見出し画像

ロー入試合格者のステートメント【中央ロー編】

本記事では、中央ロー合格者(既修者コース・普通合格)が実際に提出したステートメントを紹介し、書く際のポイントを解説していきます。中央ロー入試の受験を検討している方は、是非参考にしてください!
(ライター:阿部/The Law School Timesライター)


ステートメント課題

「法曹を志望する理由および目指す法曹像」


合格者ステートメント※

1 法曹を志望する動機は、法律の専門家として子どもの権利や利益の保護に寄与したいからである。(Ⅰ)
  私は、幼少期に両親が離婚するという経験を有し、母と別居しなければならないという物理的負担、周囲から「母親がいない子」というレッテルを張られるという精神的負担を被った。
  とりわけ子どもは、離婚の意味や離婚による負担を理解し難く、離婚するか否かの決定において意見を述べる機会を与えられることも少ないため、子を持つ親が離婚するに際しては、周囲の大人が子の利益を考慮する必要があると考える。
  そこで、弁護士として、離婚問題における解決策の提案や依頼者への説得の際に、両親が離婚した際に多くの負担を被った自身の経験を、子どもへの配慮を意識して(Ⅱ)解決するという点に活かし貢献していきたいと考える。

2 次に、法曹に求められる能力は、情報の的確な収集及びこれに基づく深い考察により、自らの思考を形成し、文章や口頭での表現を通じて相手に伝える能力(Ⅲ)であると考える。
  私は、例えば***留学において、*****州議会の進行と人種のサラダボールと言われる多民族国家との歴史的背景などを考察し発表する課題を与えられた。私は、その課題に取り組むうえで州議会を訪問したり関連する書籍を収集したりホストマザーにインタビューしたりして、議会の進行と歴史との関連性などを考察し、発表するという活動を通じて、上記の法曹に求められる能力を習得してきた。
  もっとも、自らの思考を相手に伝える能力については、今後の課題であると考えており、貴法科大学院のソクラテス・メソッドによる双方型授業などを通じて培っていきたいと考える。(Ⅳ)

3 私は、大学生活において以下2つの活動に参加し、実績を得た。
⑴ まず、次の問題意識をもって法律相談部の活動やゼミに取り組んだ。それは、常に法律論に基づく理論的な正しさから現実の問題を解決しようとすると当事者の意図や具体的な事情いかんにより「その人」にとって最適な解決を現実の事案に即して考えることの重要性を忘れてしまいがちであるという問題意識である。学生法律相談会や対審式形式のゼミにおいては、常に柔軟な発想で物事を多角的に把握することにより、当事者にとって最適な解決や現実的に妥当な解決を導くことを達成した。
⑵ また、**大学・**大学合同最高裁判所見学において****・****両裁判官と対話し、法曹になる過程、法曹として必要な資質や能力、法曹として社会で活躍する上での心がけなどについて、私に備わっている点やこれから身につけるべき点を見つめ直し、学習の指標を確立させた。

4 以上を踏まえ、志望する法曹像について述べる。私は、弁護士を志望する。(Ⅴ)そして、特に以下の3点について取り組みたいと考える。
⑴ まず、家族法分野の業務において、1で述べた自身の家族経験を子どもへの配慮を意識して解決するという点に活かし、尽力したいと考える。
⑵ 次に、講演活動である。弁護士という職業を端的に表現すれば人を助ける職業であり、医者のように身近な存在である。そして、体調に異変が生じたときに医者に行くように、些細なことでも相談できる存在であるべきである。しかし、私は、大学に入学するまで弁護士の役割や重要性を知らず、弁護士は法律という難しい問題を扱っており格式が高く、法的知識無しには相談し難い等の固定観念を有していた。だからこそ、子どもの頃から弁護士という職業を身近に感じ興味をもってもらいたい。
  弁護士のあるべき存在と生徒が持つイメージに乖離が生じているのは、生徒に弁護士の職場体験をさせることが難しいこと、弁護士と直接関わる機会が少ないこと、弁護士が身近に居なかったこと等に起因していると考える。そこで、弁護士として小・中学校や高校に出向いて講演し、弁護士という職業は、勉強にのみ取り組んできた頭の堅い職業であると想像するかもしれないが、実は様々な経験や様々な職業の方との関わりを通じて幅広い知識や一般感覚をもち柔軟に問題解決に尽力する職業であるということ、弁護士が社会においてどのように貢献しているのかということ、いかなる魅力を有しているのかということ等について伝えていきたいと考える。
⑶ 最後に、情報発信活動である。現代社会では、テレビ・ラジオ・新聞などの媒体が衰退する一方、オンデマンドやオンラインの動画配信の需要が高まっている。そこで、私は、時事的な社会問題を法的側面から考察し、その考察内容をインターネットを通じて発信することで法的専門知識を有しない国民が興味を持ち、法律をより身近に感じてもらえるような活動をしていきたいと考える。
以上


コメント

本ステートメントの特徴

(I)の部分
読み手を意識した上で、課題の質問に対して簡潔に答えることができています。
(Ⅱ)の部分
自身の経験を踏まえて、法曹への志望理由を説得的に述べられています。
(Ⅲ)の部分
中央ローのアドミッションポリシーに沿った記述ができています。
(Ⅳ)
法科大学院で学ぶ意欲・必要性に言及しています。
(Ⅴ)
読み手を意識した上で、課題の質問に対して簡潔に答えることができています。

全体的な感想

本ステートメントは、結論ファーストが心掛けられており、読み手に分かりやすい文章です。また、自己の体験談を根拠に文章が書かれていることから、なぜ法曹を目指すのかについて、説得力のある説明がされています。そして、問題意識や目指す法曹像も自己の建研などを根拠に具体的に述べられており、法科大学院で学ぶことや法曹になることについての意欲を示すことができています。さらに、文章全体の構成・ナンバリングも適切であり、論理的な文章を書くことができています。

もっとも、より論理的な文章にするためには「3」の大学生活の活動の記載が、課題である「法曹を志望する理由および目指す法曹像」との関係でなぜ必要であるのかについて明確にすべきであったと思います。例えば「2」で述べた能力に焦点を当てるならば「私は、大学生活において以下2つの活動に参加し、法曹に必要な○○と○○という能力を得た」とすると、さらに良い文章になったと思います。


おわりに

最後まで読んで下さりありがとうございました!ステートメントは、ロー入試のほんの一部かもしれませんが、間違いなく合格や学費免除などに繋がる要因の1つだと思います。是非、合格者のステートメントを参考にして、合格に一歩近づいてください!


The Law School Timesは司法試験受験生・合格者が運営するメディアです。「法律家を目指す、すべての人のためのメディア」を目指して、2023年10月にβ版サイトを公開しました。サイトでは、司法試験・予備試験やロースクール、法律家のキャリアに関する記事を掲載しています!noteでは、編集部員が思ったこと、経験したことを発信していく予定です。


※太字及びギリシャ数字は筆者が加筆しています。一部個人情報を*印で加工しています。本記事の本文中では、noteの機能上、インデントが揃えられていませんが、実際のステートメントではインデントを揃えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?