今ここでやるから、お客さんで入って来て。」
B:「俺客ね。」
(ここからコントイン)
A:「よーし。」
B:「ここが噂のハンバーグレストランか。ご家族でやられてるって珍しいよな。ちょっと入ってみよう。ガラガラガラ。すいませーん。」
A:「いらっしゃいませー!」
B:「どうもー。」
A:「ようこそハンバーグレストランミウラへ。」
B:「あ、こんにちは。」
A:「オーナーのヤマグチと言います。」
B:「あっ、ミウラじゃないんだ。レストランミウラって言ってたから。」
A:「ヤマグチです。」
B:「ミウラって、奥様の名字とか?」
A:「あっ、じゃなくてですね。僕の初恋の子の名字なんですよ。」
B:「あ、やめた方が良いですね。めちゃめちゃ未練あるって思われますよ。」
A:「お客様は独り身様ですか?」
B:「感じ悪いな。妻子持ちが独り身ですかとか聞くなよ。お一人様ですか?ね。」
A:「あっ、お一人様ですか?」
B:「一人ですけど。」
A:「あの実はですね、お客様が本日一人目のお客様なんですよ。」
B:「あそんなん言うんですね。」
A:「なので、当店は全席新鮮となっております。」
B:「いや全席禁煙みたいに。今日はまだ誰も使ってないですよってことですかね?」
A:「ご案内いたします。」
B:「ありがとうございます。」
A:「こちらです。」
B:「はーい。」
A:「当店はですね、炭焼きハンバーグをモットーにやってるんですよ。」
B:「あ、いいですね。炭火で焼いたハンバーグ。外食ならではですね。」
A:「あっ、そうじゃなくてですね。当店は全品フライパンのすみっこで焼いております。」
B:「そっちのすみかい。火通んないでしょ全然。」
A:「提供スピードが遅くなっちゃって。」
B:「直したらいいでしょ。」
A:「いやー、あのそれがですね、」
B:「はい。」
A:「あの先週、うちのフライパンの真ん中でカメムシが死んでるのを発見しまして。」
B:「は!?カメムシ!?」
A:「こりゃ真ん中は使えんぞと。」
B:「いやいやいや!すみっこも使えないですって!そんなの。どうせ臭いでしょ。」
A:「事故真ん中なんで。」
B:「いや事故物件みたいに言われても。絶対変えて下さいよフライパン。」
A:「気が向いたら変えますね。」
B:「今すぐ変えろって!やだなあ。」
A:「ガラガラガラ。あれ。」
B:「別のお客さん?」
A:「ただいまー!」「ただいまー!」
B:「あっ、お子さんですか?」
A:「はい。今小学校1年生で。」
B:「へえーいいですね。双子なんですか?」
A:「はい。こっちがナツミで、こっちがメグミです。ほら、お客さんだよー。」
(子どもと話すマイム)
B:「ナツミちゃんとメグミちゃんね?・・・
えもしかして名前の由来ナツメグ!?ハンバーグ作るのに、肉の臭み取るためのスパイスが名前の由来なの?ハンバーグに寄せすぎだろなあおい。」
A:「ねえねえ父ちゃんみて!」「なに?」「またカメムシさん捕まえた!」
B:「こいつらのせいじゃねえか。店にカメムシ入れるなって教育しないとちゃんと。」
A:「ヒューーーー、ドスーーン!!」
B:「今度は何!?すごい音聞こえたけど。」
A:「あっ、帰ってきたな。」
B:「え?」
A:「ナツメグ、ちょっとあれ取って来て!」
B:「ナツメグって呼んでんなほんで。なんですか?今の。」
A:「あ、あれはですね、タネの状態のハンバーグです。」
B:「焼く前のハンバーグ?」
A:「ハンバーグって焼く前に一回こうやって空気抜くじゃないですか。」
B:「はい。」
A:「うちはですね。それを小型のカプセルに入れまして、一回宇宙空間に飛ばすんです。」
B:「え、宇宙空間?」
A:「はい。それで真空状態に入ってタネの中の空気が完全に出尽くしたらカプセルを切り離してこっちに戻すんですよ。」
B:「え、そんな徹底してるんですか?そんなやんなくていいでしょ空気抜くの。」
A:「打ち上げも切り離しも、全部嫁がやってくれてるんですよ。」
B:「え奥様が!?すごいですね。ハイスペックな奥様で!」
A:「家族一丸となってやってるんでね。」
B:「飲食店の協力の仕方として変過ぎるでしょ。」
A:「ガラガラガラ。取ってきた!」
B:「あ、そのカプセル持ってきてくれた?ナツメグ。」
A:「カメムシ!」
B:「いやカメムシいいんだよ。いい加減にしろ。」
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