【成績上位1%、200点overの筆者が教える】予備試験短答の勉強法
予備試験受験生のあなたは「予備試験といえば論文式試験(以下「論文」)」「論文対策が一番大事!」「短答式試験(以下「短答」)は論文の邪魔にならない程度に勉強しよう」
そんな風に思っていませんか?
大間違いです!
令和5年度の短答の合格率は20.1%でした。つまり短答は、ほとんどの人が落ちる試験なのです。
当然ですが、短答に合格しなければ、論文を受けることはできません。予備試験は年に1度しかありませんから、短答に落ちてしまえばまた翌年の7月まで待たなくてはなりません。
短答式試験対策の重要性がわかってもらえたでしょうか?
本記事では、今年の短答が不合格だった方、勉強を始めたばかりで短答対策に何をすればいいのか分からない方に向けて、今年の予備試験短答で206点(129位/13,255人)を取って合格した筆者が、短答式試験の効率的な対策方法を教えます!(ライター:鈴木/The Law School Timesライター)
はじめに
まず「楽して短答に受かる方法」は存在しません。
確かに短答は選択式ですし、問題との相性もあるため、運が良ければ短期間の勉強で合格することもあり得ます。
しかし、知識が定着していなければその後の論文で苦労することになります。短答対策によって穴のない知識を身につけることは、論文式においても有益です。なにより予備試験に受かったとしても、その後の司法試験でも短答式試験が存在します。司法試験の短答では、一定以上の点数を取らないと論文式の答案を採点してもらえません。つまり、短答対策は司法試験においても必要となるのです。
「結局ひたすら勉強するしかないのか」と思われたかもしれません。
残念ながら、その通りです。
もっとも、ただ勉強時間を増やすだけでは点数が伸びません!どうせ時間をかけるなら、正しい勉強方法で、点数を伸ばせるような勉強をしましょう!
では、具体的にどのような勉強をすべきなのでしょうか。
勉強方法
法律科目
おすすめは「短答過去問パーフェクト」という教材を使用することです。
辰巳法律研究所が出しているもので、司法試験・予備試験の全ての過去問が解説とともに載っています。全年度分の過去問が載っているのでかなり厚みはありますが、多くの受験生が使用している定番の教材といえます。
司法試験委員会が公開している過去問や予備校の答練など、他にも多くの教材があります。自分に合ったものを使うのが一番ですが、できれば選択肢のみを抜き出したものではなく、過去問を1問まるまる解ける教材をおすすめします。
短答では、複数の選択肢を短時間で読み、正誤を判断することが求められます。1問をまるまる解くことに慣れていないと本番で時間が足りなくなってしまいます。
また、過去問とほぼ同じ問題が出題されることも多くあります。そのため過去問を何度も繰り返して解き、出題形式に慣れることが必要です。
2023年度の予備試験では過去問そのままの出題こそ減っていましたが、過去問を解いて理解していた人なら、その場で正誤を判断することができました。やはり過去問は重要といえます。
ただし、何も考えずにただ過去問を繰り返し解くだけでは意味がありません。
以下、筆者おすすめの勉強法を紹介します!
1周目
頭から全ての問題を解いて、間違った問題には印をつけたり付箋を貼ったりしましょう!
たくさん間違えるはずなので、見栄を張らずに間違った問題や不安な問題には全て印をつけましょう。1周目はかなり時間がかかるので、余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
2周目
時間に余裕があれば全ての問題を解きましょう。時間に余裕がないときは、1周目で間違った問題を解いて「また間違えそうな問題」に印や付箋でマークしましょう!
