司法試験受験生による、行政書士試験合格体験記【教材編】
先日、「司法試験受験生は行政書士試験を受けるべきか?」を執筆した向田です。遅ればせながら、私自身も令和5年度行政書士試験を受験し、無事合格いたしました。
7月29日から令和6年度行政書士試験の出願が始まる今、本稿で私が行政書士試験に向けてどのような学習をしたのかをお伝えします!これから行政書士を受験される方はもちろんのこと、ロースクール在学中、予備試験短答学習中の方など司法試験受験生のみなさまにとっても、この記事がお役に立てれば幸いです。(ライター:向田/The Law School Timesライター)
試験の概要については、「司法試験受験生は行政書士試験を受けるべきか?」をご覧ください。
私はどんな受験生だったのか
受験当時、国立大ロースクール2年生(既修コース)でした。直前の予備試験(令和5年度)の短答式試験は、139点で落ちました。なんと、行政法の点数1桁!
司法試験向けの学習は、2021年11月末から始めました。行政法の学習は、入学前はアガルートの「重要問題習得講座」を1周する程度で、本格的な学習は入学後から開始しました。
行政書士試験の合格成績
公式の得点表は、下記の通りです。合格者平均点の197点を27点上回る、なかなかの好成績で合格することができました。
なお、自己採点による、法令等の択一式の、各科目(出題順)ごとの結果は次の通りでした。
なぜ行政書士試験を受験したのか
あまり学習の進んでいない行政法をなんとかしたかったから。(実際、予備短答だけでなく前期の行政法の成績も悪かった)
短答式の学習の方法を、実践を通して身につけたかったから。
授業開始(10月)から試験日の11月12日までの間は、課題や試験はほとんどなく、ロースクールのスケジュール的にかなり余裕のある状況だったから。
ロースクールの同級生が、かつて自分とほぼ同じ点数で予備試験の短答に落ち、同じ年の行政書士試験に合格したという話を聞いたから。
酒の勢いと、期末試験を終えた解放感から。
学習開始時期
受ける年の9月中旬あたりから学習を始めました。夏休み前半は、ロースクールのエクスターンシップに行っており、勉強する時間がありませんでした。
【科目別】使用した教材
①民法
『合格セレクションシリーズ 司法試験・予備試験 短答式過去問題集 民法』(伊藤塾、以下『合格セレクション』)を中心に、アプリ教材の「法令択一クエスト」(資格スクエア。予備・司法の「短答攻略クエスト」の青いアプリとは違うので、注意。)を併用しました。「法令択一クエスト」には課金しませんでした。
民法は予備試験や司法試験と範囲が同じと聞いていたので、予備試験・司法試験用の教材を使うことにしました。そして、行政書士試験では、『短答過去問パーフェクト 民法』シリーズ(辰已法律研究所)までやる必要はないと考え、使用しませんでしたが、実際に『合格セレクション』+アプリで、民法で高得点を獲得できました。
②行政法
「法令択一クエスト」、Trips LLCが出している、緑の「行政書士」というアプリ(無課金)を併用しました。行政法は、予備試験の短答とは少し傾向が違うと聞いたため、最初から行政書士用の教材を使用しました。
③憲法
行政法で使った過去問アプリを流用しました。
④商法・会社法
ロースクールの講義の予復習以外一切やりませんでした。配点のわりに範囲が広いので、行政書士専門受験生でも捨てる人が一定数います。ロースクール生はロースクールの講義の予復習で十分だと思います。
⑤基礎法学
ロースクールの講義の予復習以外一切やりませんでした。内容は、司法試験受験生なら解けて当然の刑事系や民訴のごく基本的な問題が中心で、かつ配点も低いので対策する必要はないと思います。
⑥一般知識(※令和6年から「基礎知識」)
『2023年版 出る順行政書士 ウォーク問過去問題集 2 一般知識編』(LEC)を使用しました。
【全科目共通】行政書士専用に購入した教材
・『出る順行政書士 合格基本書』(LEC)
民法や会社法、行政法、憲法はすでに使っている基本書を参照しました。主に、手元の基本書には記載がないが出題範囲の、地方自治法(行政法)や個人情報保護法(一般知識)の知識をまとめたテキストとして活用しました。
・直前模試(伊藤塾、LEC)
どちらも、自宅で受験するタイプの問題集です。
元々、模試はLECの『2023年版 出る順行政書士 当たる!直前予想模試』のみを使用する予定でしたが、模試の冊子を直前に失くすハプニングに見舞われたため、急遽伊藤塾の『うかる! 行政書士 直前模試 2023年度版』を追加購入しました。どちらか1冊であれば、直前年度の過去問も収録されている、LECのものを買うのがおすすめです。
・行政書士試験の過去問(公式ホームページよりダウンロード)
おわりに
本稿では、行政書士試験対策に使用した教材や、司法試験・予備試験学習との兼ね合いをお伝えいたしました。行政書士試験の場合、特に民法、憲法、行政法では司法試験対策で使用している教材をそのまま利用することで、模試を含めても10,000円以内の出費で全科目の対策をすることができます。次回記事では、私が教材をどのように進めたかについてお伝えいたしますので、学習スケジュールにお悩みのみなさまはぜひご覧ください。
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