たった1日で人生が変わった日②
言っていることは明らかにおかしい。
テコ入れで行くにしては未熟すぎるし、毎月の目標も達したことなどない。きっと、「テコ入れ」は建前的な理由であり、「本音」のところはまだ数字も出せていないということは顧客との関係も深くない、つまり異動させてもリスクは低いだろうということなんだとすぐにわかった。
「即答しなくちゃダメですか?」
「・・まぁ会社のお願いだから・・期待している人にしかこんな話はしない、いや言い過ぎるとうそっポく聞こえるからもう言わないけど」
明らかにしどろもどろしている。
私がそこまで従順だとでも思ったのだろうか。
引き継いだ当初、毎日息する間もないほどだった。前任が全く適当な引き継ぎを行なったおかげで、まだ続いている仕事だってあるし、聞いていない内容のものもたくさんあり、ここまで来るのにどれだけしんどい思いをしたか。マイナスをやっとゼロまで持って来たばかりだったのに、こいつは、いや、この会社はどれだけ舐めてるんだ?
部長との面談が終わり、店長とふたりで面談が行われた。
「正直、ここの会社は新卒にとても甘い。中途で入ったからには求めるものも高すぎるし、こういう時に便利に回されることもある。その時期が人より早かったと思って欲しい」
店長も中途入社した口だ。
「原は、きっと山ヶ丘店に異動したら辞めるだろうと思うから異動させれず、土佐もいつ地元に帰りたいと言うかわからないというのと、性格的に体育会系でこれから店を引っ張って行く人として、わざわざ異動させることはないんじゃないかと。」
じゃあ私なのか。何も口答えせず、黙々仕事するから私なのか?私だって精神的にやられて会社辞めたことあるし、地元に帰りたい思いだってあるし、何よりこの二人より山ヶ丘店より家も離れているじゃん。何より、過去に精神的にやられて会社辞めたことは、入社したときの面談であなたに言ったけど、あれはただの形だけの面談だったのか?
全てに怒りと呆れが混同してどうしていいかわからなかった。
「土日を悩ませてしまって申し訳ないんだけど、考えて欲しい」
絶対拒否する、なんならもう辞める
その思いで、面談が終わってすぐにタイムカードを切った。