また間違えそうな問題としては、例えば
· 全体的によくわからない問題
· 細かい知識が問われている問題
· 選択肢の組み合わせから解くことができるが、組み合わせが変わったら間違えそうな問題
· 答え以外の選択肢に曖昧な部分がある問題
· なんとなく苦手な問題
などがあります。
3周目以降
マークした問題のみを繰り返し解き、絶対に間違えないと確信したらマークを消しましょう。付箋だと貼ったり剥がしたりが簡単なのでおすすめです。
直前期など時間のないときは、解説のみ読むだけでも構いません。繰り返し見ることで記憶に定着していきます。
余裕があれば、苦手な問題や選択肢のみをピックアップしたまとめノートを作るのもよいでしょう。
一般教養科目
「法律科目だけで8割を取れれば合格する」などと言われますが、2023年度の合格点は「168点」で、これはぴったり法律科目の合計点(210点)の8割にあたります。法律科目で8割を取れればそれだけでギリギリ合格はできるものの、とても安心できる点数とは言えません。かといって法律科目でさらに高得点を狙うには膨大な勉強時間が必要となるため、おすすめできません。そこまで時間をかけるなら、論文対策をすべきです。
そうだとすれば、一般教養科目でも点数を取れるようにすべきでしょう。
そうはいっても一般教養科目の配点は60点もあるため、満点を目指す必要はありません。満点を取れるような問題でもありません。
そこで、一般教養科目では「21点〜30点を安定して取れるようにする」ことを目的とすべきです。
一般教養科目に自信がある方は、過去問を見返して基礎的な知識を確認しましょう。一般教養科目に自信がない方は、社会科学分野(特に時事問題)と英語問題に力を入れましょう。
社会科学分野の問題は、5つ程度の選択肢の中から正しいものまたは誤っているものの組み合わせを解答する形式が多いです。この形式では、選択肢の1つ1つを正誤判定していきましょう。選択肢の全ては分からなくても、1つか2つ、なんとなくでも正誤判定ができれば、答えを1/2にまで絞ることができます。これだけでもかなり正答率を上げることが期待できます。
次に、英語問題の勉強をしましょう。
令和4年度までの予備試験英語問題はやや難解な英語の長文が3つ載せられ、問題数は6問でした。ところが令和5年度では、長文が4つ、問題数は8問に増えています。そして、長文の内容自体の難易度が下がっています。具体的な文章の難易度としては、TOEICと同程度と筆者は感じています。
つまり、十分に対策可能な難易度です。
弁護士になった後も、海外のクライアントとやりとりをしたり、英文契約書をチェックしたりする可能性はあります。将来のためにも、今から英語を勉強しておきましょう!
勉強法としては、英語でニュースを聞くことをおすすめします。時事問題を押さえつつ、英語を勉強することができます。
BBC World News Podcastなど、英語でニュースを配信しているコンテンツは世の中にたくさんあります。通学・通勤時間やお風呂に入っている間、朝食のときなど、時間を見つけて聞いてみましょう。はじめは聞き流すだけでも、継続しているうちになんとなく理解できるようになります。
短答模試について
短答式試験の直前期、各予備校が短答模試を実施します。1000円〜3000円程度で模試が受けられるので、できれば受けましょう。短答を受けるのが初めての人は、会場受験で当日の雰囲気をつかむのがおすすめです。
かなり長時間にわたる試験なので、自分がどの程度疲れるか、お昼はどのくらい食べたいか、そういったことを確認することで、本番でのパフォーマンスを上げることが期待できます。
これまでに短答を受けたことがある人は、在宅受験でも構わないので一度解いてみて、その時点での自分の実力を確認しましょう。
筆者は「模試では、点数が悪ければ悪いほどいい」と考えています。
合格点に届いていなければ、そこから本番まで必死に勉強しましょう。学生には期末試験、社会人には仕事があり忙しいとは思いますが、通学・通勤時間や就寝前の隙間時間に、1、2問でもいいので解きましょう。
余裕があれば、事前にまとめノートを作っておくのもおすすめです。
しっかり勉強して、まずは短答式試験に合格しましょう!頑張ってください。
The Law School Timesは司法試験受験生・合格者が運営するメディアです。「法律家を目指す、すべての人のためのメディア」を目指して、2023年10月にβ版サイトを公開しました。サイトでは、司法試験・予備試験やロースクール、法律家のキャリアに関する記事を掲載しています!noteでは、編集部員が思ったこと、経験したことを発信していく予定です。
【記事修正】2024年4月13日午後9時43分 「法律科目」の第二段落の「全年度分のの過去問」を「全年度分の過去問」に修正しました。
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