あっけなく
悩むこともなかった。
必然的に辞めるという決断に至った。雰囲気の良い職場だからこそ、こんな結論になったのかもしれない。雰囲気が良いからこそ、短期離職につながるなんて珍しいパターンだ。
正直、この仕事が好きとも思わなかった。私にとって、どんな仕事であれ、この仕事だから、というこだわりは無い。
それでも、この年齢にも関わらず、暖かく迎え入れてくれ、年齢も7、8歳くらい年下の子らが、相手してくれて、早く職場に溶け込むことができた。社会人として尊敬してくれ、頼ってきてくれてたことはとても嬉しかったし、可愛い妹たちのようだった。このメンバーがみんな大好きだったからこそ、違うところに行くなんていう選択肢は、大げさだが自分には考えられなかった。
その旨を店長に伝えた。
店長も、このメンバーでやって行きたい、関西から訳のわからん人きても正直なところはどうなのかと思うと言ってくれた。
その日の帰り、店長は恐らく部長に電話していたのだろう、姿を見せることはなかった。
次の日、部長がまた店に来ていた。
「近くに来ていたからちょっと寄ったんだ」
嘘つけ。こんな中途半端なところによるなんてありえない。
案の定、私との面談で、先日お話しされたことを、再度伝えに来た。
所謂、引き止めってやつ。本当に必要だから引き止めるというよりは、人事構想が崩れるからだろう。部長としての責任も問われるのか?
「最後に何か質問ある?」と店長に振られた。
「無いです」
これが、部長との最後の顔合わせになった。
後日、店長に辞める旨を伝えた。
あれだけ、店長も人事異動の拒否を協力してくれようとしていたのに、いざ退職となれば、そこからの流れはあっけなかった。
その1週間後には、退職届をかけだの、8月の有休消化はどうするかなど、機械のように淡々と進んでいった。
あっという間に、当初後任が来るといっていた8月が来ようとしていた。
私は付き合いのあった得意先にただただ辞めるむねを伝えることに専念していた。
ところが、8月も目前に迫ったときに、公認は8月1日からは来ないということが噂できた。
なんでこんな大切なことを直前まで教えてくれないのか、店長にも腹が立ったし、6月くらいから言われているにも関わらず、どうして8月から来れないのか、ルーズな匂いがして、まだ見ぬ後任にも腹がたった。
そうこうしているうちに8月がきた。
後任が来るお盆過ぎまでは私が業務を遂行。
それより、次の就職先探しに向けてスタートしていた。
何度目の就職活動か。また履歴書が汚れてしまった。